読書メモを取るか取らないか問題
読書メモは、取っても取らなくてもいい。個人的にはそう思っている。
私自身は読書メモを取っている。正確には、取るようになった。
「一気に通読しない」という読書スタイルになって、その必要性を感じたからだ。
読書メモと言っても、以下の項目をExcelの表に入力しているだけの、ごく簡単なものだ。
1. タイトル
2. 著者名
3. 日付
4. ステータス
5. その本からの学び
6. メモ
タイトルと著者名
これは必須項目だろう。タイトルだけでも良いかもしれないが、私は毎朝の読書では過去に読んだことのある著者の本は避けるようにしているので、重複していないかを確認する意味で著者名も記録している。
日付
試し読みで終わることも少なくないので、まずは試し読みをした日付を入力し、後日通読したら、その日付に書き換えるようにしている。
ステータス
試し読み/通読予定/読了の三つの選択肢にしている。
すべての本は試し読みのステータスから始まる。読んでみて、これはもう少し読み進めてみたいと思えば、通読予定のステータスに変える。
後日、通読予定となっていた本を最後まで読み進めれば、読了のステータスに変更。途中でこの本はもうここまでで良いと思えば試し読みのステータスに戻して終了となる。
その本からの学び
この「学び」というのはあくまでも主観によるもので、その本のテーマとはかけ離れていることも少なくない。
本の要約やあらすじなどは残しておらず、自分がその本から学んだことを一言残しておくだけだ(一言とはどのくらいの文字数か気になったので、実際にExcelで確認してみたら平均37文字だった)。
読んだ本のタイトルとその本からの学びは毎朝Twitterで公開している。
メモ
自分が共感した部分ではなく、自分が知らなかった情報や、自分の常識の範疇外にある筆者の考え方などを残すようにしている。
読書メモというと、その本のテーマに関する所感や、共感した部分について掘り下げる書き方が一般的であるように思う。要するに、「自分の心が動いた箇所を記録しておく」やり方だ。
私がそれをしないのは、「自分の心が動いた箇所」は自分自身の感性として記憶されてすでに血肉になっているため、可視化しなくてもよいと考えたからだ。
ステータスが「試し読み」で、メモの内容が自分の知識の及ばないものであればあるほど、通読した際に自分の血肉になる可能性が高い。
実際の読書メモの例を挙げてみる。
「教養として学んでおきたい5大宗教」という本に関する私の読書メモだ。
1. タイトル 教養として学んでおきたい5大宗教
2. 著者名 中村圭志
3. 日付 2022/7/31
4. ステータス 読了
5. その本からの学び 人間が求める「奇跡、秩序、説明」の質の変化とともに宗教は進化していった
6. メモ 位牌の原型は頭蓋骨/お祈りの行事はコミュニティの危機感の共有/千と千尋の電車の終点は「中道」
このような具合である。
他者に見せることを前提としていないので、自分にだけわかるメモになっている。
読書メモをつけ始めて感じたメリットは、毎朝本を開くモチベーションになるということ。
そして記憶のフックになるということだ。
これは大人になって気が付いたことだが、人間は自分で思っているよりも遥かに忘却能力に優れているため、数か月経って読書メモ読み返すと新鮮な驚きがある。
ちなみに、読書メモにExcelを採用している深い意味はない。Excelが好きだからだ。検索も集計もしやすいのがいい。
文字や絵をかくことが好きな人なら、手書きのノートでもよいと思う(私自身は悪筆かつ絵心が皆無なため、手書きのノートではテンションが下がり三日も続かなかっただろう)。
この読書メモのスタイルはあくまでも私の目的に合った構成なので、人に勧める意図はない。
そもそも、読書に何を求めるかは人それぞれ。読書=勉強の人もいれば、ただ味わいたいという人もいるだろう。
だから、読書メモを取るも取らないも個々人の自由で、自身の目的に合ってさえいればよいと思う。
その前提をふまえた上で、読書メモの活用方法を思いつくままに羅列しておく。
本の要約やあらすじを端的にまとめて書き留めておく
説明力を高めたい人の訓練としておすすめのスタイル。
膨大な情報から要点を見極める能力が磨かれるし、要点を端的にまとめるスキルが身につく。
説明力の向上には「説明組み立て図鑑」という本を読むのもおすすめ。
気に入った言い回しを書き留めておく
フィクション・ノンフィクションを問わず、物を書くことを生業にしている人におすすめなのはこのスタイルだろう。
気に入った言い回しをそのまま転用するのはもちろん禁じ手だろうが、自分の目に留まった一文の「核となる要素」は何であるかを深堀し、アレンジすることはできる。
「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と、ジェームズ・W・ヤングも著書「アイデアのつくり方」の中で語っている(この本は広告や創作に携わる人にとってバイブルと言っても過言ではない)。
私自身にとって読書メモは、これからも続けていきたいと思える習慣の一つになっている。