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自己矛盾

 「死にたいけどトッポッキは食べたい(1&2の2冊)」を読んだ。気分変調性障害の著者の治療記録で、精神科の医師との対話形式で綴られている。自己に向き合いながら葛藤する著者を通じて、私の中にある何かを久しぶりに覗いた気分だった。

 私も昔は死にたいと思ったこともあるが、今はそこまで落ちていない。というより、自分の中心にある弱い自分を、何枚も皮で覆って守ってきた。周りからは強がって見られるが、それは弱い自分が少しでも現れると全てが崩れる恐怖があるから。いつも二分法的思考で判断し、なるべく他人の価値観は気にせず、自分自身の絶対価値を重視して生きるようにしているのに、他人のことは自分と比べて相対評価してしまい、自己肯定感なんてクソだと思いながら、自分の思考こそが正当だと思い込んでしまう。他人から評価されても嬉しいと思わないけど、何もないと虚しさを感じる。それでいて、自分で何かを達成しても、その価値を過小評価してしまう。ポジティブでキラキラした人を眩しく感じる。今でも心のどこかで私は幸せになってはいけないと思っているが、自己憐憫に対して自己嫌悪を覚える。本の中で出てくる「私は私でありたく、私でありたくない。」という部分に筆者と自分を重ねてしまう。よくストイックだと言われるが、本当は自己処罰的な欲求の現れだと思う。自分に自信がないし、自分なんてどうせクソだからと思っているのに、毎日何かを探している。何かになりたいわけでもないし、何かを諦めたいわけでもない。

 こんな自分を見せないように日々を過ごしている。自分を覆った偽りの膜がいつか剝がれるのではないかと思うこともあるし、膜をはがしたら、本物と思っている自分は消えていて、後には何も残っていないような気もする。偽っているつもりの私も、本物の私も、私だということなのかもしれない。

 ひたすら自己矛盾を抱えながら、無限ループする思考の中で生きている。もはやこの葛藤こそが、私にとって生きているということなのだ。ただひとつ信じているのは、自分の中にある1ミリでもいいから前に進みたいという想いだけだ。結局は、自己矛盾を愛でることができるかということ。

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