独立のための⑫:事業計画をつくる~月単位の予算設定~
みなさまこんにちは。
今回は今までで作った生産費をもとに月ごとの予算を立てていきましょう。
①5年後の売上と所得を決める
②ネギの相場、単収、収穫時期を調べる
③ネギをどれくらい売れば①の売上を達成できるのか計算する
④どのくらいの面積をやればよいのか計算する
⑤作付け計画を作成する
⑥施肥設計をする
⑦どれくらいの経費が掛かるのかを計算する
⑧5年目の事業計画を月単位で試算する
⑨所得が①で設定したものになるように調整する
⑩最初に必要な農機類を整理する
⑪1年目から4年目のストーリーを作る
⑫1年目から4年目の経費を計算する
⑬1年目から5年目までのキャッシュフローを試算する
前回までで、経費の試算ができました。
次にこれを使って月単位での収支を試算しましょう。
まずは⑤で作成した作付け計画の表を改めて確認します。
ここにはいつ播種をして、いつ定植をして、いつ収穫をするのかが記載されています。
この表の中に前回作成した試算表の各項目を作成します。
では早速計算していきます。
圃場準備費用
圃場準備は施肥作業のことになります。この作業は基本的には定植の直前に行いますので実際に資材を準備するのは定植の前月になります。
ですので計算式は定植予定の前月に出費されるように組みます。
例えば、3月定植だった場合には2月の列に計算式を入れます。
E7=F3*$C$7(=定植面積×1a当たり圃場準備費用)
これで2月/圃場準備のセルに数字が表示されます。
2月に圃場準備でかかる費用は24,982円でした。
育苗費用
育苗は播種の前の月には資材がそろえます。ですので播種の前月に出費されるように組みます。つまり定植の三か月前ということになります。
本来であれば播種枚数から算出するのが一般的かもしれませんが、単価の単位設定が1a当たりの費用になっていますので定植面積から算出します。
では今回も2月の例で計算します。
今回は5月定植分の育苗費ということになります。
E8=H3*$C$8(=定植面積×1a当たり育苗費用)
これで2月に発生する育苗費410,813円が算出できました。
したがってこの年の2月には3月定植分の圃場準備費用2,4982円と5月定植分の育苗費410,813円がかかり、合計で435,794円の出費になるということです。
生育管理費用
生産管理費用は主に定植後から収穫までの防除や追肥などといった項目です。ですので定植当月に出費されるように計算します。
今回は3月を例に見てみます。
3月に定植があるので3月定植分の費用になります。
F9=F3*$C$9(=定植面積×生育管理費用)
3月では50,538円の出費となります。
収穫出荷費用
最後に収穫出荷費用です。この項目も今までと同じように計算したいところですが、そうはいかず少し複雑になってしまいます。
なぜなら今までの項目は定植面積により出費が固定されていましたが、この費用に関しては出荷手数料という形式の出荷量に応じた出費だからです。
ですので単純に定植面積×収穫出荷費用では算出できません。
ではどうするかというとこの項目を出費の内容によって分けます。
ここでの具体的な例でいうと梱包費と出荷手数料です。
まずは梱包費から考えていきましょう。
梱包費の内容は基本的には段ボール代になります。これはネギに使用する段ボールは5㎏入りが一般的ですので使用する箱数は出荷量÷5で算出します。
そこに1枚単価の100円をかけることで求めることができます。
7月であれば以下の計算式になります。
J10=J2/5*$C$10(=出荷量÷5kg×段ボール1枚単価)
次に出荷手数料です。
出荷手数料は出荷する際にかかる手間賃です。いわゆる中間マージンというものですね。この価格は出荷先によって異なりますが、JAの共選出荷の場合は出荷金額の15%ほどが相場となります。
ですので出荷手数料は出荷量×出荷単価×15%で算出されます。
梱包費と同様に7月の場合の計算式は以下になります。
J11=J2*$C$2*$C$11(=出荷量×出荷単価×15%)
したがって7月の収穫出荷費用は155,740円となります。
以上が年間の直接的な生産に伴う出費となります。
実際にはここから間接的である費用の燃料費や地代、水道光熱費、租税公課、機械整備費用など定期的に出費が発生しますのでご自身の生活水準や持っている道具(中古品なら機械整備費用の金額がかさむ等)を考慮して下に項目を追加していってください。
次回はこの算出した売上と経費から大まかな所得額を計算していきます。
それではみなさままた次回。
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