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ヨルダン人の本音と建前、お世辞

人との良好な関係を保つために、ハッキリと「No」と言わない日本人の様子を見て、日本には本音と建前の文化があると言われることが多い。しかし、ヨルダンに住み始めて3ヶ月が経過し、ヨルダンにも所謂「本音と建前」や「お世辞」の文化があることを実感する出来事があった。

1人暮らしをするようになって街中で買い物をする際、野菜や果物、肉などを無料でいただくことが何度もあった。(トップの画像のトマトとアラブのお菓子も、無料でいただいた物。)この街で働いていると言うと「アハランワサハラン(ようこそ)」と優しく言ってくれ、お金を払おうとしても「いいよ。そのまま持っていって。」と言う。私は「ラッキー」くらいにしか考えていなかったが、先日、このやり取りに関してヨルダン人と話をすることがあって、そこで新たな事実を知ることとなった。

「タダでいいよ。」とお店の人が言う時、アラビア語では خليها علينا(khalīha 'aleyna)と言ってくる。そう彼らが言ってきた時には、必ず لا، انا بدي ادفع 「いやいや、私ちゃんと払いたい。」と言って、必ずお金を払うべきだと言う。ここで本当に払わなかったことを他のヨルダン人に言ったら、大笑いをされた。「まぁ、1回目なら大丈夫やろ。」とは言われたけど、ヨルダン人がよく言う مجاملات(お世辞)の1つだと言う。

また、別の例もある。ヨルダンでは、人が身に付けているものを حلو(可愛い)と言って褒める時、褒められた方は مقدم(muqadim)と言う。これは、「どうぞあげる。」と言う意味なのだが、その時はかなり強く何度も言ってくるので、本当にもらっていいのかと思ってしまう。しかし、「いやいや、それはあなたの物だから。」と言って、断るのが一般的らしい。これ、アラブ式の本音と建前の文化を知っていないと間違った対応をしてしまうな、と感じた。ちなみに、私が以前同僚に持ち物を褒められた時に、ヨルダンスタイルで مقدم(muqadim)と言ったことがあったが、私がそのような反応をしたのが意外だったようで、同僚にはかなりウケたことを覚えている。

このようなヨルダン人の「本音と建前」や「お世辞」は、日常生活の中でまだまだ隠れていると思う。本音と建前が多いとされる日本人との、1つの共通点を見つけられたようで、ヨルダン人を少し身近に感じられる出来事となった。とはいえ、この文化を理解して使いこなしていくには、まだまだ時間がかかりそう。

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