退職した日の、ただの日記
もうすぐ午後8時になろうとする時間の、駅構内。
閉店間際の食料品コーナーが、がやがやと賑わっていた。
各店では売れ残った惣菜が大幅に値引きされ、
それを目当てにしたお客さんが列をなし、
惣菜は飛ぶように売れ、
ショーケースは目の前でどんどん空になっていく。
すでに全ての商品を売り切り、店じまいの準備を進めるお店もあるこの一角は、行き交う人で賑わいつつも、少し気怠げな雰囲気を醸し出していた。
家路を急ぐお客さんも、もうすぐ仕事を終えるお店の人も、間もなく今日という一日が終わる時間。
毎日繰り返されているであろう、どうということもない風景だけど、なんだか今日はそれがとても人間くさい。
すれ違う人の暮らしの息づかいを勝手に想像してみたり。
みんな帰る家があるんだな〜なんて、ちょっと感傷にひたってみたり。
今日で会社を退職した私。
会社と家を往復することはもうなくて、仕事も自分の時間も、生活の全ての時間が途切れることなく繋がっていく。
覚悟はしていたけど、ひとりで海にぷかぷか浮いているみたいな圧倒的な孤独感。
夜の駅を賑わす人たちが、少し眩しい。
まあ、とりあえずやれるとこまで頑張ってみようと思う。
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