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脱、犬の道(イシューからはじめよ/安宅和人)

「圧倒的に生産性の高い人」は、作業スピードが超絶速いわけではなく、イシュー(=本当に答えを出すべき問い)を見極めることに長けている。
問題解決や思考法をテーマにした本、ロジックツリー、MECE、フレームワークといったツールは世に溢れているが、それらを知っているだけでは意味がない。何よりもまず先に「イシュー」が何なのか見極めよ!でないと時間の無駄!犬の道!という趣旨の本。

著者は東大→マッキンゼー→イェール大学で脳神経科学を学び、マッキンゼー復帰のちにYahooのCOO室室長という輝かしい経歴ながら、マッキンゼー出身者の著作にありがちなマッキンゼー礼賛のテンションがなくとても読みやすかった。

よいイシューの3条件

  1. 本質的な選択肢である
    答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与える

  2. 深い仮説がある
    常識を覆すような洞察があったり、新しい構造の中で世の中を説明したり

  3. 答えを出せる
    「重要であっても答えを出せない問題」というのは世の中にいくらでもある。そこに時間をかけても無駄

イシュー特定のための情報収集のコツ

1. 一次情報に触れる
優秀な人ほど、効率の良い本などの二次情報から情報を得ようとするが、色眼鏡をつけて見た情報をベースに仮説を立てるのは危険

2. 基本情報をスキャンする
一次情報から得た感覚をもちつつ、取り組む課題領域における基本的な知識をざっと押さえておく

3. 集めすぎない、知りすぎない
集めすぎ→情報収集にかけた労力とその結果得られる情報量は、あるところまでは正の相関があるが、そこをすぎると途端にスピードが鈍る

知りすぎ→こちらもある情報量までは急速に知恵が湧くが、そこを超えると急速に知恵が減り、最も大切な「自分ならではの視点」がゼロに近づく知識の増大は、必ずしも知恵の増大にはつながらない。一流の科学者がその分野の権威レベルになると、若かった頃のような強烈なアイデアを生み出せなくなるのはこのせい。また、業界に精通した専門家がいる一流企業が外部のコンサルを雇うのもこの理由

上記のような「イシューの見極め方」についていくつかの具体的な例は示されてはいるものの、結論はやはり「実践あるのみ」。
ジャンルを問わず、何かを見極める目というのは、経験を積むことでしか養われないと私も思うけれど、そうして経験を積んでいる間に「知りすぎ」てしまうのだろうなという気もした。

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