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【読書感想文】村上春樹さんの『1Q84』を読んで。正確には聞いて。「ウニはうまい!」

村上春樹さんの『1Q84』を読みました。
正確には、Amazonオーディブルで聞きました。

僕の感想を言語化(活字化)しようと思います。
本気の感想文ではありません。チャチャッと書き残す【備忘録】です、どっちかと言うと。

ネタバレあります。(たぶん)
ネタバレに配慮せず書きます。


思ったまま感じたまま書きます。


①面白かった

抜群におもしろかったです。
続きが聞きたくて聞きたくて、たまらなくなりました。

オーディブルでは、3回に分けて配信(っていうのかな)されました。
次が聞きたいのに、まだ聞けない。
この状態に、僕は2度、なったワケです。

他の物語を聞きたくない。
1Q84のみに浸っていたい。

そう思った僕は、次の配信を待つ間、小説は一切読まず、一切聞きませんでした。
Amazonオーディブルでは、あえて、ビジネス書を聞きました。

青豆あおまめ(主人公の女性)が死んだと思ったときは、「バカな」「なぜ」と激しく思いました。もし、近くに村上春樹さんがいたなら、僕は殴りかかったかもしれません。

青豆天吾てんご(主人公の男性)が、どうやら出会えそう。そう思ってからはAmazonオーディブルから耳が離せなくなりました。
寝不足を覚悟して、夜なべして聞きました。


②登場人物が魅力的

登場人物が、もの凄く丁寧に描写されています。外観も丁寧に語られますが、その何百倍もの詳しさで、生い立ちやエピソードが語られるのです。
その人物の性格や人となりが、深く分かってきます。

みにくさの日本代表かの様に描かれた『牛河』でさえも、その生い立ちや心象を詳細に描くので、憎めなくなり、魅力的な人物に感じるように変化しました。

ましてや主人公の2人は、大量の文字数で、その人生のほとんどを描き切ったのですから、家族や親友レベルで接したようなものです。

青豆の、ちょっとクールを気どっているかのような雰囲気も、気どっているとか演じているとか、そうではなく、そんな大人の女性になるしかなかった過去、というのがあったのです。

天吾の、図体だけデカくて、まるで煮え切らないハッキリものを言わない性格も、だんだんと愛おしく感じるのです。周りに気を使ってばかりなのに、大事な芯だけは微塵みじんも動かない。ナイスガイなのです。


③初恋

10歳の時の初恋。
両想い。
でも、互いに片思いだと信じている。「もしかしたなら」なんて1ミリも思えない。

自己肯定感が低いから。そういう境遇だから。

20年以上、再会もなし。
20年以上、想い続けている。互いに。互いにそれを知る由もなく。
20年以上想い続けた初恋。
愛する異性は1人だけ。
互いに。

その2人が、20年以上ぶりに再会する。
互いに、ず~っと愛し続けていた。
彼だけを。
彼女だけを。

それを、互いに信じられる。
そんな物語だ。

そんな物語を、読者が納得するワケない。
都合が良すぎる。

そんな純愛は美しすぎる。
再会するなんて、リアリティに欠ける。


たぶん、だから村上春樹さんは、膨大な文章を必要としたのだろう。

物語の力で。
パラレルワールドを描いて。

「これであれば、この純愛の成就に、違和感はないだろ?」
「これならどう?」
「これなら、この純愛にも納得できるだろう?」

そう言いたいのではないか。


④僕の想像

『ノルウェーの森』にも、『1Q84』にも、自殺する登場人物がいる。
自殺は、うつ病を患って、というように僕は感じる。

村上春樹さんのテーマなのかもしれない。
心の病、が。

ノルウェーの森との共通点は、共に、

自殺する人物がいて、
自殺してもおかしくない状況をギリギリで乗り越えた人物がいて、
絶対に自殺しそうにない人物もいる、

というところ。

僕は、3番目の「絶対に自殺しそうにないタイプ」なものだから、わりと冷静にこの物語を読めていると思う。
でも、もし僕が、2番目の「自殺してもおかしくない状況をギリギリで乗り越えたタイプ」ならば、村上作品は涙なしでは読めないのかもしれない。


⑤詳細な性描写

僕は、正直必要ないと思ってしまう。
でも、何かしら「書く必要がある」という信念で描写していると思う。
信念は感じるが、理解はできない。今のところ。


⑥文学的描写

例えば、ただ「ゆっくり歩いた」とは書かずに、

「それはカタツムリが500円硬貨を3枚引きずりながら歩んでいるかのような、恐ろしくゆっくりな歩みだった」

by じょーじの適当な文学的表現例

と書く。

喩えを使った、景色の描写。
喩えを使った、動きの描写。
喩えを使った、心象の描写。

純文学的な描写というのかな。

これが多い。

「すごくイイ!」と思うこともある。

「またか」と思うこともある。
「くどいなぁ」と思うこともある。
「そろそろ厭きたんだけど」と思うこともある。

「マジか。やられた…」と思うこともある。


だから奈星 丞持(なせ じょーじ)は、こうする!という考えはない。

使ったとき、分かりやすいか、
使ったとき、面白いか、

という場合のみ、使おうかなぁ。


⑦オーディブルのナレーション

青豆を担当した杏さんのナレーションは最高だった。
レビューもほとんどが絶賛。

天吾を担当した柄本時生さんは、僕の好きな声だった。
レビューは賛否が分かれ、やや酷評が多い。僕も、その気持ちは分かる。

ただ僕は、柄本さんのナレーションには『味』があると思うのだ。


⑧純文学とは

直木賞は「大衆小説」というジャンルだと思う。
間違っていたならスミマセン。

芥川賞は「純文学短編小説」というジャンルだと思う。

僕は、純文学を読んだ数が少ない。

何度も繰り返し読んでいるのに、いまだに夏目漱石の『こころ』の魅力を言語化できない。
読むたびに感想も変わるし。

ふと、

純文学は芸術鑑賞と同じではないか

という仮説が浮かんだ。

僕は、ゴッホよりルノアールが好きで、
ルノアールよりフェルメールが好きで、
ピカソやムンクは良く分からない。
あ、
バンクシーは、かなり好き。

そして、僕は美術作品に対して、良し悪しなんて一言も語れやしない。
好き嫌いなら、今、こうして語っている。

親友が言っていた。
「美術館に行って解説を読むなんてナンセンス」と。

ならば、純文学も同じなのではないか?
良し悪しなど、左脳の領域を語るのは無意味なのかもしれない。

良く分からないが、読んでいて、途中でやめられなくなった。
徹夜で読んだ。
何度も読んだ。

なんか魅かれる。

それでイイのではないか?

「あの男性は年収が高いし、次男だし、イケメンだから生まれてくる我が子も確率的には……」
という左脳的思考でパートナーを選んだり好きになっても良いと思う。
当然だとさえ思う。

でも、
「良く分からないけど魅かれるの」という恋があってもイイ。
そんな理由でパートナーを決めたってイイさ。そう思う。
彼の何がイイかなんて言語化できなくったって、別に構わないさ。

純文学を、左脳で語るのも自由だろう。
もしかしたなら的を射ている意見なのかもしれないし。
でも、
もしかしたなら、それは野暮なのかもしれない。

僕は常々、食レポって要らないなぁと思ってきた。
「濃厚で、クリーミーで、豊潤で」とか、鼻で笑ってしまう。

「うまい!」
「美味しい!」
「好き!」
でイイじゃないか。

「普通」
「好みではない」
「嫌い」
でもイイじゃないか。

もちろん、あれはお仕事だと分かっているので、一度も要らないと言ったことも書いたこともなかった。
今日、はじめて書いた。

味って、美味しいかどうかって、
好みじゃない?

メッチャ美味しい、最高に美味しい、
三陸海岸宮古市産の天然ウニ。

妻のゆかりちゃんは「美味しくない」「嫌い」「好きじゃない」「もう要らない」と言います。
僕の味覚からすれば、ゆかりちゃんは馬鹿舌です。味オンチです。

でも、イチゴの味には、メッチャ詳しくきっと正確です。
僕は、甘ければ甘いほど好きという馬鹿イチゴ舌ですが、ゆかりちゃんに言わせれば、「酸味もイイのよ」とのことです。

これって、議論の余地、あります?

好き嫌いの分野では、良し悪しは、考えても仕方ないのかなぁ。
これが、今のところの僕の文学観です。

ちなみに僕は、この『1Q84』は大好きです。
でも、「サッパリわからん」という意見も理解できます。僕も分からないことだらけですから。

パラレルワールド好きなので、戻った世界がどんなだったのか、少しは描写してよ~、と思ったりもしました。

でも、超~~~久しぶりに、夢中になって読書しました。
睡眠時間を削ってまでの読書でした。

「メッチャ面白かった!」

これが僕の、いつわらざる感想です。


◆〆

一気に書きました。
推敲せずに投稿します。

千世さんのこの記事への

僕なりのアンサー記事です。
僕は、千世さんの意見も分かります。
ゆかりちゃんの村上作品への感想と同じですしね。

だから、千世さんの記事への『反論』とかではありません。
僕の読書感想文です。


僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
僕たちも、出会うべきして出会ったのかもしれません。

交際当初は、ゆかりちゃんも同意でした。
最近のゆかりちゃんは「人には間違いってあるんやて」と言います。

恋に左脳は要りません。

僕は、ゆかりちゃんが大好きです。






おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1191話です



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