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チューリップ、バッド・トリップ

昨日の記事から、ショートショート小説を書いてみたよ。下手だけど何事も練習😙

チューリップ、バッド・トリップ

「チューリップの花言葉をご存知ですか」

行きつけの花屋のうさぎが言った。
「花言葉ですか」
僕はそんなこと気にもしたことがなかった。「『博愛』です、私みたいですね」
にっこりと微笑んでうさぎはツバキを差し出した。
「ひとつ五百円です」
「高いなぁ」
「うちは直接仕入れてますからね」
それだったら、普通もっと安くなるんじゃないかなぁ。と思いつつも僕はこの店と適当なうさぎをずいぶん気に入ってしまっていた。それ以上は言わずお金を差し出した。
「と言うかなんでチューリップ?」
「もうすぐ入荷するんですよ」
「このツバキの花言葉は?」
「ご自身で調べてください」
相変わらず適当なうさぎだった。
家に帰って早速ツバキの花言葉を調べた。花は色ごとに花言葉が変わってしまうらしい。赤ツバキは『控えめな素晴らしさ』だった。

「チューリップ入荷しましたよ」
また少し時が経ち、次に訪れると
色とりどりのチューリップが並べられていた。
「ピンク色のチューリップをください」
「………」
うさぎから返事がない。
「?チューリップ、ください」
不思議に思いながらうさぎをみつめる。
「こちらのチューリップをさしあげますよ」
うさぎは短い手で精いっぱい一本のチューリップを渡してきた。ポケットから財布をだそうとすると
「無料ですよ」と微笑んできた。
「ピンク色のは先約があるんです」
「そうでしたか…それでもお支払しますよ」
そう僕が話すとくすくすとうさぎは笑い
「ばか真面目ですねぇ」と言った。
「今度また新しい花を入荷しますから、それを買いに来てください」
うさぎが頑なに代金を受け取らないので、僕は結局支払うのを諦めた。
「ではまた来ます」
「お元気でいてくださいね」
普段と少し違うような、うさぎの言動が気になったが僕はそのまま去ってしまった。そのうちにあの花屋は店じまいしてしまったと風のうわさで聞いた。営業許可を貰わずに違法営業していたらしい。あのときの黄色いチューリップはもう枯れてしまっていた。

おしまい


★黄色のチューリップの花言葉
「名声」、「正直」、「望みのない恋」

☆友人へ
サムネイル画像使わせてもらったよ〜
問題あったら言ってね。
☆ショートショートを書いたときの参考URL
https://www.sanyodo.co.jp/news/bks_short_short 

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