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入社後いきなりテレワーク 私の場合

このたび期せずして、転職後いきなりテレワークになりました。私の場合は新入社員といっても社会人になって30年(あ、言っちゃった)たっているので、社会人1年生のように右も左もという状況ではありません。けれども、新しい会社、新しい職場での仕事開始が完全リモートというのは、そう簡単な状況ではないわけで、そんな中で私なりに工夫しているところを、ちょっと書いてみたいと思います。

なお、私は7月1日の入社ですが、今回の転職活動も完全なリモート実施となり面接もビデオ会議で行ったので、上司にも同僚にもいまだ直接会ったことがないです。もっというと物理的な職場にも足を踏み入れたことがありません。

実は二度目の完全リモートスタートなんです

10年ほど前になりますが、完全リモートスタートで始めた仕事に7年ほど従事していたことがあります。私の部署のメンバーは上司も部下も同僚も海外にいたので、必然的に仕事はリモートとなったわけです。会社自体は日本にも拠点があり、私もそこに物理的な席はありましたが、オフィスに行っても私の同僚がいるわけではないという環境でした。ですから、ある意味仕事場として契約しているWe Workみたいな感じだとイメージしていただければいいかと思います。

リモートワーク自体での課題については、もうたくさん語られているし、また私として新たに加えるほどの観点はないので、本稿ではリモートスタート、リモートオンボーディングということにフォーカスして筆を進めます。

一般的にオンボーディングの課題は大きくいえば二つです。一つは職場での人間関係づくり、そしてもう一つは業務のキャッチアップ。これらは、リモートでは不可能かと言われれば、テクノロジーの進化もありできないことではなくなっていると思います。一旦、この二つがうまく行ってしまえば、特にコロナ初期の頃、リモートワークに取り組んだ人たちの多くが感じた、リモートワーク意外と効率いいんじゃん、っていう状況も夢ではないと思います。

意外と見逃されがちなのは、一般的なリモートワークにおける効率性アップは、前提条件として既に築かれた人間関係だったり、ある程度業務内容に習熟しているということがある、ということです。でも、こういったことについて私の中で言語化されたのは、つい最近のことですし、10年前といえば、本当に完全リモートワークで働いている人なんてほとんどいなかったです。いたとしても、それを好んで選択している人達ばかりでしたので、私が感じていたやりにくさ、みたいなものをシェアできる人も少なかったし、ましてノウハウ的なものも巷にあふれている状況ではありませんでした。

経験から言わせてもらえば、こうしたキャッチアップをリモートで行うことは、対面で行うことに比べてかなり非効率なのは間違いないです。実際、私は完全リモートワークの7年間のうち、5年目にして初めてグローバルトレーニングで同僚たちと直接出会う機会がありました。そのとき感じたのは、ものすごく時間を損したなという感覚でしたから。

それでももっとうまくやれたであろうと思うことはあるわけで、今回、幸か不幸かもう一度そういう機会が訪れたので、過去の経験から学んだことを活かしつつより早く人間関係と業務をキャッチアップさせるために実践していることを次に挙げます。

リモートオンボーディングに際し実際に意識してやったこと

完全リモートスタートとなってしまった、現在のお仕事ですが、コロナがなければ、在宅勤務も可能なオフィスでの仕事の予定でした。ですので、リモートスタートが決まったときに、既に書いてきたようなことを念頭において、具体的なアクションプランを考えました。

①部署のメンバーとのオンライン1オン1を設定して、お互いを知る
②小さなことを気軽に聞ける人を2~3人作る
③しっかり聞きたいことは、会議設定して時間を作ってもらう

どれも、特別なことではないのですが、いざやろうとすると心のバリア、抵抗感に気づくと思います。ですので、むしろマインドセットの方が大事なのかもしれませんが、それぞれ詳しく書いていきます。

①については、入社してすぐに、同じ部署のメンバー全員と1時間の1オン1オンラインミーティングを設定しました。これ、抵抗感ない人もいるかもしれませんが、私自身には物凄くチャレンジだったんです。初対面の人と話すことは全然苦ではないのですが、自分から話しかけるのが苦手なのですよ。だから、パーティなんかでも話しかけてもらえるとすごく嬉しいのに自分から話しかけるのはものすごく苦手。こんな私なのですが、とにかく入社したばかりということを最大限に利用して、チャットやメールでミーティングを申し込みました。

こういうとき、仕事上、必要があればミーティングを依頼するのは誰でもできると思います。そこを敢えて、仕事の用事がないのに申し込むところがミソです。だから、逆に入社して比較的すぐがおススメなのです。また、まだ仕事も忙しくなっていない場合も多いでしょう。私の場合も明確に「業務上の用件ではなく、お互いをよく知り合いたいので、お時間いただけませんか」とか「お喋りしましょう」と持ち掛けました。

はじめはウザがられるのでは、とかウェットな人だと思われるのでは、とか昭和っぽいかな、などと心配していましたが、いざやってみると、嫌な顔をする人は一人もいなかったです。それに、新入社員側は自己紹介する機会はあっても、自分よりも先に入社した人についてのお話を聞く機会って意外になかったりするものなので、そういう意味でも「お仕事が始まる前に、一緒にお仕事する人のことを良く知りたい」と言われることは、喜こびそすれ迷惑に思う人は少ないのかもしれません。

その過程の中で、②の気軽につまらないことを聞ける人を数人見つけます。隣に座っていたら、様子見てちょっと聞けるようなこともリモートワークだとなかなか難しいのですが、そういう人が数人いるだけで、随分と楽になりますよね。これも、一度ビデオでも1オン1やると、特に比較的最近入社した人なんかが、自分も苦労したから何かあったら聞いてね、と言ってくれたりします。

③については、もしかしたら一番ハードル低いのかもしれないですが、やはり教えてもらうためのミーティングって設定しにくかったりするものです。そうした心のバリアを下げる意味でも、誰が何を詳しいかを知る意味でも、①の濃密な時間は有効です。相手の時間をとってもらうことには、勿論ある程度慎重になる必要はありますが、そこに気を遣いすぎるよりは、きちんと時間を取ってもらいたいとお願いすることで、相手のスケジュールをいたずらに妨害しない、という形で気を遣う方がいいです。そして、願わくは、できるだけ早く自分も逆の立場で恩返しできるといいなとは思います。

こうして書いてみると、肝は①だったのかもしれないですね。もし、これを読んでくださったリモートスタートの人がいたら、騙されたと思って、まずは全員と1オン1ミーティングを設定してみたらいいと思います。リモートワークのメリットの一つとして、通勤時間等がなくなった分、会議時間には余裕ができたということも聞きますので。

会社や部門長の立場から

短い期間ですが、以前、中途入社者のオンボーディングを担当していたことがあるので、会社側や部門長側からの働きかけについて一つだけ。そのときはリモート開始ということではなかったのですが、入社者に対して②にあたるつまらないことを聞ける人を敢えて会社の方からアサインしたりということをしていました。ですので、リモートなら猶のこと、そういう人を決めてあげることも良いと思います。

①の方は、見ていると自分から動ける人とそうでない人がいましたね。やはり、みんな遠慮してしまうわけです。だとすると、こちらについては会社から入社者と会社全体に対して、新入社員は既存社員との1オン1(今だったらオンラインで)を実施するということを強制ではないまでも推奨するのも、入社者の行動バリアを下げる一助になるかもしれません。

幸せに働くという観点から思うこと

最後にこのブログの趣旨にもどって、幸せに働くという観点から少しだけ述べて結びとしたいと思います。

オンボーディングは、人間関係と業務内容という二つのキャッチアップを同時に行わなければなりません。このとき、やはり我々はビジネスパーソンなので、業務を優先的にと思いがちなのですが、特にリモート環境の中では業務のキャッチアップのためにも、まずは意識的に人間関係構築に気を配るのが結局早道なのではと思います。

もう一つ大事なのは、メンタルヘルスの観点です。入社したばかりだったり転職したばかりだったりすると、そもそもその環境での人間関係が希薄なところからのスタートなので、不安感が増します。人間の幸福感を支える大きなビルディングブロックの一つが人との関係です。よい人間関係のもとに良い仕事ができることを、もっと意識すると、一見非効率にみえる人間関係構築に時間をかけることに意味を見出せると思います。

ちなみに、私と私を含めた数名の歓迎会はリモートでの開催となりました。いわゆる「Zoom飲み」(会社のツールはZoomではないのですが)で、各自飲み物と食べ物を用意して行いました。(部門長の計らいで、一人5000円までの経費補助がありました)コロナが落ち着いたら、有名すきやき店にて、歓迎会パート2を行おうという話になっています。オフラインでしかできないことがあるのは仕方ないので、今はオンライン環境の中でできることを行う。やがて出社することも可能になってきたら、オンラインオフラインのハイブリッドにて、最も良い各自のバランスを見つけていければいいな、と切に願います。

読んでくださってありがとうございました。スキやフォローしていただけると、とても幸せです。

  追伸:日経COMEMOのまとめ記事に取り上げていただきました。


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