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ぱっとみ真面目な中間管理職の私が、芸人に憧れて芸人を諦めるまでの10年間(6)

今年ディズニーランドと一緒に40歳アニバーサリーを迎える、見た目も平凡、人生も平凡、中間管理職が天職の私が、18歳から28歳まで芸人になりたくてくすぶっていた話。そして、きっぱりあきらめた話。

初舞台の達成感

私のネタは、難解でした。
ラーメンズに傾倒し、しかしラーメンズがなぜ面白いのかロジックがわからず、最終的になぜか私はアンジャッシュのようなすれ違いネタを作っていたのです。
当時のアンジャッシュは二人の会話の内容が、お互いに思っているのと違っていて、食い違いが面白い、というものでしたが、私が先輩に最初に見せた渾身のネタは
それをただ難解にした仕組みでした。

舞台の左半分だけが明転し、私が録音音声と会話する寸劇が一つ。
次に舞台の右半分だけが明転し、相方が録音音声と会話する寸劇が一つ。
最後に舞台全体が明転し、私と相方が先ほどと同じ会話を繰り返すと、二人の会話が成り立っているように見える(しかも変にかみ合っているだけで結局おかしな会話である)、というものでした。

同級生の反応はとても悪かったのですが、先輩は「すごいじゃん!練られてるじゃん!」と無邪気に喜んでくれて、私の芸人(を目指す)人生が終わらなくて済みました。
そして、私は同級生の相方と組み、小さな場所で初舞台を遂げたのでした。
緊張と、拍手のみの舞台。

録音音声を使ったからか、緊張しすぎたのか、笑いがなくても、滑った記憶もありませんでした。
とりあえず、一歩を踏み出せた。
その高揚感がすべてでした。

私は、ついに私の「面白い」を表現するステージに突入しました。


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