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ひとりで服を買えますか

なかなか難しい問題である。買い物自体はひとりだと自由気ままだから、わりと好き。友人とはしゃぎながら雑貨屋さんを見たりするのももちろん楽しい。マイペースなので、あんまりゆっくり見ていると置いてかれちゃうけど。
ただ服よ。服。これまでにひとりで服を買った回数はたぶん、片手で数えられるくらい。ひとりで服を見に行くのは幾度となくしてきたが、実際に購入までの過程がね……。

いちばんの要因はわたしの買い物ポリシーで、できる限り店員さんとは会話せずに服をじっくり見たいからだ。あちらにはあちらのノルマみたいなのがあるのもわかっているのだが、視界の端で可憐な蝶のごとくふわふわふわ~~~っと寄ってくるのがわかると途端に逃げたくなってしまう。コミュ力の無さ。とりあえず、「これは実はリバーシブルでっ!ここのところがこんなデザインになっててっ!かわいいですよねっ!最近のトレンドで!」のマシンガンがきたら、頷きと微笑みのロボットと化す。別に買う気のない服であっても、ちょっとでも触れると店員さんがすっ飛んでくることもあるので、むやみにさわさわしない。

店員さんには本当に申し訳ないのだが、あんまり押しが強いと、いくらかわいくてもこれ以上見るのはきついですわ……と、また来ます的な感じでやり過ごして退店してしまう。おしゃれな店員さんの言うことはわかる、このデザインも素材も最高よねわかる、ただちょっとネッ!!!いちおう値札のタグをまさぐってるからちょっと待っ!!! がいつものパターンである。

でも、家族や友人と行くと、ちょっとは個人のストレスが緩和される。話しかけられたらお連れに任せておいて(自分勝手すぎるが)、ふら~っとワンピースかなんかが並べられているあたりに回り込めばよい。タイミングを見計らって再登場。本命をじっくり見る。するとさっきの店員さんがぱたぱたと舞い戻ってきて、「ご試着もできますのでね!!!」とニツコリしてくる。この場合はニッコリじゃなくて、ニツコリと形容したい。なんかだんだん疲れてくる。服屋さんをいろいろ見て回ったあげく、やっぱ今日はいいや~の今日を重ねてできたのがいま、わたしを通り過ぎてきた歳月。かなしきかな。いとこのおさがりに何度助けられたか。ありがとうございます。

通販は通販で、サイズや色味が若干不安なのもあって、あまり手が出ない。やっぱり直接見るのがいいですよね。しかし店員さんとの応酬をなかなかさらっと片付けられないのは変わらない。レジにぽつん体制のお店を探すか、お客さんで激混みのところを縫って服をはぎ取るか、会話無しを設定できるロボット店員のみのところのオープンを待つか。そこそこ無謀である。

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