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5月11日 詩の居場所@古材の森 レポート

令和元年5月11日(土)、糸島市の「古材の森」にて、小さな脱線研究所の初の主催イベント『詩の居場所』を開催しました。 そして、共催は会場の古材の森さんと、ノドカフェさん。
ゲストに詩人の夏野雨さんと声優の野島健児さんをお招きした、詩の朗読とトークのイベント。
遅ればせながら、レポートを書いておこうと思います。

会場は糸島市前原にあるお食事・カフェ処「古材の森」 
糸島市前原は江戸時代の唐津街道の宿場町。明治34年に建てられた古民家を生かした会場は、今回のイベントで、また違った雰囲気を醸し出していました。 

さて、まずはなぜこんなイベントを主催したのか、少し説明します。

「詩の居場所」には大きく、2つの意味があります。
ひとつは、私たちの心の中の、詩の居場所
もうひとつは、この糸島という地域のなかでの、詩の居場所
そんな詩の居場所を広げたり、作ったりする、きっかけになればという気持ちで企画しました。

私は詩が好きです。
私自身、人生のなかで、詩に救われたようなところがあります。
でも、それと同時に、なにか「詩」というものに敷居の高さも感じてしまっていました。 
本当はそんな敷居を感じる必要はないはずです。 そんな敷居を少しでもなくしていけたらと思い、糸島にも気軽に詩に親しむ人や機会が そんな敷居を少しでもなくしていけたらと思い、糸島にも気軽に詩に親しむ人や機会が増えればと思っています。 

まず前半は、朗読セッション。
夏野雨『明け方の狙撃手』(思潮社)から以下の5篇を、野島健児さん(というか、私の兄なので、以下、兄)に朗読してもらいました。

 「くまのはなし」
 「サーモン親子丼」
 「白熊と炭酸水」
 「イッツファイントゥデイ」
・「明け方の狙撃手」


朗読セッションと言っても、詩の朗読だけではなく、合間合間にトークを挟む形にしました。
唯一かつ最大の問題は、司会進行役が私ということ。
元はと言えば、口下手&人前に出るのが好きじゃないという理由もあって、物書きの世界に進んだはずの私。
そんな私によるよちよち司会進行がすべてを台無しにしてしまわないかと心配でしたが、それでも素敵な時間になったのは、そんな私の姿をむしろ楽しんでくれていた2人のゲストの方々のおかげです。
そして、そんな私の様子に嫌な顔一つせず、温かく見守っていただいたみなさまにも感謝、感謝です。

詩の朗読は、文字として平面に記述された世界が、空間全体に立体的に浮かび上がるような、贅沢な時間でした。  文字として黙読するのとは違い、夏野雨さんの詩の世界が、野島健児さんを媒介に時空間いっぱいに広がっていくような気がしました。

私のヘンテコな質問にも丁寧に答えてくださる夏野さん。 イントネーションを含めて「正しい」読み方などなくて、誰もが自由に飛んでいい世界なのだと教えてくれます。

書くという作業は、何もないところに意味を付けていく作業。 意味付けることは、ある意味世界を狭めてしまうことなのに、詩は想像を広げてくれる
同様に、音読する作業はより意味を狭めてしまうことであるはずのに、詩の世界を立体的に広げてくれる

そんな相反する方向性を両立させているのが、詩人と声優というお二人の仕事なのでした。

後半は『詩の居場所』をめぐるトークセッション。
夏野さんによると、詩集『明け方の狙撃手』には、それまで読んできた本たちが、私たちの身体を作っているという思いがこもっているんだそう。
そう聞くと、このイベントの時間の意味もまた違ったものに感じます。

私たちにとって、詩ってなんだろうということ。
糸島、自然に関することなども併せて、いろいろな話をしていただきました。 
質問用紙が予想以上にいっぱい返ってきて、私の頭が容量オーバーになったところもありましたが(すみません)、それだけみなさんに関心をもってもらえているのだとうれしくもなりました。
読み上げられなかった質問については、また何かの機会に取り上げられたらと思っています。 

(会場に飾った浦川洸一郎さんの線描画も、夏野さんの詩の雰囲気と会場の雰囲気を調和させてくれて、素敵でした)

……さて、正直、この日は私にとってはとっても緊張する時間でした。
でも、これからも「よちよち司会・進行」を自認しつつ、たまにこんなイベントをさせていただけたらなと思っています。
たくさんの方にいらしていただけて、本当に良かったです。
当日足を運んでくださったみなさま、あらためまして、ありがとうございました!

そして、共催の古材の森さん、ノドカフェさんも、それからボランティアスタッフをしてくださったみなさんも、ほんとうにありがとうございました。

今後のイベントも構想中です。
これからも、小さな脱線研究所をよろしくお願いいたします。

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こうもりあそびばは自己資金で平日の夕方に毎日開けていましたが、子育てが中心になってきて、現在はほぼ休止状態。今後のサポートは、執筆活動の諸費用(取材の費用、冊子『小さな脱線』の制作など)に充てます。少額でも非常にうれしく、助かります。