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有川浩先生に打ちのめされる〜理想と現実のギャップを添えて〜

 私は本を読むのが嫌いではない。むしろ高校生の前半くらいまでは本を読むのが好きなくらいだった。もっぱら読むジャンルは小説で、しかも内容が重くないものが好きだった。本を好きになったきっかけは小学2年生の頃、ジャンルはベタもベタな伝記である。一番最初はエジソン、次にコロンブスを読み始め、その流れで織田信長や豊臣秀吉の戦国武将、そしてそこから途中で『日本の歴史』を挟んだ。ここら辺までで活字から新たな学び、興味が得られるという実感が培われていったように思う。そして物語として一番最初に面白いと思った作者もこの時期に登場した。はやみねかおる先生である。はやみねかおる先生の『名探偵夢水清志郎事件ノート』シリーズは当時の私にとっては傑作で、当時図書館にあったこのシリーズをどんどん読破していった覚えがある。
 中学校に上がり、出会ったのがタイトルにもある有川浩先生の『図書館戦争』シリーズである。恋愛小説をそれまで読んだことがなかった私にとって、自衛官(バトル)+恋愛という組み合わせは敷居が低く、読みやすかったためどっぷりハマってしまった。別冊の2巻まで読み切った頃にはもうこの世界の続きを読めないのかと悲しくなって初めて本で泣いてしまったほどである。

そんなこんなで恋愛小説や推理小説、はたまたライトノベルに手を伸ばしていた中高生時代だったが、大学に入ってからはめっきり本を読む機会が減ってしまった。理由は新書と出会ってしまったからである。今までは物語を楽しむ小説ばかり読んでいたため、世の中の事象について論じられていることが多い新書はどうもん文章が難解で読みにくく感じ、それに釣られて読書から自然と遠ざかっていた。
 しかし最近、たまたま一人暮らしの家に持ってきていた有川浩先生の作品である『ラブコメ今昔』にふと手を伸ばした。

泣いた。

パートナーとの関係に悩んでいる私にとって作中の男性はカッコ良すぎたのだ。
自衛官という職種がその人物をよりかっこよく見せているのかもしれないが、そうじゃないとしても泣いていただろう。

有川浩先生の素晴らしいところは、登場人物が皆何かしらの悩みを抱えていたり気持ちが揺れ動く場面があり、そこに対しての人物の感情が丁寧に描かれている点だと思う。だから読んでいるこちらも当人のように心が揺さぶられてしまう。

作中にでてくるような、かっこいい男になりたいものである。

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