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お気に入りの香りで、うつの記憶を書き換えたい


香りは、その香りを感じた瞬間の記憶を蘇らせる。

私の場合、これまで自分が使っていた香水の香りを感じると、うつ期のしんどかった出来事を思い出して、気持ちがしんどくなってしまう。だから、私は3月に退職して引っ越す際、持っていた香水をほぼ全て処分した。

唯一残したのは、先日の記事でも触れたJO MALONEだ。この香水は、「それをつけていた頃のように再び元気になりたい」という希望を込めて、今はコスメ棚の奥にしまっている。

今回は、私の香水遍歴とともに病気の経過をたどり、最後に今のお気に入りの香りを紹介したい。

私の香水遍歴

①Dior:フレッシュな新卒時代をともに

都会のバリキャリOLに憧れて、私は大学卒業前にDiorの香水を買った。フローラル系の華やかな香りで、一人前のレディになれた気がした。

結局、それは私の気分の話であって、実際のところは社会人になってすぐに一人前になれるわけはない。希望に溢れて意気揚々と入省した私は、次第に業務で疲弊し、入省時点での希望を見失っていった。

私は、Diorにふさわしい女になれなかった。

棚に置いていたDiorの香水は、自分への失望を表しているようで、視界に入れるのがだんだんしんどくなり、ついに私は手放す決意をした。


②OHANA MAHAALO:異変を知らせて

こちらは、うつで休職中、少し回復して気分が良かった日に、コスメのバラエティショップで目に留まったものだ。

あの頃の私は、実はうつを抜けて躁状態を発症していた。

私は双極性障害の患者で、躁状態になると、精神が過度に昂ぶり色々な問題行動に出てしまう。早急に薬で治療をしないといけないが、当時の私は治療が間に合わず、結果的にいくつもの問題行動を起こし、あとでひどくショックを受けたものだった。

今でも、香水コーナーでOHANA MAHAALOを見かけると、当時の問題行動を思い出し、また、躁が治まって振り返ったときのショックもあわせて思い出して、しんどい気持ちになってしまう。


③Chloé:再始動の望みを乗せて

都会の女への憧れを捨てきれない私は、Diorに懲りずに、またまた女性用フレグランスの代表であるChloéを買ってしまった。当時は復職してしばらく経ったとき。だいぶ気分は回復しており、あとは体調面が安定してくれれば、という感じだった。

しかし、うつ特有の倦怠感と闘いながら長い一日を終えようとするとき、Chloéの華やかな香りを感じるのは、なんだかちぐはぐしていた。

結局、うつの症状が治まらないから、私は憧れの都会派OLにはなれなかったな。

諦めの気持ちとともに、ひとおもいに断捨離した。


④OHANA MAHAALO:その手に希望を込めて

実は、②の香りがいまだに好きで、最近ハンドクリームを購入した。香水のボトルを見るとまだしんどい気持ちになるものの、ハンドクリームならそこまでしんどくならなくて、毎晩寝る前に使っている。

今の私は、退職して仕事のストレスから解放され、懸念事項だった体調面もかなり安定してきた。体調の回復とあわせて、気持ちもやっと前向きになっている。

ここまで来るのに、実に4年かかった。

これまで私と共にした香りは、全て病気の記憶を蘇らせたけれど、OHANA MAHAALOのハンドクリームは、今度こそ私を前向きにさせてくれるはずだ。

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