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法令コンプライアンスについて

一般的な企業コンプライアンスとして、主に大企業の製造業・サービス業を念頭に置いて、コンプライアンス体制なり活動がどうあるべきかを考えていきたい。

皆さんはコンプライアンス活動、といった時に、具体的にどんな法令なり規範なりを守るための活動をイメージされるだろうか。

会社法はメジャーな法令だが、コンプライアンスの観点からはあまり重要でないと思う。なぜならリーガルスタッフないし外部弁護士に専門的知見をもって対応させることが通常である分野だからだ。
それよりも、法令の専門家でない社員、一般の社員が守らなければいけない法令のほうが、きちんと順守できるよう会社の仕組みにおいて対応する必要があるように思われる。

普通、一般社員は法令の条文など読まない。
法令の条文を読まない人が守らなければならない法令についてこそ、コンプラ担当が支援する価値があると思う。法令の専門家でない人にも、必要十分な範囲で法令が守れる、という状態が内部統制として望ましい形と思う。

本来は法令そのものがそれくらいのクオリティで作られている(読めばわかる)のが理想なのだろうが、立法手続の制約、複雑化していく社会をや科学技術を統制するための種々の手法を法令に反映していくとなるとどうしても平易な法令というのは難しいと思われる。そういえば内田先生の債権法現代化の取り組みも改正自体はなったが分かりやすくはならなかったな。

ということで、何か手法というかやり方というかフレームワーク的なものを作って、法令の専門家でない人たちでも法令が守りやすくなるようなことができないかと思う。

また、法令はどんな会社にも等しく(?)適用されるものであるから、それを守るためのベストプラクティスというのも定義できるものと思われる。
たとえば、いろいろな学会では学会員に適用される行動規範、倫理規範を作成していたりするが、それは学会員がどんな組織に所属していても、それとは関係なく個人の行動に対して適用されるように作られている、と思う。
であれば、どんな組織にも適用できる行動規範、指針的なものも定義できるのではないだろうか。

しかしながら世間にあふれている教科書に載っている施策は具体性のないものが多く、すぐに実践できないか、できても有効なのかどうなのかよくわからないものが大半と思われる(コンプラ疲れ、などと揶揄される。経理疲れや安全疲れはあまり聞かないと思うが、出るところに出れば聞くのだろうか)。
ISOの9001, 14001なんかは法令順守も含まれているし、37001なんかは法令順守自体が目的にされている。しかし、国際規格だからか何なのか、読んだだけではすぐに実践できない難解な内容になっていると言わざるを得ない。よく指摘されることだが、会社の業務の中でISOに書かれていない内容はたくさんある(たとえば経理とか予算配分とか)。また何をどこまでやるべきか、ということが書いていない項目が多い。これでは実務で参照することは難しい。

そこで、最終目標としては、ISO規格のように誰でも参照することができ、実務書のように読んだまま実践できるようなガイドが作られることを目指したい。大風呂敷だがそういうものが欲しい。「当社独自のコンプライアンス」なんてものにそこまで付加価値があるとは思えないので。

世の中には同じことを考えている方もいるのではないかと思う。ゆくゆくはそういった方と意見を交換したりして、自分の考えを深めて行きたい。また実践もしていければと思う。

本日は前置きのみでここまで。