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双極性障害の人をサポートする側(友人、家族、支援者)の対応・伝え方・接し方

双極性障害の当事者である私、松浦が双極性障害をテーマにTwitterライブで配信をしている「松浦さんの双極ラジオ」。第19回目となる7/18には、初めてゲストを呼んで実施しました。

ゲスト青木さんは私が双極性障害と診断うけるキッカケを作り、今はメンタル面の相談役として社内で私を支えてくれている方。

今回は配信の中で「双極性障害の人をサポートする側(友人、家族、支援者)の対応・接し方」に絞って、当日の質問と回答を文字起こししたので、ご覧下さい。

⚫︎プロフィール

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青木弘達(以下、青木) 
2011年に代表の伊藤とともにうつ・双極性障害の方の社会復帰サービスを提供する株式会社リヴァを創業し、取締役に就任。松浦とは前職からの繋がり。主な担当業務はサービス企画/開発と支援員育成。公認心理師/社会保険労務士(有資格者)

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松浦秀俊(以下、松浦) 
21歳の時に双極性障害を発症。20代で転職3回休職4回を経て、リヴァの社会復帰サービスを利用(担当の支援員が青木)。後に同社へ2012年に入社し、支援員に従事。現在は双極性障害で働くヒントがみつかるメディア「双極はたらくラボ」の2021年公開に向け準備中。個人活動として、双極性障害×働くをテーマにした「双極トーク」を主催や、Twitterライブによる双極性障害をテーマの「松浦さんの双極ラジオ」配信など行う。一児の父。公認心理師/精神保健福祉士


⚫︎双極性障害の人に対する友人の対応、伝え方、接し方

[質問]

「躁だね、とか鬱だね」と他者に診断めいたことをいわれると怒ってしまいます。
うまく手綱を握ってもらいサポートしてもらうにはどのように声掛けしてもらうとスムーズなコミュニケーションになるか、アドバイスがほしいです。

[回答]

青木 あくまで僕の経験という事なので、必ずそれが上手くいくとは限らないんですけど。その方のキャラクターとかもあると思うんでね。

(質問者の)Megさんが、例えば躁っぽいとか鬱っぽいとかいうのがすごく引っかかっちゃうようであれば、「鬱っぽいって感じた時にこういう表現して欲しい」とか、「躁っぽいって感じた時にこういう表現して欲しい」とか、お願いした人しか分からないような言葉を決めておくというのは、一つの手かもしれないですね。

「嫌だなと思わないような表現の仕方で教えて」っていう風な言い方をするという手があるかな。

松浦 どんな表現がありました?今まで。

青木 「上がってるね」っていって欲しいって言われた事はあるかな。ストレートなんだけど。

「ちょっとハイかな」とか、そういう感じの表現の仕方をして欲しい、だから、躁っぽいねとか、鬱っぽいねだと確かに診断されてる気がして嫌だっていうから、そうじゃないような。

一番セオリーなのは事実ベースで教えてっていうのがイイよね。例えば、「最近、ちょっといつもより声が大きいね」とか、割と目のカタチに現れる人もいるから。弓形になったりする人とかいるんですよ、垂れてくるというか。

そういう感じで、「いつもより目が弓形になってるねー」とか、特徴とか事実で伝えた方が、そこに見解が入ってないから良いんだけど、ただこれが結構難しくて。

何が事実で何が解釈なのかっていうのを分けるのは、一般の人だと結構難しいから、僕がオススメはお互いが了承を取り合ったサインで伝えてもらうっていうのがオススメかな。

[質問]

双極傾向をもつ人が、友人に事前に伝えておくと良いこと(双極の人に多い特性やトラブル)、
その際に友人にどう伝えるとよいか、ベターな言葉のチョイスなど、気になってますー。

[回答]

青木 恐らくなんですけど、これまでに後で後悔した事って沢山あるんじゃないかと思うんですよ。

それが、本意でそういう事になってないってことを予め伝える、みたいな。意図が伝わるかな?

松浦 どういう風に言うんですか?本意ではないって。

青木 例えば、これまでの経験で軽躁になってる時って、遂、言葉じりがキツくなるとかあるじゃないですか。で、関係性壊しちゃったみたいな話ってよく出てきますよね。

それって本意じゃなくて、やっぱり病状的な部分でエスカレートしてしまってるんだけど、「別にあなたを責めたくてそういった事を言ってる訳じゃなくて」みたいなことを。

「それで傷つけちゃうことがあるかもしれないけど、もしかしたら症状から来てることかもしれないから、その時は後で謝罪させて」みたいな話とか。

松浦 謝罪もセットで、(軽躁の渦中の)その時は難しいかもしれないけどその後で謝罪させてね、まで言うって事ですね。

青木 そうそう。

コメントに「ドタキャンしたらゴメンねと伝える事が多いです」って、こういうのとか。自分の全部を理解してもらうのは難しいと思うんだけど、「そういう特徴とか症状が出ちゃう時があるから、ホントは自分としても不本意で後々すごい後悔する事なんだ」みたいなことを事前に伝えておくと、後で、「あっ、この事か!」ってなったりとかするかな。

そうすると完全に(関係は)壊れないというか、謝罪しやすくもなると思うし。

友人がらみだと、その辺かな。


⚫︎双極性障害の人に対する家族の対応、伝え方、接し方

[質問]

先日初めての子供が生まれました。
家庭をお持ちの双極の方(子供の有無関わらず)はどのような工夫をされているのか、子育てに対してどのように取り組まれているのか、お話を聞かせて頂けたら幸いです。

[回答]

青木 僕が思うにというか、そういったご家族の話とかも相談を受ける事もあるんでよく聞くのは、やっぱり対話をしっかりする事かなと思っていて。

完全には理解されないという前提のもとでちゃんと話をしていくみたいな感じなのかな。

お互い、思ってることをちゃんと出し合えるような関係を作るって言うことかなという風に思うかな。ただ、それも一発で何とかなるもんでもないと思うから粘り強く続けるしかないのかなって思います。

松浦 どの様に取り組まれてるかって言われると。うちの子、今4歳ですけど。生まれる前から、私は調子が上がって、生まれて育休取ってうつっぽくなって、とか。色んなタイミング、それぞれで乗り越えてきた部分はあると思うんですけど。

本当に、家族で喋って、みんなで話して、進めてるのはありますかね。

一番言ってもらってありがたかったのは「私(松浦)がいなくても育つ」っていう風に言ってもらった言葉が。ほんと自分の責任感で自分がちゃんとしないと育たないって思ってたんで。

勝手に育つし、自分が思ってる以上に育っていく所では、小さくてもその子はその子で生きてるなっていうのをちゃんと認めていくと自分も楽になって、余裕ができるからそこでプラスの関わりが出来たりはしてきたかなと思いますかね。

でも、ほんと途上なんで、どうしたらいいかと正解だとは思ってないですし。普通に気分を荒げてますから、子どもに対して。

青木 結構あれだよね。お互いに思い込みって知らない間に出来てきちゃうから、それをちゃんと言葉にするタイミングっていうのを設けていくのが大切だよね。

⚫︎双極性障害の人に対する支援者の対応、伝え方、接し方

[質問]

支援者側で
「鬱っぽくなってるなー」
「ちょっとテンション高めだなー」
と感じたとき、どちらに注目して声がけをするようにしていますか?

[回答]

青木 やっぱり、軽躁っぽい時とか上がってる時に注目しますかね。基本的には。

松浦 なぜですか、それは。

青木 下がってる時に声をかけるというよりは、上がり過ぎてしまうというか、そっち側をコントロールしていく事で、結果的にうつを軽くするという、そっちの考え方のほうが大概の人には合ってるかなと思っているので。

軽躁期に入ってしまいそうな気配を感じる時は、ちょっと声をかけるようにしていって、逆にちょっと下がり気味だなって時は、ゆっくり話を聞くとかそういう感じでいいのかなってとこもあるから。

どっちかって言うと、上がってるんじゃないかなって時の方が声をかけるかな。

[質問]

青木さんが現在関わっているサービス「ムラカラ」はうつ病や双極性障害の方を対象として、非日常に環境を変えて行うサービス。
これに対して先日、Twitter上で「躁状態を誘発するのではないか?」というコメントを頂いた。この点はどう思われるか。

[回答]

青木 (私の)背景画像が、下北山村っていう場所なんですけど。これ、村の中に流れてる川なんですけどね、木が映り込むぐらい透明度が高い。確かに、ちょっと異次元なんですよ。

そういう所行ったら、躁転してしまうんじゃないかっていうのはあるかもしれませんね。

それはどう考えるかって事なんですけど、環境の変化って生きてく上でどうしても必要じゃないですか。必要っていうか、望んでいようと望んでいまいと、今回の有事もそうですけど。やっぱり起こる事なので、それに対して(躁状態を)誘発するんしゃないかっていうと可能性はもちろんあるなと思ってます。

だけど、そういう環境変化に対しても、一定対応していかなきゃいけないって点ではチャンスでもあるとは言えるかなと。

その時に、治療途中であれば主治医の先生の見解ですかね。環境の変化みたいなところが今の自分にとってはたして大丈夫なのか、耐えうるものなのか、それとも辞めておいた方がいいのかという所は第一の判断軸として、確認していただいたほうがよくて。

それでも大丈夫なんじゃないかっていう話であれば、(場所を)移してみて、自分の反応がどう出てくるのかっていうのを。私たちは一応プロでもあるので、一緒に関わりながら症状の出方であったりとか、反応の仕方みたいな所を分析しつつ対処を一緒に考えていくっていう点では、良い機会になるんじゃないかなと思ってます。

特にムラカラだと宿泊も含む、滞在するので。そう考えると、接しさせていただく時間が長いから、特に軽躁であったりうつのサインみたいな所をキャッチしやすいかなと思っているので、一緒にその辺りの対処は考えていけるかなって思ってます。

誰にでもオススメのサービスではないですね。ある程度治療が進んで、主治医がオッケーだよって所がないと、難しいとは思いますね。

[質問]

今まで双極性障害の方の支援をされてきて、双極の方が社会復帰に必要だと思うことは?

[回答]

青木 ご自身の理解がすごく重要だと思ってて、疾病による共通的なものもあるんですけど、やっぱりその人由来というか、(軽躁時の)目の形一つとっても全然違ったりとか、筆圧とかもいいましたけど。

出方が個人個人違うので、自分の特徴とか現れ方みたいなところをちゃんと理解するっていう事をやっていただくことと、併せてご自身だけでは難しい部分があるのでサポートしてくれる人間だったり、外部資源っていうんですかね関わってくれる人っていうのを増やす。

主治医だけじゃなくて、それ以外にも増やしていくっていう事が(社会)復帰後、必ず必要っていう訳ではないかもしれないけど、復帰した後をやりやすくしてくれるんじゃないかなって思いますね。

⚫︎松浦さんの双極ラジオについて

土曜のあさ9時※にゆるりと動画ライブ配信している
「松浦さんの双極ラジオ」

※松浦が通院の週は配信はお休みとなります。

配信は松浦のTwitterにて土曜朝9時にチェック頂ければご覧になれます。

録画は公開していないため、この配信時間を目標に週末の朝の起床に役立てていただき、生活リズムを保って双極対処に役立てていただけると嬉しいです。





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