世界を映す窓(それでも映画は「格差」を描く/町山智浩)
『パラサイト 半地下の家族』『万引き家族』『ジョーカー』…映画ツウならずとも知る昨今の大ヒット映画の中には、格差社会をテーマにしたものが多い。これは「映画は世界を映す窓!」と主張する映画評論家の著者が、格差を扱った13作品を取り上げ、解説していく新書だ。
13作品の中で、私た観たことのあるものは
・パラサイト
・ジョーカー
・わたしは、ダニエル・ブレイク
・万引き家族
・天気の子
の5作品だった。あらすじが詳細に書かれているので、観てない作品はネタバレになってしまったものの、どれも評論家ならではの切り口で興味深かった。
こちらは「観たけど全然気づかなかった…」箇所。
『万引き家族』は2018年カンヌ映画祭で「Invisible people(見えない人々)に光を当てる」と評され、是枝監督はこれこそ自分が映像作家として取り組んできたことだと様々なインタビューで引用しているらしい。
ついでに、『誰も知らない』『三度目の殺人』『万引き家族』、Invisible peopleを描いたこれらの作品が全て是枝監督作品とは知らず、監督の中でこれほど強く一貫したテーマがあったことに驚いた。
物価も税金も上がり続け、給料は上がらない日本でも、格差は広がり続けている。こんな世界に生きていれば、芸術作品で格差が描かれることは必然のように思う。
「だから映画は格差を描く」
私はこの本を読んであらためてそう思ったわけだが、なぜ著者は「それでも~」と題したのだろう。それだけ引っかかった。
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