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#33 民華@御徒町

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

閉店してしまって、自分の思い出の中にしかないお店というのがある。歳をとるというのは、そういう思い出の中にしかない店が増えていくということだ。
そんなお店のなかでもいちばんショッキングだったのが御徒町の町中華「民華」だ。

場所はJR山手線の御徒町駅から昭和通りに出て、少し秋葉原方向へ歩いたところにあった。メディアでもよく取り上げられているお店で、その存在は知っていた。
ちょうど町中華探検隊を北尾トロと始めたこともあり、これは見ておかなくてはと思っていたのだが、それが新宿から上野に引っ越したら時期に重なり、その後は何度も店の前を通った。
そのたびにデジカメやスマホを向けシャッターを切っていたのでけっこうな量の画像が残っている。

カメラを向けたくなる店舗ファサードだった。
店頭にはメニューの写真が大きく貼られている。
また、雑誌で取り上げられた記事やら、どんなテレビ番組に出たとかいう情報もあった。
見ているだけでくらくらする。

そして、初めてのれんをくぐったのが、2015年6月17日。
誕生日の日に行くと前から決めていたのだ。

店内にもメニューが壁に張られていた。
考えた末、いただいたのはタンメン。

トップにチャーシューがのっかっている独特なビジュアル。予想以上においしかった。
訪問したレポートはこちら。

レポートでもわかるように、活気のあるいいお店だった。
少しずつ通おうかと思っていたのだが、悲しみは突然やってきた。

火事で焼失してしまったのだ。
探偵ガルエージェンシーの公式ブログでレポートされていた。

さすがにいまの時代だなと思うのはネットを検索すると火事の動画などが多数ネットに存在する。

しばらくして、店のあった場所に行ってみると、空き地になっていた。隣の建物なども焼けてしまったのか、広めの空き地だ。

なんだか悲しい風景だった。
その後、この場所はずっと空き地だったのだが、先日行っていたら、工事が始まっていた。

ホテルが建つようだ。
あらかじめお店の閉店の日がわかっていると、カウントダウンにしたがい常連客達が最後にと行列を成す。
ネット情報やSNSが発達した昨今はこの情報が拡散され、さらに閉店の日が近づくに連れて行列が長くなるというようなことが起こる。
しかし、火事で店舗が失われるということは別れが突然やってくるのだ。
喪失感も大きいね。
それにしても、もうあのタンメンは食べられない。悲しいね。

【プロフィール】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。

ツイッター https://twitter.com/maguro_shimo

【著書】
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