初めて髪を染めた日と今の自分
初めて髪を染めた日、背伸びをしたかった自分はワクワクしていた。
黒から茶色の髪になった自分を鏡越しに見て、少し大人に近づいた気がした。
髪は自分で染める。
塗りもれがないか時々鏡で確認する。普段そんなにじっと自分の顔を見る事なんてないから不思議な気持ちにもなる。
黒へと染めた自分を鏡越しに今見ると、あれから20年以上月日が流れたことがわかる。あの頃は散々嫌がっていた黒にしようとしている自分。あの頃もこうやって染めていた。同じ動作でも内容も目的もあの頃と今では違う。
初めて髪を染めたあの頃も楽しかったし、今も楽しい。あの頃は大人になるとそんなに楽しい事ってないと思っていたけど、違っていた。嬉しい誤算だ。今も楽しい。いつだったか忘れたけど、「楽しい事をしたら楽しい日になる」という事を僕は知った。これを知ってどれだけ目の前が明るくなったか。あの頃の自分は知らない。こういうようにあの頃の自分に伝えたい事って沢山ある。
きっとそれは、あと10年も経つと今の自分にも伝えたい事がいっぱいになるのだろうな、なんて思う。10年後、どんな自分になっているのだろう。今から楽しみだ。