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マジェルカのお財布事情

みなさんこんにちは、マジェルカ代表の藤本です。
今日はマジェルカの事をもっと知って頂く為に、ソーシャルビジネスであるマジェルカの活動の収入源の部分がどうなっているのかという、今までとは違う切り口から書かせていただきました。

全国の障害者が働く福祉事業所で作られた自主製品の価値を正当に評価し、その価値に見合った価格や方法で販売する"福祉(ウェルフェア)のフェアトレード「ウェルフェアトレード」”を実践するマジェルカですが、そのマジェルカ全体の活動と場所を成り立たせるための運営費は、大雑把ですが次の3つの収入から得ています。

  1. 商品を販売することによる利益

  2. 会員の皆様からの会費

  3. その他

マジェルカは、福祉事業所で作られた自主製品を専門に販売する、いってみれば「福祉ショップ」です。
でも、行政や行政から受託した団体が運営する全国各地の「福祉ショップ」のように、その運営に公的な予算が支給されているわけではありません。
また、今年の3月までは就労継続支援A型事業所を運営していたので、それによる給付金を、人件費等の運営費の一部に充てられていましたが、それを廃止した現在は、自前で集める上の3つに完全に頼って運営している形態となります。

1の「商品を販売することによる利益」は一番わかりやすいかと思いますが、マジェルカの根本ともいえるウェルフェアトレードそのもので、最重要活動です。
時にはイベント販売や卸販売などもありますが

  • 吉祥寺の店舗での販売

  • オンラインショップでの販売

この二つがメインとなります。

私は本来、作業所製品を販売する事からきちんと利益をあげ、その利益をもって作業所製品の販売活動を行う、というのが、関わる全ての人にとって健全で理想的な形だと考えています。


吉祥寺のマジェルカ店頭

そういう意味では、私達がウェルフェアトレードの定義としている「その価値に見合った価格や方法で販売する」という事によって目指しているのは、
価値を高める事で利益も高め、得られた利益を、作り手である障害者と、売り手である私達とで配分する事となります。

全てを障害者に還元せず、自分たちもそこから得る、というこの考え方には反発する方もいるかもしれません。
実際に「マジェルカは障害者から搾取している」と言われた経験もあります。

でも、障害者に全てを還元するとはいえ、手間暇掛けて作られた製品を二束三文で安売りし、還元できるのはわずか雀の涙ほどというやり方と、商品が生み出す利益=価値を高め、お客様に納得してもらう売り方をすることで、作り手だけでなく、それを売る側にも必要な利益をもたらせてくれるようにするやり方とでは、同じ自主製品販売という手段をとっていても、その目的や目指す所、そこから生み出すものには大きな違いがあり、全く異なる活動だとも考えています。

私達マジェルカは、創業時から変わらずにその違いを意識し挑戦し続け、店舗やオンラインショップで売ること、買ってもらえることを重要視し、売上を高めることを常に目指しています。
これ自体が即ち「ウェルフェアトレード」の実践であるとともに、「ウェルフェアトレード」を継続していくために必要な手段だと捉えています。

2の「会員の皆様からの会費」とは、個人様や企業様が、マジェルカの活動や理念に共感し応援の意思でご入会頂く「サポーター会員」と、福祉事業所が、製品の販売を通して私達と一緒にウェルフェアトレードを広めると共に、その販売を担うマジェルカの活動と場所の運営に協力し加わってくれる「パートナー会員」という2つの会員制度があります。
一昨年からの仕組みなので、数はまだ多くはありませんが、それぞれのマジェルカを大事にして下さるお気持ちからは勇気をもらい、その会費はマジェルカの支えとなっています。

3の「その他」というのは、様々ありますが、その中でも日常的な売上げとして重要な1つは「レンタルスペース運営」です。
マジェルカのショップは1階の路面ですが、地下に同じ広さのスペースが有り、(元々1階と地下がセットになった賃貸物件なのです)吉祥寺の中道通りという集客力のある立地でもあることから、有効活用の方法としてレンタルスペースとして貸し出しています。

マジェルカ地下のレンタルスペース(クリックでレンタルスペース案内ページへ)

「ウェルフェアトレード」とは全く関連の無い事業ですが、「ウェルフェアトレード」の利益率の低さを補ってくれる収入源の一つになっています。

他に日常的な売上事業はありませんが、「その他」の収入には助成金も入ります。
実際、コロナ関連の助成金には本当に助けられました。
ただ、今後はそういった救済策は全く期待出来ないと考えています。

今、飲食店以外でも、店舗を持つ客商売が受けているコロナのダメージに関して、世の中的には慣れや、報道の取り上げ方、また私達的には、繰り返す状況の中で何度も発信する事に疲れてしまった事などから、以前ほどにイメージされなく、ともすれば回復しているかのようにとられているのではと感じるときがあります。
でも実際のところは、むしろ取り沙汰されなくなった今のダメージがとても大きいのが現実です。
今年の春に第6波が収束し、やっと売上回復の兆しが見えてきたと、ようやく期待を持てた矢先の第7波には、正直息切れを感じていますが、どうにか希望を失わないようにしています。

記録的な猛暑が重なり、吉祥寺の人出も目に見えて減り、店舗では日によってコロナ以前の1割、2割しか(1割、2割減ではなく)売上が無いという日も多くあったり、なぜか客足と関係のないオンラインショップの売上までが右肩下がりだった先月の7月の売上を恐る恐る集計してみると、コロナが始まった2020年の3月以降で一番少なかったという結果に愕然としています。

マジェルカ店舗&オンラインショップ売上推移

今後は助成金などに期待は出来ないでしょうし、人出が増える事だけを期待しているわけにはいかないので、まずは、さらにオンラインショップに注力をしていく事を考えています。

マジェルカオンラインショップTOPページ

「その他」の収入源では他に、以前は考えられませんでしたが、”寄付”というものにも今後は少し期待を持っています。

しかし、上で述べた、”作業所製品を販売する事からきちんと利益をあげ、その利益をもって作業所製品の販売活動を行う、というのが理想的” という話と矛盾していると思われるかもしれません。
それでも、”作業所製品を販売する事”にこだわって、そこを最大化しようと努力や工夫を行っているつもりですが、特に今の状況下では、それだけで活動を維持出来なくなっているという現実があります。

今は、自分の理想としてベストでなくても、マジェルカが今日まで果たしてきた機能が損なわれない限り、この場所と活動を続けていく為には、あらゆるリソースを活用するべきだと考えています。

その為の寄付に、「今後少し期待」といいましたが、既に昨年実施したクラウドファンディングでは、少しどころか、予想を上回る多大なご支援を頂きました。

昨年行ったクラウドファンディング

600万円以上もの大きな金額のご支援を頂けたことで、それまでにコロナ禍で重ねた収益減による赤字を補う事が叶い、マジェルカを継続させて頂くことが出来ました。
ご支援頂いた皆様には本当に感謝しています。

実際に集めた620万の使途は以下となります。

  • クラファン運営会社(キャンプファイア)への手数料:約60万円

  • クラファンリターン(商品券・その他・送料等):約100万円

  • マジェルカ運営費:約460万円

そして、マジェルカの運営費に充てさせて頂いた460万円の内訳の説明が以下になります。

〈マジェルカの1ヶ月にかかる店舗運営固定費〉
・家賃:44万円
・人件費(パートタイム3人):約30万円
・水道光熱費・通信費:約7万円
・合計:約81万円

※この他にかかる運営費として、社員スタッフ人件費・租税公課・各種サービス利用料・商品仕入れ代金・融資返済等があります

コロナ禍による売上の減少により、この毎月最低かかる店舗固定費81万円のうち、約3割にあたる25万円程度がまかないきれずに赤字が積み重なっていました。
その積み重なった赤字分の18ヶ月分に相当する部分をこのクラウドファンディングでまかなえた計算になります。

600人以上もの方々のご厚意によってマジェルカは生きながらえさせて頂いたといえます。

有り難い事に、このクラウドファンディング以外でもご寄付を頂くということもあります。
個人の方から大きな額でのご支援を賜った事もあります。

これを知ると意外だと驚かれる方も多くいますが、冒頭に書いたように、マジェルカは全国各地の「福祉ショップ」のように公益性のある事業として行政からの委託を受けた活動ではありません。
しかし、憚らずに言わせてもらうと、マジェルカのほうがよっぽど公益性が高い価値を世の中に生み出し、発信し、牽引しているという自負はあります。

それが、今のシステムの中では公的にサポートをしてもらうことは出来ませんが、クラウドファンディングでご支援下さった方々や会員の皆様のような、市井の数多くの方々から負託を受けて活動を続けるという形となっています。
そして、負託を受けた側である我々が、その期待を裏切らないように、日々の努力と緊張感を持って活動を続け、高めていくという形ともなっています。

公益性の高いサービスが存在する形の一つとして、それはある意味合理的で理想的な形なのかもしれないと考えます。

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