見出し画像

#26 かどやの槍かけだんご@北千住

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

2010年11月19日、僕は北千住にいた。
ある業界雑誌から散歩の原稿を依頼され、編集者とともに北千住にやってきたのだ。
たしか、下町散歩という特集記事で葛飾柴又や深川なども歩いた。

それまで何度か北千住訪れていた。
蔵の街といわれるほど街中に多くの蔵があり、蔵を喫茶店に改装したお店などに行ったことはあったが、北千住の街を本格的に散歩するのはこのときが初めてだった。

そのときに発見したのが旧日光街道の『かどやの槍かけだんご』という団子を売る店だ。

とても趣のある建物だ。
この建物は明治40年ごろに建てられたもので、もともと足袋屋さんだったそうだ。
昭和27年に今の店主が譲り受け、団子屋を創業。
以来この場所で団子を売ってきた。

住所は看板にもあるように「千住5の5の10」だ。
かつてこのあたりは千住宿という宿場町として栄えた。
日光街道と水戸街道が分岐する『かどの槍かけだんご』という店名は、かつては多くの人たちが行き交った宿場町で、槍を持った人が近くの寺にあった松に槍を立てかけてだんごを食べたというエピソードからこの店名がついたのだとか。

「やきだんご」が1本90円。
店の人からすぐに食べるのかと聞かれた。
そうだと答えると、簡易的なかんじで渡してくれる。
ぶらぶら散歩しながらたべるのもいいし、お茶を買い、近くの公園のベンチに座っていただくのもいい。

「やきだんご」以外にももうひとつ。
たっぷりのこしあんをのっけた「あんだんご」もおすすめ。

その後、僕は何度も北千住を散歩取材で訪れることになる。
そして、しばしばこちらのお団子をいただいた。

2017年、この日もオールアバウトの記事を書くために北千住を訪れた。

再開発が進む北千住の変わる風景と変わらない風景 [散歩] All About

趣のある建物は建て替えられていた。

よく見てみれば、新しい建物もなかなかいい感じの和風な建築物だ。
隣の美容院も看板が変わっているが健在だ。

今は真新しいけれど、これがまた年を重ねるといいかんじの建物になってくるのではないかと思う。

新しくなった『かどやの槍かけだんご』で「やきだんご」を買い求めてみた。
相変わらず値段が1本90円でおいしかった。
建物は変わっても、味が変わらないのはうれしいね。

相変わらず、北千住に来たらこの店に寄ろうと思う。

みなさんも機会があったらぜひ!

【プロフィール】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。

ツイッター https://twitter.com/maguro_shimo

【著書】
『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)
https://amzn.to/2OT9jAq
『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)
https://amzn.to/2noYzNL
『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)
https://amzn.to/2AWqVbV
『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった(共著、ポット出版)』
https://amzn.to/2nohBE2
『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意』(電子書籍)
https://amzn.to/2nowaXY
『セックスしすぎる女たち』(電子書籍)
https://amzn.to/2nu8OjH
『性衝動をくすぐる12のフェティシズム』(電子書籍)
https://amzn.to/2M8SZxF
『ビジネスに効く15分の法則』
https://amzn.to/2nuazgN
『本音と建前を見抜くちょっとした一言』
https://amzn.to/2nq7caP

その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2MaYYSQ
https://amzn.to/2nnAsPs

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?