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自分の先天性の病気を公表してよかったこと

これまで生きてきて、数えきれない程の選択をしてきたけど、自分で選んでよかったことと、よくなかったと思うことがある。どちらもそれぞれ沢山あるけど、今回は「自分で選んでよかったこと」の中でもとくに良かったと思う事について書いてみます。

自分で選んでよかったこと

それは、自分の経験した病名を公表した事です。自分が経験した病気は、「先天性十二指腸閉鎖症」という名前です。この病気、おそらくそんなに有名ではないと思う。知っていましたか?どんな病気かというと

十二指腸閉鎖症とは、十二指腸下降脚の一部が途切れて内容物が通過しないために、胃や上部十二指腸が拡張する病態。
十二指腸閉鎖症は他の奇形(45-68%)や遺伝子異常(ダウン症:30%)を認めることがある。子宮内死亡(2-12%)
発生頻度
1/7000-40000人の割合で生じる。
生後1-3日頃に手術

胎児診断治療センターより引用

7千人に1人か、4万人に1人の確率でこの病気を持って生まれてくるらしい。
これが珍しいか、珍しくないか個々の判断によるとは思うが、自分は結構珍しい方なのでは?と勝手に思っている。

そして、この病気は合併症が多いのも特徴らしく、ほかの奇形や病気の確率が45〜68%、ダウン症の確率が30%、生まれる前に亡くなる確率が2〜12%とのこと。

生後すぐに手術をする必要がある。

自分も、生後3日で手術を受けた。

僕が生まれたのは8月6日で、手術をしたのは8月9日。それで終わりではなく、その後12年間に及ぶ通院が待っていました。

12才の誕生日、8月6日に、通院が終わったけど、その12才の誕生日が、なんだか2回目の生まれた日のような感覚があったりもする。ああ、生きられるんだ、大人になれるんだ、と安心した日、大人になった今もその日のことはよく覚えている。生まれてすぐからずっと通院していたから、通院するのはなにも特別なものではなかったけど、注射などのあの検査を受けなくて済むのには心底ほっとした。注射も慣れたけど、しなくていいならそりゃあやっぱりしたくはない。

お腹の手術跡は自分の人生とともに成長し、今は19センチになっている。(もしかしたらまた伸びてるかもしれないけど)

そんな大きな手術跡があるものの、もはやそれらは自分の一部になっているので、今は全く気にすることもなく生活している。お腹を洗う時に手術跡を触るし見るけど、この跡ありきのお腹しか自分は知らないので、嫌とかは全く思ったことがないし、手術跡のないお腹を羨ましく思ったこともない。自分が男であることも大きいだらうが、生まれてすぐからあるこれをそんなに否定する気にもないし、むしろすっかりもう自分の一部になっているので、お腹を見ても気になるのは跡よりもそれなりについた脂肪である。海で水着を着ている時も、積極的に隠そうとはしない。見た人に驚かれてその度に跡の説明をするのにもすっかり慣れている。これは手術跡がある人あるあるかもしれない。

そんな自分も、これまでにネットでこの病気について調べたことがある。

どんな病気なんだろう?
同じ病気の人っているのかな?

なんせ、医師から最後に説明を受けたのは12才の時だ。きっと子供だから詳しくは知らされていなかっただろうし、自分のことなのに知識はあまり持ち合わせていなかったし、同じ病気の人がどのように生活しているか気になった。

そしたら、思っていた以上に大変な病気であることを知るという。
たしかに、生後3日でお腹を手術して、12年間通院するというのは、軽くはないことはわかるが、想像以上に大変であったことに驚いた。親や祖父、祖母、兄、妹、医師、看護師さんのおかげで、あまり重い病気であると自覚せずに成長出来た自分は、とても恵まれていた。

幸いにして、重い合併症がないのもあるかもしれないが、自分はこの病気を持って生まれて嫌だと思ったことがない。この病気のせい、ではなく、この病気のおかげで、手術や闘病の大変さや、今闘病している人の気持ちもわかる。そんな自分でも、同じ病気の人がどのように生活しているのだろう?と子供の頃に気になっていたので、ブログやSNSで病名を公表するようになりました。自分が検索した時は、ほとんどが闘病記で、大人になって元気に過ごしている人が全然見当たらなかったので、まず自分が公表してみよう、となった。

この病気の発生頻度からしたら、多くはないけど、それなりにいるはずだけど、病歴をわざわざ公表しない理由もわかる。そう言う自分もブログに書くまでは近しい人にしか詳細は言ってこなかった。跡を見られても、いつも「昔手術して、治った」で終わりにしていたし。

公表した理由は、同情してほしいとか、すごいと思ってほしいとかではなくて、自分と同じ病気の人や、その家族が、不安になってこの病気を調べた時に、「ほら、手術して通院頑張った先に、大人になって普通に気にせず楽しく生活している人もいるよ」と、ほんの少しでいいから、そう思ってもらえたら十分、だだそれだけ。それ以上でも、それ以下でもない。

なんとなく、そんな軽い気持ちで公表したら、時々、本人や家族からSNSを通じてメッセージをいただくようになりました。

不安だったけど安心した
希望もてた
嬉しい
質問してもいいですか?
元気そうで嬉しい

自分の先天性の病気を公表して、本当によかったと思いました。

あの時、公表するという選択をしてよかった。

もうすぐ8月9日だ。

この夏も楽しむ。

noteで公表した時の記事はこちら

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