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【読書感想文】「おしゃべりな部屋」

こんにちは。
今日は読書感想文にチャレンジしたいと思います。

片付けコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)さんと、「君の名は。」のプロデューサーでもあり絵本作家でもある川村元気さんの共作小説「おしゃべりな部屋」を読みました。

そこから感じたこと、そして私の暮らしで起きた変化なんかも少し。
よかったらお付き合いください。


こんまりさんとの出会い


こんまりさんの大ベストセラー本「人生がときめく片付けの魔法」を初めて読んだのは十数年前、憧れの京都で一人暮らしを始めてから3年ほどが経った頃でした。

本屋さんで平積みになっていたところ、表紙でにっこりと笑う可愛らしい女性の写真(こんまりさん)に惹かれて、何気なく購入しました。

自分の持ち物を種類ごとに全て出して、一つひとつ手に取ってその時に自分が「ときめく」かどうかを感じる。ときめきを基準に手放すモノと残すモノを決める。残すモノには必ず定位置を作って収納する。という片付けのメソッドがとても丁寧にわかりやすく書かれた本でした。

当時本を読んですぐに、片付けをしました。「使うか」「使わないか」ではなく「ときめく」かどうか、の判断基準はとても自分にしっくりときて、その時住んでいた小さなワンルームはすっきり綺麗になりました。


それから10年が経ち・・・

それ以来、同棲、結婚、出産…と住まいや家族の形が変わる中で、「こんまりメソッド」を意識的に実践していたわけではなかったものの、モノをなるべく持たない暮らしは続いていました。夫も「断捨離」を意識的にする人で、我が家に遊びに来た人は、決まって物が少ないことに驚き、「なんだか自分も断捨離したくなってきた」と、帰ってから自宅の片付けを始める、ということもしばしばでした。

確かに物は少ない我が家ですが、そんなすっきりと片付いているのはお客さんが来てくれる日だけ。「表向き」の顔でした。

二人目の子どもの育休が明けてからは特に、平日は最低限の生活を回すので精一杯。土日はほぼ私がワンオペ育児で片付けはどんどん後回し。

階段には未開封の郵便物、あちこちに置かれた学校のプリント、廊下には帰ってきて放ったままのカバン、次に寝る時まで敷きっぱなしの布団。

特に残念な景色を作るのが、毎日の洗濯物です。干して乾いた服たちが床やかごに山積み。衣類部屋には誰かが脱いだ服が大の字をかいて広がっていて、これから洗う物なのか洗濯された物なのかの区別もつきません。

加えて我が家にはあそび盛りの子どもが二人。いつもらったかもよくわからないお子様ランチのおまけ、ぼきぼき折れてしまったり何本か色が足りないクレヨンや色鉛筆、ピースの欠けたパズル。細々としたおままごとの食材や道具たち。保育園や学校で作った工作、可愛いからと取ってあったお菓子の箱、放っておくとすぐにおもちゃの収納場所はもので溢れていきます。

娘たちはその細々としたおもちゃたちをそれは派手に広げて遊びます。
そして遊んだら、遊びっぱなし。

促してもなかなか片付けに動かない子どもたちに苛立ちながら、最後はいつも私が「もう〜なんでいっつもママばっかり!」と、眉間に皺を寄せて文句を言いながら散乱したおもちゃたちを箱に投げ入れ片付けます。

仕事の疲れがピークだったある日の夜、散らかりまくった汚い部屋を見ながら、さっきまで遊んでいた物を片付けない子どもたちに無性に腹が立って、大声で怒鳴ってしまいました。手に持っていた洗いかけの食器を乱暴に流しに叩きつけながら。食器は割れてしまい、私のあまりの剣幕に驚いた長女が泣き出す始末。

そしてその後はお決まりの自己嫌悪タイム。

「本当は目一杯好きに遊ばせてやりたいのに…。」

「私が嫌々片付けするから子どもが楽しくお片付けできないんやろうな…。」

「本当は物を大切にする気持ちを教えたいのに、自分が食器割ってどうする?とほほ…。」

子どもが生まれてから、いろいろな片付け、収納の本を読んで取り入れてみたり、家事の時短術を真似てみたり、子どもたちをやる気にさせる仕組みづくりを勉強してみたりもしたけれど、どれもうまく続きませんでした。


こんまりさんとの再会

仕事で感じ始めた違和感と、ずっとイライラしっぱなしで家族に当たってしまう家での自分。こんな生活を変えたくて悩んでいた頃、こんまりさんのご主人川原卓巳さんを知り、やめるフェスをきっかけに退職を決意しました。


そして卓巳さんを通じてまたこんまりさんの魅力にたくさん触れることになりました。こんまり流片付けメソッドは今や世界中に広がっています。

可愛い小説を出版されたことは知っていたけれど、以前にもこんまりさんの本は読んだしなーと、手に取らずにいました。

でも退職までの有休消化の初日、居心地の良い大好きな本屋さんで「おしゃべりな部屋」とばっちりと目が合いました。そのまま手に取って、すーっとレジへ。


その日は桜が綺麗な暖かい日で、すぐに本屋の側の桜の木の下に座り込んで、夢中で読みました。

家の壁紙を思わせる表紙の質感
とても素敵


ROOM1(第1章)「ささやくクローゼット」

モノの声が聞こえるという力を持つ「ミコ」と相棒の小箱「ボクス」が、片付けを通して依頼主たちの人生と心に触れる物語。

ROOM1は服の片付け。

買ったまま忘れられていた服、何十年も昔のセーラー服、溢れた服がなかなか捨てられなかった女性。片付けを通して、楽しかった日の思い出にしがみついていた自分と今の本当の気持ちに気づきます。

一度も着られなかった服にも役割がある。
服を畳むときは服と対話するように、「いつも守ってくれてありがとう」という気持ちを込める。
ハンガーにかけた方が「気持ちよさそうな」服はハンガーにかける。


物語を読んで、涙しました。そして自分も服の片付けがしたくなってクローゼットの片付けをしました。

全ての服を一つの場所に出し、一つ一つを手に取って「ときめく」かどうかで手放すかを決める。初めのうちはときめき感度が明確でサクサクと進みましたが、意外にも毎日のように着ている仕事服と部屋着が進みません。もうかなり着古して、くたびれている物も多くて全くときめかないのに、手放すと決められません。これを捨ててしまうと本当に着る服がなくて困る気がするのです。

毎日長い時間を共にする服なのに、こんなにもときめかないものに身を包んでいたのか。と愕然としました。そりゃあ仕事も家事も、楽しめないよね。

なんとか残すものを選んで、次は収納です。物語で出てきたアドバイスに沿って、一つずつ定位置を決めて、一つ一つの服が自立するように畳んで「立てて」収納します。

いつしか、時短のために畳まずに放り込み収納するようになっていた下着や靴下たちも、丁寧に畳んで立てて並べました。畳みながら、じわじわと物への気持ちが湧いてきて、皺を伸ばす手に想いがこもります。

そうやって収納したら、あら不思議。
その引き出しを開けるたびに気持ちが清々しく上向きになるのです。片付けをしてから2週間、今のところリバウンドもせず、清々しい引き出しが保てています。

初めにサクサク選べたときめく服たちは、子どもたちも一緒だとすぐに汚れてしまうからと、勿体無くてなかなか着られませんでした。でももっともっと日常をご機嫌に愛しい気持ちで過ごせるように、これからたくさん着ていきたいな。


ROOM2「歌う書斎」


次の物語は本です。これも同じく全ての本を一つに集めて、読まれずに眠っている「本を起こす」作業から始まります。

依頼主の男性の書斎には、まだ読んでいないから、人にもらったから、「いつか読むはず」の本で溢れています。

でも、その「いつか」は永遠にこない。とミコは言います。
「今」ときめかない本はこれからもときめかない。
途中まで読むことがその本の役割であることもある。

片付けを通して、男性は死に別れた父への想いに気づきます。積み残していた父へかけられなかった大切な言葉。



私は本は図書館で借りることが多かったので所有している本はとても少ないのですが、それでも一つ一つ向き合ってみて、持っていた約60冊のうち10冊ほどを手放すことにしました。

残すと決めた本を並べて背表紙を見渡してみると…
「自分らしく」「自然に」「ありのままに」というキーワードが浮かんできます。本の片付けから、自分が大切にしている価値観に気づくことができました。


まとめ


まだまだミコとボクスの片付けの物語は続きます。

物を溜め込む夫とそれを責める妻と同じように、ひしめき合う食器や忘れられた食材たちが「喧嘩するキッチン」、母の顔色をうかがい続けて育ち、自分の「好き」を言えなくなってしまった少女の「無口な子ども部屋」、別れた家族の面影を捨てられずにうめき苦しむ物の山に暮らす男性の「騒がしいゴミ屋敷」、死を目前に写真整理を通して家族との時間を大切にする老女の「物語るアルバム」。

どの物語も人間味が溢れていて、思いを重ねては泣いてしまう。

こんまりさんのリアルな経験と人とモノへの思いが詰まった、とても温かくて優しい本でした。


この本を読み終えて、まだ私の片付けは続いているけれど、すでに大きな変化が起こりつつあると感じています。

①物を手に取るときや置くときの仕草が変わった。
②ショッピングセンターへ行っても、物欲が湧かなくなった。
③「無くてもいいや」と思えるようになってきた。
これは物だけでなく、振る舞いもです。過剰な他人への愛想や、意に沿わないのに合わせることが必要ないことに思えてきました。

モノを減らして綺麗に収めることだけが目的ではなくて、モノへの向き合い方、モノが持つ役割へのリスペクトの気持ち、そしてそうやって大切に扱っているモノと一緒に暮らすことや身に纏うことは、自分を大切にすることにもつながります。

これがこんまりさんが伝えたかったことなんだなぁと感じました。

この感覚をもっと私の真ん中に染み込ませられたなら、子どもたちにもきっと伝えられるんじゃないかな。片付けを強要するんじゃなくて、モノと自分を大切にする生き方を知ってほしい。そう願っています。


「片付けは、人生を変える。」

この本に出会えてよかったです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。



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