「あつまれ どうぶつの森」の美術館のモデルはどこ? 一級建築士に聞いてみた
はろー、先日のあつ森の記事が予想以上に広まってビックリしているまいしろです。こんにちは!
あつ森といえば、釣りやムシ取りをして 無人島ライフ を楽しめるゲームですが、その中の「博物館」が どう見ても最高すぎた ので、上の記事ではどこがどう最高なのかを一級建築士に解説してもらいました。
こんな感じで、建築士の目線で 外観 を説明してもらったり...
細かいところをチェックしたり...
実際の博物館と比べてみたり...
...という感じで、とにかく超・特大ボリュームの記事だったので「もうあつ森について書くことはないかな〜〜」と思っていた矢先、この記事を書いてから5日後に 大変なこと がおきました。
あつ森ユーザーなら全員「あ、あれか...!」と思うところですが、この記事を書いたのは4月17日のこと、そこから5日後といえば...
_人人人人人人人人人人人_
> 博物館が増築決定!!! <
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あつ森をやってない人のために説明すると、神様・任天堂が あつ森を大きくアップデート したんですね。
これまでなかった機能がアレもコレも追加され、私がさらにあつ森の世界から出られなくなる ことが確定したわけですが、いろんなアップデートの中のひとつに 博物館のアップデート がありました。
わかりやすいので見てみましょう! つまり前はこうだったものが...
神様・任天堂のアップデートでこうなって...
ある日突然こうなりました!
まあ平たくいうと、アップデートで博物館の2Fに突然 美術館ができた んですよ。ヤバすぎますね。
ちなみにおさらいしておくと、前までの博物館はムシ・サカナ・化石のゾーンの3つでした。
ムシの博物館はこんな感じで...
サカナの博物館はこんな感じで...
化石の博物館はこんな感じで...
ここに美術館が加わったわけです。
つまり何が言いたいかというと、これまでの「あつ森」博物館と同じく美術館も なんかよくわからんけどめっちゃいい感じ なんですね!!!
というわけで、この言葉にできない気持ちを言葉にしてもらうべく、またしても一級建築士の方をお招きしました。
というわけで、ここからは私・まいしろと一級建築士のつばさ先生のインタビュー形式でお届けします。
*****
まいしろ(以下、まい):というわけで、前回の記事から5日ぐらいしか経ってませんが、今回もよろしくお願いします。
つばさ(以下、翼):よろしくお願いします。
まい:ちなみに先生、前よりちょっと服装がきちんとしてませんか?
翼:そうですね。実を言うと、ありがたいことに前回の記事が思ったよりも広まったため、勤めている建築事務所にバレました。
なので、今回は上司に読まれても大丈夫なようにスーツで参加しています。
まい:なるほど、あつ森のスーツって身バレした時に使うものなんですね。では、建物を見ていく前に、一応博物館のおさらいをしておきましょう!
あつ森をやっていない人のために解説すると、あつ森の博物館は3つのゾーンに分かれていて、それぞれムシ・サカナ・化石が展示されていたのがこれまででした。
それに今回増築されたのが2Fのゾーン。ここはまるごと美術館になりましたね。
というわけで増築された美術館、さっそく順番に見ていきましょう!
1. 外観はどう?
まい:では、まずはアップデートされた外観についてお願いします。
翼:なるほど。まず気になるのは、縦横比が変わっている ことですかね。前の博物館にあった縁石(えんせき)がなくなって、横に長くなっている。
まい:ほんとだ、後から横に広げるために、実は最初から縁石が置いてあったんですね。
翼:そうですね。それから柱も古代ギリシャ式 からドーリア式 に変わりましたね。
まい:本当だ、柱も変わってる...! ちなみにこの変化ってどういう意味があるんでしょうか?
翼:うーん。色や装飾も含めて、全体的に1,000年分ぐらいモダンな建物 になったかな?
まい:1,000年分ぐらいモダン...。全然ピンと来ないですけど、ちょっとだけ博物館が令和に追いついたんですね...!
まい:では、次はエントランス。新しくできた美術館の入り口についてなんですが...
翼:ここは、アップデートされる前に
・わざわざ天井を照らすライトがある
・もしかして天井に "フレスコ画" があるのでは?
と指摘したところですね。
まい:そうなんですよ。だからアップデートされたときに「フレスコ画来たーーーッ!!!」と思ったけど来なかったですね。
翼:本当にこれは 今月イチ残念 ですよ。僕もこれは来たと思いましたもん。
まい:コレはほんとに任天堂に届いて欲しいところですよね。
翼:そうですね。フレスコ画じゃなくてもいいんですよ。ていうか、見たいだけなんですよ。任天堂の天井についての考えが知りたい。
まい:任天堂で 天井を担当されてる方、ぜひご検討お願いします!!
2. 絵画ゾーンはどう?
まい:では続いて、美術館の中の 絵画ゾーン についてお願いします。
翼:なるほど。この部屋で気になるのは2点ですね。
翼:まずは部屋のスミにある電線です。電線は壁の中に隠すのが普通なので、こうやって電線が見えていることはあまりないんですよ。
ただ、たまに電線が見えていることがあって、主な理由は2つあります。1つは、古い建物にあとから電気を通した 場合。構造上、壁の中に隠せないときですね。
そしてもう1つは、ほとんど建設し終わったあとにエラい人が「ここにも電源をつけようか!」と言い出したとき ですかね...
まい:めちゃめちゃリアルな現場の話だ...
翼:あつ森の場合は わざと電線を見せて、古い建物っぽくしている んだと思います。それか、だれか相当エラい人が後から文句を言ったのかもしれませんが...。
まい:あつ森で一番エラいのって、たぬき開発(不動産)社長のたぬきちですけど、たぬきちが後から言ったんでしょうか?
※イメージです
翼:そうかもしれないですね。
それから、この美術館にはいくつかイスがあるんですが これに座ると、絵の全体図が観やすくなりますね。鑑賞者のことを考えてあるのがとてもいい。
まい:そうですね! 実は、いままでも博物館には、立ったり座ったりすると視点が切り替わるフォトスポットがいくつかありました。
まい:ですが、美術館は 特にそれが多い と思います。イスはすべて座ると視点が切り替わるし、フォトスポットも充実してます!
翼:そうですね。博物館の他の場所にくらべて、よりじっくり鑑賞してもらえるように作っているんだと思います。これは本当に細かいですよね。
まい:あとは、小さい画の間 はどうでしょうか?
翼:ここは美術館の他のところと雰囲気が違いますが、ここは 東京国立博物館 をモデルにしているように見えますね。
まい:確かに! 展示ケースが似てますね。公式の動画を見てみると、実際に飾られるものも日本画や浮世絵のようなので、そろえていくのが楽しみです!
3. 彫刻の間はどう?
まい:ではいよいよ、今回のメインとも言える 彫刻の間 についてお願いします。
翼:うわー! これは...
翼:石にストイックな部屋ですね!
まい:何に喜んでるのか全然わからない...
翼:これはすごいですよ! まず、生々しい話からいきましょうか。
翼:床の値段が、他とくらべて3倍です。
まい:本当に生々しい話をありがとうございます。
翼:ここの床は大理石のようですが、これは1㎡ あたりの値段がケタ違いに高いんですね。この広さの床を すべて大理石にしているのはすごい。かなりお金をかけています。
あとは、石の並べ方がすばらしい。まずはこれを見てください。
翼:これ、パッと見だと「なんかいい感じに並べてあるな〜」としか思わないじゃないですか。でもこれをよく見てみると...
翼:すべて床のタイルの線に合わせて並べてある。
こういう「床のタイルの線に合わせて、モノがキレイに置かれているか?」というのは、実際の設計ではかなり気にするところです。
他の建物を見るときもついつい見てしまうところだし、床に沿ってキレイにモノを並べている建物を見ると「いい設計だな」となります。でも、建築士以外はあまり気にしないところでもあるんですよ。
だから、こうやって床のタイルに合わせて並べているのは、かなりストイックに作っているな〜と感じますね。
まい:そうなんだ...! 私「この部屋、なんかキレイだな〜」ぐらいに思ってたんですけど キレイに見えるにはちゃんと理由があったんですね...!
翼:それから、この部屋で気になるところがあるんですが、この ルネサンス式の柱はどこがモデルなんでしょうね?
まい:フッフッフッ...
翼:えっ、なに?!
まい:先生、私これけっこう調べたんですよ。読者の方にも教えてもらったように、あつ森の博物館には いろいろモデルがあった じゃないですか。
■化石の博物館
■ムシ・サカナの博物館
でも、この美術館は なかなかモデルが見つからなくて、唯一「コレじゃないかな?」と思えるのがここなんです。
まい:パリのルーブル美術館 です。
翼:急に世界に飛び出しましたね...
まい:ルーブル美術館って、この部屋みたいに彫刻だけが飾られた大理石の部屋 があるんですよ。マルリーの中庭というところです。
まい:ここは 太陽王 と呼ばれたブルボン王朝・ルイ14世の時代に作られた部屋で、広大なルーブル美術館の リシュリュー翼 と呼ばれる場所にあります。ちなみにリシュリューとはルイ13世の時代に、絶対王政の基礎を築いた宰相で...
翼:うーん、なるほど。長くなりそうなので、この辺にしましょう。
まい:えっ、フランスの歴史おもしろいのに?!
※まいしろは「ベルサイユのばら」のファンです
翼:でも、この部屋は本当に マルリーの中庭をモデルにしている みたいですね。
翼:柱の形が同じです。
まい:えっ、ほんとだ!!色と形がソックリですね!
翼:あと、この部屋の他にもいくつか「ルーブル美術館をモデルにしているのかな?」と思えるところがありますね。
翼:となりのモナ・リザが飾られているこの部屋も、壁や床にルーブルらしさがあると思いませんか?
まい:いやちょっとわからないですけど...
翼:まずは、壁のこの部分。
翼:壁のカドのところを 出隅(ですみ) というんですけど、ここは あまり目立たせないようにする のが普通です。
ただルーブル美術館の場合は、壁がぶつかられて壊れたりしないように、出隅にガードを付けています。
そのため、出隅が目立ってしまっているのですが、あつ森もそれに合わせて 出隅を目立たせているんじゃないかと思います。
翼:それから、床の模様も同じですね。
これは ヘリンボーンという模様の床で、ニシンというサカナの骨の形のような模様なのですが、これもあつ森・ルーブル美術館のどちらでも使われています。
翼:ただ気になるのは、絵画の前に置かれている パーテーション が違うことですね。
美術館だと、鑑賞の邪魔にならないよう足元に 低いパーテーションを置くのが普通ですが、あつ森ではポールが置かれています。
あそこまで 石にストイックだった任天堂が、なんの理由もなくポールを置くとは思えないので、ここはゲームが進むと何かあるのかもしれないですね。
まい:(先生、めちゃくちゃ石へのストイックさ気に入ってるな...)
翼:また、このあたりは、ルーブル美術館だけでなく、他の美術館でもよく見られるところだったりするので、いくつかの美術館を組み合わせているのかもしれません。
でも、いずれにせよルーブルは「モデルの1つになっているのでは?」と思いますよ!
まい:なるほど。あつ森の美術館が いろんな美術館を組み合わせながら丁寧に作られている ということがよくわかりました。
では先生、最後にメッセージをお願いします!!
※つばさ先生のちょっとマニアックなinstagramはこちらから!
ちなみに...
今回出てきたルーブル美術館も、バーチャルツアーが公開中!!
サイトがちょっとだけ重い のが難点ですが、手軽に海外旅行気分が味わえるので、今の時期は特にオススメです!!
というわけで、今回はここまででした。じゃあまたねー!!
***5月23日12:30追記***
このnoteと、前編となる「あつまれ どうぶつの森」の博物館はどうすごい? 一級建築士に聞いてみたのおかげで、実際に国立科学博物館(かはく)の化石研究者さんにインタビューにいけました!!
化石研究者のお二人とかはくの広報担当者が、あつ森博物館を本気で解説してくれてるよ!!
読んでくれた皆様、ほんとにありがとうございました!!
というわけでここまでした!読んでくれてありがとー!