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「ヒトごろし」

やっと、読み終えた…

図書館2回延長したわよ…

重すぎて持ち歩けなかったので、通勤中とか昼休みに読めなくて。

模範六法よりぶ厚かったからね。

もはや鈍器。これで人殴ったら死ぬわ。


土方歳三が出てくるらしいということは知ってたけど、完全に土方歳三が主役だとは。「ヒトごろし」のタイトルから、土方歳三を連想できなかったなあ。

なんかもっと、オリジナルの猟奇殺人鬼の話かと思ってた。

京極夏彦作品を何か一冊読むと、それとちょっと繋がりのある別の作品を読みたくなるといういつものパターンで、これも「今昔百鬼拾遺 鬼」を読んだ後、ちょっと繋がってるって聞いて読みたくなりました。

このパターンは京極夏彦あるあるなんじゃないだろうか…

「今昔百鬼拾遺 鬼」を読んだ時に、「土方歳三」の名前が出てきてびっくりしたんですよね。私が今まで読んだ京極作品で、そういう、歴史上の人物の名前が大きく関わってくることってなかったから。

ほんで「ヒトごろし」を読んでみたら、がっつり土方歳三の話だったのでさらにびっくりした。

京極先生こういうのも書くんですね。


前に、「双子」ってなんでこんなに魅力的なのかーってことを書いたんだけど、「新選組」も、同じことを思う。

双子を扱った作品もいっぱいあるけど、新選組を扱った作品もいっぱいありますよね。

お化けがいたとして、自分が死んだ後に、自分をモチーフにした創作物が山ほど作られる気持ちってどんなんだろう。

自分が死んだ100年以上後に、やたらとイケメンにデザインされ、イケボをあてられた自分や友人たちが、日本中の女子と恋愛している様をどう思うだろう。

自分がそうだったらって考えると……めっちゃ面白い。

いいぞ、どんどんやれ、って思う。

土方歳三はどう思うんだろうなぁ。

新選組って、微妙に情報が残ってるのが、いいよね。

まったくわかんなかったらそもそも取り上げられないし、はっきりわかりすぎてても面白くない。

なんとなく、残ってる資料からしてこうだったっぽい、ってゆう絶妙な線をいってる気がする。

私は歴史とか寺社仏閣とか大好きで、一時期は京都に住んでいたので、これ幸いといろんな場所へ行ったんだけど、その中で、新選組のゆかりの地巡りもした。

なので読みながら、あーあそこかぁなどと、場所を思い浮かべたりできて、面白かった。


出てくる人名とか出来事をちょっと調べながら読んだんだけど、たぶん、ほぼ史実に沿って書いてると思う。

登場人物の心情は創作だけど、起きた出来事は忠実。

この出来事はそんな理由で起きたの⁈って、なんか、これが真実なんじゃないかって気がしてきちゃう。

正直、夢はない。

よく見る、イケメンだらけでみんな仲のいい新選組ではない。

夢があるのもそれはそれで好きだけど、夢がないのも好きだな。

私の性質としては、夢がない方が落ち着くんだよね。

落ち着いて読める。


最後の方、戦争中の土方さんの心情や考えには酷く共感した。

「人を殺したい」っていうのはちょっとよくわかんないけど、それ以外のところは、この土方さんにはけっこう共感できたなぁ。気が合いそう。

武士だから偉いわけじゃない、隊長だから偉いわけじゃない、それはただの役割。

だからその役割を果たさなきゃダメ。

私もそう思う。

課長だから偉いわけじゃない、部長だから偉いわけじゃない、ただの役割。

そのポジションにつけば偉くなったんだと思い込んで、役割を果たさない人が多すぎると、私も常日頃思っていた。

そして、このままじゃダメだ、こうしなければ、と下から進言しても、下っ端の言うことなんか聞かない。

自分が上なんだというプライド、「普通はこうする」「この方がカッコいい」という合理的でない妄執。

そんなもののために、むざむざ負けに行く。

そのうち言う気すらなくなってくる。

失敗するってわかっててももう言わない。

そして失敗するのをただ見てる。

当たり前すぎてなんの感情も湧かない。

そして、一緒に死ぬ気なんかない。


わかるぅ〜


最後の無双土方さん、めっちゃ楽しくて気持ちよかった。

文章から疾走感が伝わってくる。

そんな文章書けるって、すごいなあやはり。


お涼さんがいなかったら、どうなってたかな?と思った。

もともとお涼さんが「今昔〜」の方に関わっていて、そのお涼さんがこっちにも登場してると聞いたので読み始めたんですけどね。

あんまり出てこないなーとか思ってたけど、なるほどそうなるか、って感じでしたね。

例によって、もう一度「今昔百鬼拾遺 鬼」を読みたくなっています。

こうやってまた、京極ワールドから抜けられなくなるんだよなぁ。






















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