見出し画像

スタートアップひとり広報が気をつけたい5つの注意点

こんにちは、MAIです。いつもカナダ生活の話が多いですが、今日はリクエストをいただいたので、スタートアップの広報PR支援を行う中で、よくお話する内容について、まとめてみたいと思います。

アーリーフェーズのスタートアップでは、広報部門が存在しなかったり、何もない状態から広報チームの立ち上げが必要だったりすることも少なくありません。また、リソースが限られるスタートアップにおいては、ひとりで複数の役割を担うことも多々あります。

本記事では、様々なフェーズのスタートアップのマーケティングとPRを担い、スタートアップのPR組織立ち上げを支援してきた筆者が、アーリーフェーズのスタートアップのひとり広報が気をつけておきたい点についてお話します。


※よければ、こちらの関連コンテンツも見てみてください

1.私の役割はコレです、に固執しすぎない

スタートアップのひとり広報の方の中には、予期せずして、広報PRの役割をアサインされた方もいるかと思います。

私もスタートアップにジョインする前のIT企業とメガベンチャーでは、マーケティングやメディア・コンテンツ企画編集の仕事をしていました。

広報PRの役割を担ったのは、リーガルテック系スタートアップでマーケティング責任者を務めていたとき。専門知識が必要で説明が難しいBtoBサービスにおいて、その価値を効果的に届けるためには、広報PRの力が有効だったからです。

未経験ではありましたが、ブランディングを含めたマーケティングとウェブディレクション、メディア編集の経験があったため、マーケティング戦略とアラインさせる形でPR戦略を策定し、戦術実行部分は、外部のプロフェッショナルに業務委託で入っていただき、Howを教えてもらいながら広報PRの基本を習得しました。

この経験からも、広報PRについては、マーケティングや営業、採用ブランディングなど、周辺領域との親和性も高いため、他職種の経験を活かせる部分が大きいと感じます。実際、スタートアップの広報PR業務に携わる方々は、別職種の経験者も多いです。

そのため、予期せず広報PRにアサインされたとしても、それをチャンスと捉え、これまでのキャリアに基づく強みを活かしつつ、基本を学ぶことで、独自の強みをもったPRパーソンを目指すことができます。

また、アーリーフェーズのスタートアップにおいては、広報PRといっても、プレスリリースの作成やメディアリレーションだけでなく、社内イベントの企画や採用支援、コーポレートサイトリニューアルやコンテンツ制作など、役割と役割の間に落ちそうな業務が必要なことも少なくありません。

そんなときは、周辺領域にまで染み出した業務を経験することで、PRパーソンとしての幅が広がるとポジティブに捉えることができると、前向きに取り組めます。その結果、できることの引き出しが増え、自身の総合力を強化することも可能です。

↓私の場合は、元編集者の経験を活かし、オウンドメディアをスタートアップ広報PRの武器として、今でも積極的に活用しています

2.ひとりで抱え込まず、社外に相談できる人をつくる

広報PR職に限らず、スタートアップで働く人に共通した課題が、社内で学べるロールモデルや先輩が少ない、という点。とくに、ひとりめ〇〇という職種では、本人の経験も浅く、社内に学べる環境も整っていないため、何からやっていいか分からず困ってしまうことも少なくありません。

そこでおすすめしたいのが、社外の仲間やプロに相談できる機会を作ることです。

理想は外部のPRコンサルタントとリテナー契約(決められた期間の中で業務を行う契約)などを結び、広報PR組織の立ち上げとメンバー育成を依頼することですが、会社の環境的に難しい場合は、スタートアップコミュニティなどに積極的に参加し、外部の勉強会などを通して学ぶことも可能です。

私も自身で企画・実行したPR施策などの成果を、スタートアップのPRコミュニティ内で共有し、相互の学びを深めました。こうしたコミュニティへの積極的な貢献は、いざ困ったときに頼れる人を増やすことにも繋がりますし、知識や情報もアップデートできるので、おすすめです。

3.Howの積み重ねで満足せず、戦略からしっかり考える

多くのPRパーソンと話してきて気をつけたいと思うのが、広報PRはどうしてもHowからスタートしてしまう思考になりがち、ということ。

面接などでこれまでのPR戦略立案経験を聞いた際にも「多くのメディアに取り上げてもらう」を起点にPR戦略を考えてきた、という話を何度も聞きました。しかし、こうしたHowを起点に施策を設計すると、結果、サービスや企業が獲得したい認知の向上に繋がらないケースもあります。

広報PR戦略は、経営戦略や事業戦略とアラインして策定すべきだと私は思います。経営戦略ロードマップにおいて、今はどのフェーズで、この時点においてフォーカスすべきターゲットは誰で、届ける価値は何か。そこを明確にし、自社内で共通認識を持った上で、広報PRとして目指すべき、ターゲット層のパーセプションチェンジを定義する。こうした戦略的思考が効果的な広報PR施策を実行するには不可欠です。

メディア露出などは、そのゴールを達成するために行う戦術(施策)のKPIとして設定すべきで、こうしたHowを戦略ゴールに設定すると、(目立つことを優先して)メッセージがブレたりと、結果的にネガティブなブランディングに繋がることがあるので、気をつけたいポイントです。

広報PRは、プレスリリース作成やメディアアプローチ、勉強会やイベントの開催など、やるべきHowも多いため、どうしても施策フォーカスの思考になりがちですが、経営戦略とアラインした広報PR戦略をきちんと立案することで、施策の優先順位も決めやすくなりますし、効果的に1つ1つの施策に取り組むことが可能になります。

戦略立案に馴染みのない方は、MBAの戦略論やマーケティング戦略のプログラムを単位履修したり、関連書籍から学ぶことで、戦略的思考を身につけることができるので、チェックしてみてください。

↓PRパーソンにもおすすめしているマーケティングの名著。私が受けたMBAのマーケティング授業のテキストでもあった

4.適切なKPIを策定し、施策の振り返りは社内に丁寧にコミュニケーションする

スタートアップのひとり広報の方からよく聞く悩みが、「社内の理解が得づらい」というもの。社内に広報PRの役割や価値をわかってくれる方が多いとスムーズですが、そうもいかないケースも多いのが実情です。スタートアップの経営層・メンバーはバックグラウンドも多様なため、広報PRにそれほど価値を感じていない人もいます。

ただ、広報PR活動を効果的に行う上では、社内との情報共有は不可欠。社員それぞれに、広報PRの価値を理解してもらい、発信への協力を得ることが肝心です。

そのため、施策実行後には、スピーディに振り返りを行い、社内に共有することで、広報PR活動に対する理解の解像度を高めることができます。また、定量的なKPIを設定することで、幅広い社員に分かりやすく、施策効果を共有することが可能になります。

メンバーが力を合わせて取り組むことがより重要なアーリーフェーズのスタートアップにおいて、社外への発信と同じくらい、社内への情報共有は大切です。こうしたインナーコミュニケーションを丁寧に行うことで、社員の広報PRに対する意識の向上と、社内の応援者獲得に繋げることができます。

5.経営層としっかり目線を合わせる

3.4で触れた内容にも関連しますが、スタートアップの広報PRにとって何より大切なのが、経営層とビジョンや戦略について目線を合わせることです。

ビジネス経験が浅い若手メンバーだと、遠慮してしまって、経営層と直接しっかり話す機会を持てずにいるケースも少なくありません。しかし、スタートアップにおいて、広報PRの役割を適切に果たすためには、経営層と積極的にコミュニケーションを取っていくことが不可欠です。

スタートアップの戦略は、外部環境の変化などによって変更することも多く、経営層とタイムリーに目線を合わせておくことが、自社の対外コミュニケーションを担う広報PRにとって非常に重要です。

日々忙しく働く経営層の時間を確保するのは大変な場合もありますが、そこはプロフェッショナル意識を強く持って。しっかりと目線を合わせるコミュニケーションを定期的に取ることで、より効果的な広報PR活動に繋げることができます。


以上が、スタートアップの広報PR経験と、広報PRチームの立ち上げ支援経験を通じて私が感じた、効果的な広報PR活動を実現するために注意したいポイントです。

この記事が、スタートアップのひとり広報の皆さんの日々の活動に少しでも役立つと嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?