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幼児の言葉の習得(バイリンガルの場合)

双子もつい先日とうとう2歳を迎えた。

2歳くらいになるとやはり気になるのが「言葉」。少し前までの「言葉にならない言葉」での意思表示から、「日本語」あるいは「フランス語」での意思表示へと変わって来ている。

ちなみに私たちが住んでいる場所がフランスだし、平日預けている人ももちろん、フランス人。二人が日本語に触れる機会があるのは私や夫(フランス人だけれど日本語話者でもある)のいる家の中のみ。というわけでほぼフランス語漬けの毎日を送る二人の口から出てくる単語の半分以上はフランス語(に近い)。

そんな中、この夏、日本へ1ヶ月ほど一時帰国をした。

2歳直前に日本へ行き、毎日毎日今度は日本語漬け。

バイリンガルとして言葉を習得するとはこういうことか、と実感したのは「おばあちゃん」という言葉を使うようになったときのことだった。

フランス語でのおばあちゃんは「マミー」。二人も義理の母(フランス人)のことはいつも「マミー」と呼んでいた。

日本で私の母に出会い、しばらくしてから二人が彼女を「マミー」と呼び出した。もしかしたら一度か二度、「マミーはおばあちゃんのことだよ」というようなことを言ったかもしれないけれど、二人はあっという間に「マミー=おばあちゃん」という理解をしたのである。

それからしばらくは周りが彼女のことを「おばあちゃん」と言うのにも関わらず二人は「マミー」と呼び続けたけれど、あるときから徐々に「バッチャン(おばあちゃん)」に変わっていった。

二人の頭の中で物事には複数の言い方(名称)があるということがある種の「常識」として芽生え始めている気がする。

でもある物事に名前が二つ(日本語、フランス語)ずつある、というような単純な図式で物事が成り立っているわけでもない。

例えば「抱っこ」という言葉はとっても日本語として便利だけれど、ちょうど同じことを指すフランス語はない。それから日本語の特徴でもある「擬音語」がフランス語はそこまで豊富ではない。

二人とも例えば水のことはフランス語では「l'eau」となぜか冠詞まで付けて(必ずしも正確ではないにせよ)言えるのだけれど、日本語の「水」は言わずに「ぴちゃぴちゃー」と擬音語で言う。この二つの言葉をどのように使い分けているのか、まだ規則性は見つからない。

まったく言葉を持たない状態から2つの言語を同時にゼロから習得していく姿を見るのはおもしろい。

言葉を習得するということは身の回りの世界を見分けることでもある。どこからどこまでが「お母さん」でどこからどこまでが「自分」なのか。そしてそこに当てはめる言葉がひとつではないということを学ぶということは、普通よりも広い世界を見ているのではないだろうか。

そして、モノリンガルの環境よりも多くの言葉が日常に溢れているので、それを自分のものにする、つまり自分の口から正しい使い方として出るというところまで行き着くのに周りの同い年の子供たちより少し時間がかかっている。

でもそれでいい。

世界は複雑であり、切り方も見方もいっぱいあるんだ、ということを無意識でもいいからこうして言語習得という過程から学べるのは、単純に「二カ国語話せていいね」という以上のものがあると日々感じている。

#バイリンガル #日本語 #フランス語 #幼児 #子育て #言葉

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