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渋谷ノスタルジック書店(棚番:158)

昔から誰かの本棚を眺めるのが好きだった。友達の家でも、仕事で訪れた研究室やデザイン事務所でも、まじまじと見てしまう。本棚にはその人の脳内が詰まっていると思う。並んでいる本を見て親近感を持ったり、意外な趣味嗜好を知ってその人のことが気になり出したり。自分の部屋に友達が家に遊びに来るときにはアピールしたい本を面出ししたり、少し背伸びした本を目立つ位置に置いてみたり……。

このたび、シェア型書店の「渋谷〇〇書店」に入居できることになった。書店のコンセプトは「偏愛」だという。私にとって渋谷はカルチャーの街。カルチャーを「偏愛」していた17歳の頃の、自分の部屋の本棚を再現してみたいと思った。若い世代には新鮮な気持ちで、同世代には懐かしみながら、当時の書籍や雑誌を通じて、90年代後半のカルチャーに触れてもらえたなら、と。
覚えている範囲で17歳の時に偏愛していた本を選んでみた。無我夢中で子供を育ててきたこの13年の間に、自分からすっかりカルチャーを愛でる土壌が失われた。好きな本や音楽、映画にどっぷり浸っていた17歳の頃を思い出し、ノスタルジックな思いと共に行う選書は少し切なく、それでも楽しい作業だった。

青い春がきらめき、さんざめいていた20世紀最後の年。あの年の本棚はこの場所に続いている。


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