小さな革命

入社当時はとても無機質な雰囲気だった
ひとりで作業することが多いからか
談話はなくとても静かな空間
外からくるものは早く立ち去りたくやるような
電話が鳴れば話している人の声だけが響く
ふつうに声を出してよいのだろうか、、、

もともと静かな空間が苦手だっただけに
この雰囲気に慣れるのに時間がかかった

でもいつからだろうか
となりの席の人が話しかけてくれるようになり
その輪がどんどん広まっていった

話しかけづらかった上司
話すときはいつも緊張していた
それは私以外の人も同じようだった

みんながその人に気を遣っているような空気感
わたしはそういう空気を感知しやすい
きっと本人もそれを望んでいない
この社内の空気を変えたいと思った
このギスギスした雰囲気を
もっとフラットにしたかった
だってひとりひとりはみんな
魅力的な人で溢れているのだから

それにギスギスの関係は
スムーズにいく仕事もそうはいかない
そんなことが単純に嫌だった

すこしずつ小さな革命を起こした
ほんとにちょっとしたことだ
誕生日の方にお祝いの言葉を言ったり
話しかけづらかった上司には少しずつ信頼を得ながら好きな野球の話をした

自分の手の届く範囲の半径5メートル
たったその小さな距離の中で
ちょっとした革命を起こしつづけた

入社して1年がすぎた
わたしの仕事の向き合い方
わたしのひととなり等もわかってきたのだろう

信頼関係が構築され
話しかけづらかった上司から
今では向こうから声をかけてくれるようになった

自分の身体を大切にねと
やさしい言葉を添えてくれる

1年前には想像もつかなかった
人との距離がこんなにも近くなるなんて

無機質だった職場は
今では太陽のように居心地がよい

この職場環境をよくしたいとおもって
働きかけたわたしの行動が起こした革命

いや、そうじゃない
まわりに働きかけることで
まわりがかわったのではなく
自分自身がかわったのだ

きっと自分がやさしく語りかければ
人も社会も世界も自分にやさしく語りかけてくれる

小さな革命はきっといつも
自分の手の中にある

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