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ITエンジニア採用不況の中でも輝く採用広報

各方面から集まってくるITエンジニア採用状況を整理していくと下記のような傾向が見えてきます。

全体的に積極採用を打ち出している企業は少なく、即戦力なりシニアレベルなりというところがベースで求められています。余計な採用は固定費の増加になるため「投資的な枠」は控える傾向にあります。

不景気を見越して固定費がかかる正社員を闇雲に採用するというより、厳選するという流れがあります。やはり2022年10月以前の採用シーンはバブルだったと言えそうです。

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ITエンジニア中途採用において高まる「認知」の重要性

ITエンジニアのシニア層にアプローチしていくにあたり、ここ数年、企業の名前を知られることが年々重要になってきます。

スタートアップであればMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とストックオプションと夢で訴求できます。これから大きくなるかも知れない、成長に立ち会えるかも知れないという観点からスタートアップは夢があります。しかしある程度のサイズと年数になってくるとその企業が何者か分かってきてしまうため、そのほか大勢に区分されがちです。そこで「弊社は○○な会社です」と打ち出していくことが必要です。

スカウトにしても2010年代中盤であれば物珍しさもあり、しっかりと身の詰まったスカウト文で訴求することもできたのですが、超売り手市場の今では知らない企業からのスカウトは埋もれてしまう傾向にあります。興味を引けたとしてググるところから始めるため、そのときに「何をやっているか」が不明瞭だと埋もれてしまいます。

テックブランディングとしての採用広報への注目

中途採用を絞ったとしても、予算という形で考えるとまだ年度内なのでいくらかの枠があります。この枠を削減しているという企業は少ないようです。その枠が空いた分、テックブランディング向上を目的にした採用広報にお金が回っていきそうだという話が複数入っています。仮にここで手応えがあれば、来年度以降にも盛り上がりが予想されます。

テックブランディングの観点では良質なテックブログを継続することがポイントですが、人的コストがかかりますし、即効性もありません。

そこで出てくるのが採用広報です。技術系セミナーや勉強会実施のような話もあれば、Wantedlyのメディア運用であったり、会社の雰囲気や事業を説明する動画作成もまた該当します。

テックブログほどではありませんがそこそこ地道です。ただ将来のシニア採用につなげるため、自社の認知拡大のために採用広報への投資が流れている模様です。

オフラインイベント・オンラインイベント

採用広報の一つとしてセミナーやカンファレンスといったイベントがあります。

コロナは拡大しているものの、緊急事態宣言は特に発令されなさそうな機運もあり、各所でオフラインイベントが開催されています。昨日12/3も3本ほど大型のイベントが被っていました。

ありがたいことに私も各種イベントやセミナーにお呼び頂いているのですが、オンラインかオフラインかハイブリッドかの分岐点になっているのが現在の状況です。

コロナ禍前のオフラインイベントでは、仕事の状況や交通の状況、天候などの要素により左右されやすく、平均的な参加率は5割というのがよく囁かれていました。

コロナ禍初期の2020年にはオンラインイベントが物珍しさ、移動時間がない、地方在住でも参加が可能、仕事をしながら視聴ができるということで参加率も7割程度まで上昇していました。

2022年になり、オンラインイベントを実施する企業が増えてくると物珍しさもなくなり、気軽なドタキャンと気軽な失念ができるようになったため、参加率が5割を下回る回もよく見るようになりました。シャープにターゲットを絞り、何に役に立つのか打算的なコンテンツにすると参加人数は少ないものの参加率は高い状況が作れる傾向にあります。

イベント参加モチベーション顕在層と潜在層とでも言いましょうか。うち顕在層だけ参加率が高いのが現在のオンラインイベントシーンです。2022年12月現在で言うと、久しぶりに展開されているオフラインイベントの方が珍しいため、顕在層だけでなく潜在層も集まっているように感じられます。どこかでまた落ち着いてしまうんだろうなとは思っています。

新卒にも認知施策

ご相談頂く中で、現在も安定的に頂く相談が新卒に対する認知施策としてのイベントです。

中途経験者採用が厳しく、未経験採用も定着が怪しい(数ヶ月~1年で転職、もしくはフリーランスになる)、海外は費用対効果(日本と同等かそれ以上の人件費が見えつつある)と、コミュニケーションに自信がない(英語を話せる人材が社内にいない)といったことから再度新卒採用に注目が集まっています。

ポテンシャルが高く、将来的に自社の中核を担うことが期待できるレベルの新卒を採用しようとすると「新卒人気企業ランキング上位層」と戦うことになります。ランキング入り企業と張り合うには「人気ランキングではないけれどもこちらの企業の方が成長できそうだ」と思って貰わなければなりません。そのために認知やブランディングが必要です。

もう一つの観点はオヤカクです。特に不景気下では認知度が低い企業への就職に難色を示す親御さんが少なくありません。企業の中にはそのためにTVCMを打っている企業もある程です。何かしらの露出があれば説明させやすいという傾向にあります。

広報施策の社内でのポイント

理解がある経営層を除くと、広報投資に対する見返りを求めます。以前からあるのですがイベント開催、セミナー開催に対して応募者数などへのKPIを設定し、コミットを迫るケースも見ます。特にお金に余裕のない企業や、アウトプット志向が強い企業ではシビアに求められる傾向にあります。

気持ちは分かるのですが、即日で応募に繋がるかというと、ほぼありません。イベント実施後から3年程度で思い出して貰えるケースもありますので気長な期待値調整が必要です。

そこで弊社のお客様にもお勧めしているのが「面接後アンケート」です。当日の面接の感想のようなNPSの観点や、現在の転職状況と並べる形で「弊社をどこでお知りになりましたか」という項目を入れます。費用対効果を図るのが難しいTwitter、テックブログ、イベント協賛などと並べて広報施策をチェックボックスの一環に交えるというものです。母集団に対してどの程度のアピールができているのか、半年~一年程度などの中長期での振り返りをお勧めしています。

noteやTwitterには書けないことや個別相談、質問回答などを週一のウェビナーとテキストで展開しています。経験者エンジニア、人材紹介、人事の方などにご参加いただいています。参加者の属性としてはかなり珍しいコミュニティだと思っています。ウェビナーアーカイブの限定公開なども実施しています。

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