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沖縄の夜の街の少女たち(裸足で逃げる/上間陽子)

琉球大学で教育学の教授を務める著者が、沖縄の風俗で働く若い女性たちを取材し、まとめた作品。
各章ごとにキャバクラや援助交際で生計を立てる女性が登場し、彼女たち6人がなぜその仕事をするに至ったか、詳細に綴られている。時折挟み込まれるテープの書き起こしには、舌足らずな喋り方や方言がありのまま掲載されていて、十分な教育を受けられなかったであろう彼女たちの姿が目に浮かぶようだった。

15歳で妊娠、16歳で出産、シングルマザーとなり、年齢を偽りながらキャバクラで働く少女や、両親のネグレクト、恋人のDV、集団強姦事件など、聞いているだけでつらくなるような過去を、若すぎる彼女たちはあっけらかんと語る。
それは著者が、彼女たちを自宅に招き入れて食事の世話をしたり、病院に付き添ったり、時には出産に立ち合ったりと、全身全霊で向き合った結果に他ならない。自分が子供でありながら、自分が産んだ子供しか拠り所のなかった彼女たちにとって、著者がどんな存在であったか。それを知るには、テープの書き起こしを読むだけで十分だった。

各章はうっすら希望の光が差し込むような形で終わってはいるものの、それでも私は1冊読み終えた後で、「そういう女性がいた。たぶん今もいる。悲しい現実を知った」という感想に止まってしまい、どこかざらざらとしたものが胸に残った。いま、これから、どんな方法で彼女たちを救えるのか?彼女たちの子供は、ともすれば彼女たちと同じような人生を送ることになるのではないか?と、考えずにはいられなかったのだ。
まずは知ることが大事ということは理解しつつも、研究者の視点でもう少しヒントを与えてほしかったと思う。

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