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#29 縛られ地蔵@茗荷谷(1)

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さまを探しながら歩いています。

何度も書いているが散歩の途中にお地蔵さまを発見することがよくある。あまりにユニークなものだとオールアバウトなどの散歩記事にした。そもひとつが、茗荷谷の林泉寺境内にあった「縛られ地蔵」だ。今から10年前、2009年1月にオールアバウトに記事を書いている。

この原稿は地下鉄の駅でも歩けばすぐだが、電車移動をすればかなりかかる駅間を歩くという企画に第一弾。第二弾を書いた覚えがないので、自分的には不発だったのかもしれない。で、原稿にもあるようにふとした道しるべで、林泉寺(縛られ地蔵)というのを発見して、見に行くという展開だった。

文京区がつくっている道しるべだろうか。道路にそのまま埋められていた。

お参りしてみようかと階段をあがると、そこには文京区教育委員会が掲げた「縛られ地蔵」に関する説明板がある。

説明板によれによれば、江戸時代からこの縛られ地蔵は有名だったようだ。昔、呉服屋の手代が地蔵様の前で休み、居眠りをしていたら、反物を盗まれてしまった。奉行は石地蔵が怪しいとして、縄をかけ、奉行所に運んでしまう。物見高い見物人もそれについて、許しも得ず、奉行所内へ。そこで、奉行は許しもなく奉行所内に入った者たちに罰として三日以内に反物を持ってこいと言ったそうだ。そうして集まった反物の中に盗品を発見、犯人も逮捕したという話が「大岡政談」にあるそうだ。この話の元になったのは葛飾区東水元の南蔵院だが、縛られ地蔵はこのころより有名になった、というようなことが書かれていた。

真ん中に縛られているお地蔵さまがいらっしゃった。思わず手を合わせる。しかし、なぜ縛られているのか。昔から「盗難や失せ物があると、地藏尊に縄をかけ、願いがかなうと縄をほどく」 と言う変った風習があって、それでお地蔵さまは縛られているのだそうだ。

これは2009年1月の縛られ地蔵で、今はお社が建てられ、その縄ももはや顔以外はみえないほどのぐるぐる巻きになっている。

こうして、縄で結ぶという行為がお参りするだけではなく、形に残るのでいいような気がする。

実はオールアバウトの記事にはかかなかったけれど、最初見たときはどこかしらSMチックなものをかんじた。そういう系の人たちもお参りに来ているのだろうか。いや、そういう人たちこそ、願掛けに行ってほしいものだ。

また、葛飾区東水元の南蔵院の縛られ地蔵も見に行きたいと思うようになっていた。

【プロフィール】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。

ツイッター https://twitter.com/maguro_shimo

【著書】
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