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【恋バナ】くまちゃん#2

チャットアプリで知り合い、LINEや電話で連絡を取るようになっても、しばらくの間はお互いに友達としてお付き合いしていた。

くまちゃんは別れた元カノさんに未練があるから、私は恋人よりも友達が欲しいという理由で。

話が急展開したのは、私がくまちゃんに、自分はすごく甘えん坊だという話をしたときだった。
当時、私はこの甘えん坊な性格を引け目に感じていた。

「オレは甘えてくれる子が好きなんだ。」
「えっ!!そうなんだ〜。」

ならは!ということで、この時から私はまだ顔も知らないうちからくまちゃんに甘えまくった。
他の人には滅多に見せない本性を現したのだ。

くまちゃんは私の重度の甘えっぷりに、好きだという気持ちが加速していったと後に話してくれた。

くまちゃん「今度、新宿御苑前に春薔薇を見に行かない?」

くまちゃんも私も花が大好きで、たまたま二人とも五月に新宿御苑の薔薇園に行くことを決めていた。
しかし、この時までは、一緒に行くような話にはならなかった。
お互いに、まだ会おうという気になっていなかったからだ。

私はこのお誘いを喜んで受けて、五月の晴れた日に二人は初めて顔合わせをすることになった。

この頃は電話で一日十時間ほど話し、後はLINEで連絡をとっていた。
顔も知らない赤の他人同士にしては長すぎるくらい長い時間を使って、二人は交流を深めていった。
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待ち合わせ前夜のLINEはこんな感じ。

くまちゃん:明日は手を繋ぐからね。
私:どのくらい?
ガッツリだね。
他には?
付き合ってって言うよ。
何でも先に言うんだね笑
うん、暗に今告白してるつもりだったんだけど…
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待ち合わせ当日、初めてお互いの顔を見て、私たちはくまちゃんの予告通り、手を繋いで新宿御苑を歩いた。
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薔薇園に着き、薔薇園を巡り、近くのベンチに並んで座ったとき、私の身にとても不思議なことが起きた。
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重度の不眠症の私が、自然とくまちゃんの肩にもたれて眠り、夢まで見たのだ。
くまちゃんは私を心から安定させてくれる人だった。
それは後々に分かってきたことだけれど。
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くまちゃん「付き合う?」
私「うーん…」
「今すぐ決めなくていいよ。でもオレは二回目会ったらもう付き合ってると思ってるから。」
「分かったよ。」
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帰り道、二人で新宿駅の階段を昇っていたときに、私は
(この人は、私の手を離さない人だ。)
と確信めいたものを感じたのを今でもよく覚えている。
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こうして、初めてのデートは無事終了した。
次にまた会うのは間違いのないことだった。



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