見出し画像

枕草子 清涼殿の丑寅の隅の(5)

清少納言先生:はい、がんばりましょう。続きをお願いします。
舞夢    :それでは、訳します。

中でも、「古今集」を数多く筆写している人は、全部の歌を記憶しているはずなのです。
中宮様は、お話になりました。
「村上帝の御世でしたけれど、宣揚殿の女御と言われたお方が、小一条の左大臣様の御娘であることは、皆さまはご存知だと思われます」
「それで、その女御がまだ姫君と呼ばれていらした時に、お父上の左大臣から言われた事なのですが
 第一に習字の練習をすること、次に御琴を他の人より上手に弾けるようになること、そして古今集の和歌二十巻を全部暗唱できるようになりなさい 
とのことなのです」
「それを聞きつけた帝が、御物忌みでお暇な時に、「古今集」をお持ちになり、女御のところにおいでになったそうです」
「そのうえ、御几帳を立てて隔てをお作りになられたので、女御はいつもと違うということで変に思っていたそうです」
「帝は、綴じ本をお開きになり、『これはいつの時?どういう機会に?誰の御歌でしょうか」とお尋ねなされるので。几帳を隔てた理由がわかったそうです」
「まあ、それも興味をひかれるところですが、間違って覚えているとか、忘れている句があるとか、すごく心配で恥ずかしさを感じたそうですよ」

清少納言先生:はい、今日はそこまでで、けっこうです。
舞夢    :助かります。
清少納言先生:なかなか。でしょ?
舞夢    :少し性格が悪いって・・・
清少納言先生:まあ、そう思うんだけれどね、普通なら。
       でも、帝や皇后様にお仕えするんですから、最高の学識も必
       要です。
舞夢    :そうですね、それも大切ですね。
清少納言先生:そういう厳しい努力があったから、和歌の文学も鍛えられ
       た。
舞夢    :確かに古今東西、こんな凝縮された文字文化はありません。
清少納言先生:はい、ありがとう、また明日。

確かに丑寅の隅の話は長いけれど、日本文化を支えた世界が描かれていると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?