Maï Furusato

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Maï Furusato

photograph / いろいろつくる/ webサイトはこちら https://maifurusato.com/

最近の記事

A子はフォトジェニック

A子から手紙が届く。 最近のA子からの手紙には、スパイシーなお香の匂い袋が入っている。紫陽花柄の和紙の便箋。風流である。 和紙の上にはいつものように文字がコロコロと並んでいる。 元気そうだ。 それが何よりだ。 A子は読書が好きだ。手紙では最近読んだ本の、「ロマンスあふれる相対性理論」について熱く語られていた。しかも、読み途中、読後と時間を追った実況中継だった。 中継を聞いているとその本が読みたくなる。 そうだ、このひととは趣味が合うところ、合わないところがあるのだ。け

    • 川崎とガザとマリンスタジアム

      目の前の女の子とその親(おそらく東京観光中だと思われる)が、かわいいキャリーケースを持っている。長靴型。ピンクと紫と黄色でかわいいリボンの柄で、乗れるようになっているみたい。持ち手と足置きになりそうなでっぱりがある。 女の子は靴を脱いで窓の外を眺めている。お母さんは少し疲れているのかも。大きなリュックとそのキャリーケースとドラえもんの紙袋をつかんだまま、ぼーっとしている。 ディズニーランドの前を通ると、女の子は少し高揚した。お父さんが明日ね、って言う。そうか、きっとこの家族は

      • 駅を出ると雨が降っていた 傘を持っていなかったのでしばらく待っていた バス停の庇に当たる雨粒が鳴らす雨音は 小学生の自分を記憶の底から立ち上がらせた あのときの私は窓の外を見ている あるいは渡り廊下を、時折強く吹いてくる風に流された槍みたいな雨に刺されないように走りぬけている やっとたどり着いた体育館の靴箱の前で体育館履きを忘れたことに気がついてまた教室まで取りに走る 集会が始まった体育館に戻ったときは、先ほどよりさらに強くなった雨風のせいで人の何倍も濡れていて、息が切れる

        • 病気のとき聴いた音楽

          ちょうど昨年の今頃、コロナに感染した。熱が続いていた1週間ほどの間にどうやって辿り着いたのかはもはやわからないけれど、私は耳元でJohann JohannssonやÓlafur Arnaldsを繰り返していた。知らないわけではなかったがそんなにヘビーに聴いている音楽ではなかった。 静かな、思慮深い森の中にいるような。あるいは、ひんやりした朝の空気に1人で立って、遠くから届く音を拾うような。湖の上に立ち止まって、鹿が歩いてくるのを待っているような。 なかでも、Johann J

        A子はフォトジェニック

          隣に座ったおばちゃんが話してくれた唐川菩薩のおはなし

          プロ野球開幕だぁ!便乗してWEBサイト開けるぞ!! と、意気込んで自分のサイトを開いて早4ヶ月。 その後大した変更もなしに、私は一体何をしているんだと振り返りながら、反省してみる。 そして今日からプロ野球はオールスターを終えて後半戦に突入ですよ。早い。 だから、ってnoteをはじめてみたのである。ホントはちゃんと、もっと自分で文章を書ける場所を作るつもりだったのである。 でもなかなか、ぐずぐずしてしまったのである。 こうして野球に背中を押してもらうのも謎だけど、まあ好きって

          隣に座ったおばちゃんが話してくれた唐川菩薩のおはなし