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心臓で東京を体感する

猛暑を乗り越え、またランニングのペースを取り戻しつつあるんだけど、走ると体力以外の大きな獲得物として、「土地勘」がある。東京なんて、住んだり通勤したりする人には大体、駅と駅の位置関係くらいはざっくり頭に入っているもんだと思うけど、「渋谷と表参道と赤坂と、どっちのほうが坂の上にある?」みたいな、体感でわかってるみたいな境地にいる人ってなかなかいないように思うのです。特に車で東京を動かない人はなおのこと。

走ると、当たり前だけど、「下った分、のぼらないと帰ってこれない」わけで、どこが山でどこが谷なのか、脚と、なんなら心臓で覚えるんです。頭で知って覚えるよりも、心臓で覚えるほうが、「記憶の強度」みたいなものが強いわけで、何となく自分がグーグルMAPの測定カーになったような気持ちで、体を使って東京をスキャンするイメージ。走るようになってから、東京がすごくわかってきた気がする。

何事も、どうも頭に入ってこないと思ったら、頭以外の部分を使ったほうがいいんだと改めてこのことから感じるのです。マルチメディアならぬマルチセンス。目以外の感覚器を使う。スポーツって、健康とかマッチョになるとかじゃなくて、いろんな感覚器を使うことで、情報処理能力を回復したり向上したり、アンテナ力を研ぎ澄ますなあと。やってる人からすれば当たり前なんだろうけど、この「自分を余すことなく使いこなす」ための運動、っていうとらえ方をできるようになってから、ランニングが続くようになったかなあとわが身を振り返り思うわけです。体感は強し。

とか考えながら、記憶のかなたからその昔、フジテレビの三井さんっていう気象予報士がいたことを思い出した。「三井さんの体感お天気」というコーナーがあって、彼が長靴はいて雨合羽きて、日本地図を模したビニールプールの中の「太平洋」に入っていて、じょうろで雨を降らしたり、送風機で季節風を再現したりするという画期的企画。それを見て母が『これ、体感してんの三井さんだけだよね』と突っ込んだ瞬間から三井さんが不憫に見えて、やっぱり体感って自分だけのだよね。

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