四次元ポケットはドラえもんの一部か?
はじめに
ドラえもんβ開発プロジェクトを進めています。
ドラえもんβは、ドラえもんの本質を押さえたドラえもんの試作機です。
暫定的なドラえもんの本質
暫定的に、ドラえもんの本質は、「対等なパートナーありきの、心を持ったロボット」としています。
暫定的なドラえもんの本質に、四次元ポケットやひみつ道具の文言はありません。
しかし、四次元ポケットやひみつ道具があってこそドラえもん!と考える読者も多いのではないでしょうか。
四次元ポケットを持たないドラえもん
今回は、「四次元ポケットはドラえもんの一部か?」という、ドラえもんの本質を考える上で、非常に重要なテーマを考えていきます。
まず、のび太(ドラえもんのパートナー)は、普段ドラえもんのひみつ道具に頼りきりです。
テストでいい点を取るため、スポーツができるようになるため、いじめっ子のジャイアンやスネ夫に仕返しをするため、大好きなしずかちゃんに振り向いてもらうため、ドラえもんに泣きついては、四次元ポケットからひみつ道具を出すよう促すのが、お決まりのパターンです。
ドラえもんは、のび太に泣きつかれては、必ず四次元ポケットからひみつ道具を出し(てしまい)ます。
それでは、のび太は、ひみつ道具を出してくれるドラえもん、すなわち『四次元ポケットを持ったドラえもん』でなければ、そのネコ型ロボットをドラえもんとは認めないのでしょうか?
この、四次元ポケットはドラえもんの一部か?問題へのヒントは、大長編や映画ドラえもんにあります。
大長編や映画では、ドラえもんの四次元ポケットが使えなくなり(ひみつ道具が取り出せない!)、同時に、ドラえもんが生命の危機に脅かされるシーンが散見されます。
このドラえもんを『四次元ポケットを持たないドラえもん』としましょう。
それでは、このとき、のび太(ドラえもんのパートナー)は、『四次元ポケットを持たないドラえもん』を、ただの機械だからと見放すのでしょうか?
違いますね。
ドラえもんの危機には、それが四次元ポケットをはじめとするひみつ道具と同じ機械であっても、のび太は自分の体を張ってでも助けようとします。
四次元ポケット vs 四次元ポケットを持たないドラえもん
四次元ポケットをはじめとするひみつ道具も、四次元ポケットを持たないドラえもんも、基本的には未来の科学技術、いわば同じ機械です。
それでは、のび太はなぜ四次元ポケットを持たないドラえもんを助けるのでしょうか?
四次元ポケットをはじめとするひみつ道具とドラえもんの違いはなんでしょうか?
それは、のび太と対象とする機械との間に友情があるか、に尽きます。
実は、暫定的なドラえもんの本質「対等なパートナーありきの、心を持ったロボット」の対等なパートナーには、友達の意味合いがあります。
のび太とドラえもんの間には、友情があるのです。
ドラえもんの本質の更新
暫定的なドラえもんの本質で、友情でなく、対等なパートナーと明文化してきました。
現代のロボットは、人間が便利で豊かに生活するため、ロボットが人間に従う主従関係が強く見られる印象です。
これに対して、ドラえもんの世界では、ドラえもんがのび太に友情を感じている一方、人間ののび太もドラえもんに友情を感じています。
友達は、そもそも対等な関係のことを指すと思いますが、現代人は、ロボットや機械に対して、対等という感覚が希薄と感じ、友情や友達という言葉を使っていませんでした。
ただ、今回の内容ーードラえもんとのび太の関係ーーを考察する中で、友情・友達という言葉は、ドラえもんの本質から外せないと感じるようになりました。
そこで、ドラえもんの本質を以下のように更新します。
対等な友情関係にあるパートナーありきの、心を持ったロボット
最後に
本記事におけるドラえもんの本質の考察にあたり、『ドラえもん論 ラジカルな「弱さ」の思想 ; 杉田俊介 著』を参考にしました。
以前の記事で、人間の心とは何か?のような哲学書はある一方、ドラえもんとは何か?の問いを考えるドラえもん特化型の哲学書は見つけられなかったとしていました。
今回、この参考書籍を読んで、今の所ベストなドラえもん哲学書と感じたため、最後に紹介させていただきます。
本日はここまで。ありがとうございました。
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