#13 柳澤寛子さん/OJAS PURE RAW CHOCOLATE(東御市)
実は無類のチョコレート好きでして(カカオ含有率90%以上の苦ーいやつが大好物)、「長野+チョコ」で長らくアンテナを張っていたのですが、そんな矢先に出会ったひとつが柳澤寛子さんのOJAS PURE RAW CHOCOLATEでした。「長野にローチョコレートがあるのか!」と驚愕した私は早速ネットで注文、食べて仰天、これまでのチョコレートの概念が覆されました。取材では「なるほど!」なストーリーが続々。チョコのお供に、ぜひ。
編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真=栗田脩
写真提供=OJAS PURE RAW CHOCOLATE(*)
※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストで公開しています
知らなくても、食べて美味しければ、それでいい
岡澤浩太郎(以下、岡澤) 取材前にメールでお伝えしましたけど、以前、OJAS PURE RAW CHOCOLATE(以下、OJAS)の「ノーマルダーク」を食べたことがあるんです。それが南極の水の味がしたんですよね。
柳澤寛子さん(以下、柳澤さん) あ! それってどんな感じだったんですか?
岡澤 東京・青山のCenter for COSMIC WONDERで何かの展示があったときに、レセプションで南極の深層の氷を溶かした水が出されたんですよ。
水って普通、やわらかい/かたいとか、甘いとか味があるのに、飲んでみても全然味がしなくて、「え?」って驚いてしまって。だけど次の瞬間、体にすーーーっと染み込んでいく感じがしたんです。それで、「これは味がないのではなく、『ピュア』なんだ」と思って。
つまり、味の特徴を八角形とかのグラフにすると、何かのパラメータが飛び出てて、どこかが凹んでたりするじゃないですか。だけどその水は、全部同じ、きれいな八角形、もう完璧で。OJASのチョコレートは、それと似た感覚がしたんです。
柳澤さん うれしい、光栄すぎます(笑)。でも本当に、口のなかでさーっと溶けていきますよね。
岡澤 そうそう、ムダに残らないというか。香料って、例えば海外の石鹸とかだと、鼻の奥にずーっと残ってる感じがあるじゃないですか。だけどOJASのチョコは自然のものだからか、すっといなくなってくれるというか。
だから「ノーマルダーク」とかは、あのジャリっとした食感がないと、多分、「あれ? 何だったんだろう?」って思うかもしれない(笑)。
柳澤さん 最初につくったのが、そのジャリジャリしたタイプなんです。
岡澤 そうなんですね。チョコレートは、いま何種類くらいあるんですか?
柳澤さん えー!? 何種類だろう……最近、結構増えすぎちゃって(笑)。でも、基本的に板チョコは10種類ぐらい、バーのタイプは5種類くらい。あとは粒チョコレートとして、私が見つけた新しい原料とか、季節とかで、つくっています。
あと「メディシンチョコレート」という、漢方とかスーパーフードとか、大人しか食べられないような原料とかも練り込んだパワー系のチョコがあるんですけど、それはマルシェとか出店のとき限定で販売しています。
岡澤 あー、それは楽しそう!
柳澤さん 例えば消化力が落ちてくる時期に、アーユルヴェーダ(後述)の薬草を混ぜ込むとか、フィトテラピー(植物療法)で使われるような植物を混ぜた「薬草入りのチョコ」とか。「いまの時期は、これがいいですよ!」みたいに、楽しめると思います(笑)。
岡澤 ラズベリーとか、いろいろなハーブのチョコレートもありますよね。そういうフレーバーはどうやって決めているんですか?
柳澤さん 効能を調べたりもしていますね。グラム単位でバランスを考えて、何度もつくり変えています。やっぱり、カカオも農産物なので、時期や年によって香りや味が変わることもあるので。
ただローフード(後述)って特殊過ぎて、私がマルシェに出店したときも「ローって何?」って、理解してもらうのが難しかったんですよね。スムージーとかコールドプレスジュースとかの感じで説明するとわかるみたいなんですけど。
だけど、知らなくても、食べたら単純に美味しければ、それでいいやと思って(笑)。だからそこまで苦くせず、誰が食べても美味しい甘さを目指しています。
ロー=低温調理とは?
岡澤 OJASはローチョコレートがメインですよね。この「ロー」って低温調理とも言いますけど、いまさらですが、そもそもどういうつくり方なんですか??
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