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39. 世の中の見方がちょっと変わる映画3選

仕事の合間に年間100本映画を観ることを自らに課して7年目のわたくしが、映画初心者のために「なりたい気持ちで映画セレクト」する企画、THREE FOR YOU。今回は、自分のやっている学生共同プロジェクトに彼が大学生だったころから大変意欲的に参加してくれてきて、今や同じ会社の後輩になっちまったYくんのリクエストのこちらを考えてみました!

観た後に世の中の見方がちょっとだけ変わる映画教えてください!

ハードルたかいよね、うんw このお題にこたえておすすめするからには、観た後にYくんの世の中への見方を変えないといけない汗 ヒントとしての彼のfilmarksを見てみたりして、「セッションとかトレインスポッティングに5点をつけつつ」「マッドマックスは低評価」「ダンサー・イン・ザ・ダークは”いけないクチ”」などのプロファイリングを行いw、こんな3選にしてみました。ヨシダ個人としても結構、衝撃度が大きかった3本なので、気軽に見れる感じじゃないかもです、あしからず。

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ミスト

2008年公開
監督:フランク・ダラボン
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嵐の後に街を覆った「霧」によって、人々が徐々にパニックに陥っていく恐怖映画。「ショーシャンクの空に」と同じ監督ということに最初面喰いますが、そこはさすがフランク・ダラボン。「冤罪」とか「クリーチャーもの」とかという主語を描きたいんじゃなくておそらく、「人のありよう」という述語に興味がある監督なんじゃないかなと個人的には勝手に思ってます。ホラー映画って、スプラッターに走るとか、クリーチャーが何しろグロくて怖いとか、とかく視覚訴求で派手に行きがちで。この作品ももちろん、ビジュアル的にかなりエグめの、化け物がたくさん出てくるのだけど、薄っぺらくならないのは、本当の恐怖を、人々の心理やエゴを描くことで見せるのが超うまいからでしょう。一見、オカルトだけで終わり映画に見えますけど、ラストの帰結の無常観ったら。業の深い映画だと思いました。ホラーでこんなにやられたと思ったのは久々。この映画が変えてくる世の中の見え方は「”主人公性”の危うさ」ということでしょう。あんまり書くとネタバレになるので書かないけど、「人はなぜ、自分の行動を正しいと思いこめるのか」ということに対するむっちゃ残酷な答えが恐ろしい。多かれ少なかれ人は思い込みを使わないと行動できないし、その時多くの場合は「根拠のない自信」みたいなものが入っている。根拠がなくてもなぜGOを出せるかといえば、それは「自分のことだから」であって、他人のそれだったらなかなかそうはいかない。映画も、主人公に移入してみることが大半だと思うので、それって日常でも起こっている主人公性みたいなものの危うさやなあと思うわけです。誰も責められない結末だと思いたいのですが、何よりもおっかないのは人間なのかもしれないっていう”ホラー”です。

いのちの食べ方

2005年公開
監督:ニコラウス・ゲイハルター
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肉、魚、野菜など、人間の食物が“食物”になるまでを追った映像ドキュメンタリー。結構、ショッキングです。血がだめな人は見ない方がいいかもしれない。でも、本来、自分たちが食べているものが、生き物だったころから食べ物になる今まで、なにが起こっているのか知らないなんておかしな話。直視したい事実がちゃんととられていました。こうしてみると食べ物はほとんどがもはや工業製品で、そこでは”死ぬために作られる命”が毎日生産されていく。人間ってなんて業の深い生き物なんでしょうね。セリフは一切ないので、ちょっとアーティスティックな映像作品でもあると思う。淡々と、作り手側の解釈を一切さしはさまずに進んでいく、結構むごたらしい事実を、見る側にゆだねる作品。この映画が変えてくる世の中の見え方は「人間って身勝手な生き物だから、せめてその身勝手さを直視してみよう」ということでしょう。ちょっとだけビーガンの人の気持ちがわかるかも。なんにせよ、感謝と畏敬の念をもって「いただきます」と言いたくなる、毎日の食事の見方が変わる映画。

ゼロ・グラビティ

2013年公開
監督:アルフォンソ・キュアロン
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宇宙船外作業中の不慮の事故により宇宙空間に投げ出されてしまった2人のクルーの生還劇。フィジカルな作品でした。とっても。当時、3D版を映画館で見たんですが、はじめて映画館という空間を、3D視覚効果を、最大限に活かしていた、このご時世に珍しい、2000円強の価値のある作品だったと覚えてます。(逆に、映画館の生き残る未来は、フィジカルしかないのかと、ふと、厳しさも感じたりしました) すべての表現は、ラストのシーンで、見ている人に訪れる、とてつもない安堵感のためにあるといっても過言でない。原題は「Gravity」。そっちを描きたかったのかと思うと同時に、主題がひっくり返ってしまっているクソ邦題だなと思ったり、かえってそれがオチの効果を高めているような気がしたり。この映画が変えてくる世の中の見え方は「地球ありがとう。重力ありがとう。」ということですかね笑 僕は個人的にはまったく宇宙に惹かれないし、まじめに火星に移住しようとしている研究者みんなに、その英知を地球の浄化に費やしてほしいとか思っちゃうタイプなんですが笑、まさに、地球を大事にしようよと改めて思いましたw 3Dじゃないとラストの「安堵」は薄いかもしれないけれど、にしても。

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世の中の見方を変えるということは、自分の中にある「バイアス」が揺さぶられるということ。巧みにそのバイアスをあえて強化する方向に引きずり込んでから一気にぶち壊しに行く「ミスト」と、ただ淡々と目に映らないように世の中が脇によけてきた事実を編集なしに見せ続ける「いのちの食べ方」、今すでに存在していることに対してのありがたさを異常な状況を疑似体験させることで増幅する「ゼロ・グラビティ」と、3本とも「バイアスの壊し方」は違うけれど、自分の固定概念や当たり前に気づくには個人的にはいい映画だったなあと述懐させられるいいお題でした。見方がほんとに変わったかどうかはコメントでもして教えてください、Y君w

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