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一日一書評#42「バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで/速水健朗・円堂都司昭・栗原裕一郎・大山くまお・成松哲著」(2016)

音楽の世界には、様々なグループやバンドがいる。古今東西多くのバンドが結成され、残念ながら解散していくこともある。それらが結成された理由は些細でありふれたものかもしれない。しかし、解散の理由となると、バンド一つ一つに存在する。不仲、お金の問題、事務所の問題など、様々な理由でバンドは解散していく。

そんな、世界中の有名なバンドや音楽グループの解散に至るまでの経緯をまとめた本が、この「バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで」だ。タイトルの「バンド臨終図巻」は、山田風太郎さんによる、偉人の死因が書かれた著書「人間臨終図巻」にちなんだものだ。

先ほど述べたように、この本には古今東西のバンドの解散理由や経緯が書かれている。その他にも、メンバーの名前やデビューした年など、バンドの基本的な情報も書かれているので、そこまで音楽に詳しくないという方でも読むことが出来る。

気になるのはその中身だが、総勢191組のバンドやグループの解散理由が書かれている。割合としては、日本のバンドが114組、海外が77組となっている。結成された順番に収録されており、ハナ肇とクレイジーキャッツから始まり、インディーズバンドとして活動していた黒木渚で終わっている。

この本を読んで、すごいなと感じたものが二つある。一つは、現在も続いているバンドだ。たとえそれが結成1年目の新人でも、20年30年やっているベテランでも、「やっている」「続いている」という事実はすごいことだとこの本を読むと思えるようになる。

もう一つすごいと感じたのは、この本に載っている、つまり解散しているにもかかわらず、その後再結成しているバンドだ。解散を決めた時は、様々な理由が重なって、もう修復不可能だったバンドが、時を経て復活するというのは、非常に面白い現象だなと強く思う。

これだけ多くのバンドの、しかも解散について書かれた本は初めてではないだろうか。


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