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関係性の質はなぜ結果の質に影響する?「成功の循環モデル」を読み解く

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する「成功の循環モデル」というものがあります。ご本人の解説記事を教えていただいたので貼りつつ、英語だったりもするので、少し嚙み砕いて読み解いてみたいと思います。

「システム思考」で環境を理解すること

大前提となるのが「システム思考」です。要は、何かしらの結果は、相互に関連し影響しあう複数の要因からもたらされるよ、という考え方です。

システム思考の例

ここでは成功の自己強化(弱化)するループを探すことが重要です。例えば、よいサービスがある→利益が増加する→人的投資を拡大する→技術を向上を才能を開花させる→よいサービスがある・・・というような循環ポイントを見つけられたら、組織の強みを把握することができます。逆に悪影響を及ぼす循環ポイントがあれば、そこに介入することで対処することが可能です。

これと対比した従来的思考としては、一つの要因が一つの結果をもたらす、というものがあります。

従来的思考の例

例えば「花束を贈ったら夫婦関係が良くなった」という一つの事実があったとしても、それを連打すれば最高の関係になるのかというと、おそらくそうではないでしょう。単線的な「〇〇をしたから良好な結果となった」という捉え方は、本来より複雑な物事の動きをミスリードしてしまうおそれがあります。

関係性の質も考慮する「成功の循環モデル」とは?

そしてシステム思考から成功を導くモデルを一般化したのが、「成功の循環モデル」です。

チームの関係性の質は、チームの思考の質を高めます。忌憚ない意見交換ができるわけですね。そしてそれが行動の質を高めるので、結果の質も高める。さらに、いい結果が出るとまたチームの関係性の質が上がる。そういったループのことを指しています。

例えば結果の質が悪くて困っている。その時にトップダウンで強力に結果の質に介入し、底支えしたとします。ところがこれでは根治にならず、延々と問題を繰り返す場合があるのです。

これは結果の質への直接的介入手法が短期的に成果を上げても、関係性の質を棄損することで長期的な成果に繋がっていない可能性を示唆しています。

極端な例を挙げてみます。結果の質が思わしくないということで、マネージャーが部下を手厳しい言葉で攻撃し叱咤激励したとします。震え上がった部下たちは短期的には大慌てで成果を出すかもしれません。しかし、心の底では不満を募らせ、不都合な情報がマネージャーの耳に入らないようシャットアウトし、見せかけの数字を作ることに勤しむようになるかもしれません。

マキャベリも「君主論」で言っています。「一度でも自分が侮辱した相手のことを信用してはいけない」と。(そういえば本を紛失したので、違ってたら教えてください・・・)要は関係性の質を軽視すると足元を掬われる可能性がありますよ、ということですね。

環境のマッピングで介入ポイントを明確化することが大事

重要なのはこのモデルをイメージしつつも、具体的にどこに介入すべきかを考えていくことです。

より具体的なシステム思考のモデルを作っていくと、組織ごとに形が大きくことなるはずです。そこから良いループを打ち切っている具体的な介入ポイントを探し、打ち手を創造していく必要があります。

このマッピングをしっかりやると、「あそこの成功事例をマネしよう」というような従来的思考が単純には機能しないことがよく分かるのではないかと思います。

参考:関係性の質を普遍的に破壊する4毒素

とはいえ、一つくらい普遍性の高い介入ネタも置いておきたいと思います。こちら以前の記事ですが、ジョン・ゴッドマン博士の提唱する「4毒素」というものがありますので、ご参考にどうぞ!

さて、今回はダニエル・キム教授の成功の循環モデルをご紹介しました。ぜひ身近な環境をマッピングしてみてください!


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