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【商品開発秘話-2】考える男・kj_makingと、モヤモヤはデザインアウトプットで吹き飛ばし、明るい未来を目指そうとする話。

前回の初投稿は思いのほか多くの方がお読みになってくださったようで本当に驚いております。noteを読んで製品を購入してくれた方も複数いらっしゃり、感謝感激です。製品開発の準備段階にあたる話だったのですが何か共感してもらうものがあったのならとてもありがたいです。

今回は、momo Rice Plastic Plateの開発に協力してくれた、とあるデザイナーについて書きます。

momo Rice Plastic Plateの開発をスタートした2022年春頃、私は様々な仕事が重なりとても忙しくしていました。大阪の袋メーカー、シコー株式会社さんの白石社長がTwitterで大バズりしたプロジェクトに取り掛かっていたり、町工場プロダクツが渋谷ロフトと銀座ロフトでPOP UPを行ったり。

渋谷ロフトでの町工場プロダクツ搬入の様子

自主案件であるライスレジン®︎企画は、なかなか集中できずにいました。時間がないからといって開発を諦めることはしたくない、でも全然時間がない。困っていた時、ふと自分で全部やろうとせずに人に頼むのもありかもしれないと思い立ちました。その時、頭に浮かんだのは千葉での地域活動を通じて交流があった工業デザイナーのkj_makingさんです。

年齢はひとまわりも下ですが尊敬している実力派デザイナーです。彼は当時、光学機器メーカーのインハウスデザイナーとして精度を求められる仕事に立ち向かいながら、個人でFORM STUDYという造形研究の自主制作を続けていました。独特の造形センス、モデリング能力の高さ、形に対する執念じみた姿勢は、私にはない魅力です。

kj_making さんは当時Twitterで、仕事の悩みを日常的に吐き出していました。私が見た過去の投稿はもう今や見れなくなっているのですが、近しい感情が記されている彼の生々しいnoteを置いておきます。(執筆時期はツイッターの投稿と半年ほどずれています)

彼の文章を見る限り、悩み・不安・不満を渦のようにぐるぐると抱えているように感じました。また彼には小さな子供がおり、子供との時間と自分の時間の捻出に苦労しているようでした。しかし、私の想像ですが、一番の悩みは「自分が欲しいと思うものを作りたい」という気持ちに蓋をし続けていることへの葛藤なんじゃないかと思っていました。

どんな言葉で声を掛けたか、記録に残っていませんが『金型作ってライスレジン®️でサステナブルなアイテムを作るから造形面で力を貸して欲しい』的なメッセージを送り付けました。記録に残っていませんが『いいすね!』という返事がすぐに返ってきました。

まずは各々のやり方で構想検討を行いました。私は構想段階では市場を見るタイプ。催事を行なっていたロフトや都内のセレクトショップや、ビッグサイトでの大型展示会などに赴いて市場・現状を把握することに集中しました。サンプルも可能な限り購入し、使い心地や造形から得られる満足度を検証していました。日中は私がフィールドワーク、夜はkj_makingさんがネットサーベイとモデリングを行なっていました。今思えば、彼は昼もみっちり働いていたので家族の時間や睡眠を犠牲にさせたと思うと大変申し訳なかったです。

一月ほどサーベイを重ねたのち、企画会議で選ばれたのが「子供にとっても親にとっても使いやすい食器」でした。選んだ理由はkj_makingさんの圧倒的なと当事者意識と実体験でした。その時のkj_makingさんの言葉が開発Slackに残っていたので引用します。(一部意訳)

ーふと気になって、我が家にあるベビー用品のブランドHPを見てみました。
それを見て思ったのは「お父さん目線の製品が無い」ということ。父親の不在感。

ー自身の体験を思い出すと、赤ちゃん用品コーナーはパステルカラーか原色で出来た世界観で、男性にとってはある種のバリアになりそうな印象がありました。自分が普段囲まれているものとあまりに違う世界観で、一種の場違い感を受けました。そういう観点では「夫も育児参加するであろう夫婦に向けた製品」が良い気がします。

私はこの彼の感性にとても心打たれました。『父親の不在感』。私からしてみたら『父親は不在で当たり前』くらいに思っていたからです。父親の物質的な価値観は育児上でのモノ選びに介入する余地など無い、くらいに思っていました。我が家では少なくともそうでした。私とkj_makingさんの子育てタイムラインは6年程の差ですが、この短い6年の間で世の中は変わったのだと体感しました。そしてそのkj_makingさんの感性が新しい価値観だと思い、全面的に尊重することにしました。

彼のnoteにも書かれていますがkj_makingさんは子供が産まれた時に育児休暇を取得しています。その時点で子育てコミットメントが高いのですが、(私が前時代的なだけなのですが)彼のような考え方でいる方が、未来は明るいと感じました。父親の不在感ではなく父親の実在感、つまり父親が介在したくなる、父親が進んで子供と一緒に食事をしたくなる食器。それがmomo Rice Plastic Plateの製品コンセプトになりました。ライスレジン®︎の素材のストーリーとも相まって食育にもつながり、物要りな子育て期に少しでも永く使える良いものを作ろうと決めました。

デザインコンセプトや造形を練る日々を送るうちにkj_makingさんのツイートはだんだんと健康的になっていったように見えました。やはり作ることが本当に好きなんだなぁと感じ、私は少し安心しました。

家族を大切に思う気持ちをカタチに込めてmomo Rice Plastic Plateの開発は佳境へと向かいます。

続く

次回はガチのモノづくり/テクニカルなお話を書く予定です。

文章を書きながら、我が家の子育てを振り返ってしまった。子育て中のファミリーに幸多かれ。

kj_makingさんのInstagram

https://www.instagram.com/kj_making/

※ライスレジン®は株式会社バイオマスレジン南魚沼の登録商標です。


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