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自分には無縁だと思っていた金融事故を起こした話

金融事故。クレジットカード会社などが審査の際に閲覧する信用情報に傷がつき、カードが作れなくなるような事象のことを指すが、借金の経験もなく収入も貯金も並にはある自分がまさか金融事故を起こすとは、想像もしていなかった。

金融事故を起こしたのは2018年。下記は当時書いていたブログ記事の再掲だが、4年以上の月日が流れていることから、補足のため所々改編している。

経緯

ある日突然クレジットカードが止められた

2018年12月のある日、当時使用していたモバイルWAONにイオンカード払いでチャージしようとしたところ、そのカードは使用できませんというエラーメッセージが表示された。

カードが止められているなど夢にも思わず、イオンカードのコールセンターに電話しなぜ使えなくなったのかを確認してみた。すると、「こちらのカードの支払いに問題はありませんが、信用情報機関の情報をもとにお客様のカードを停止させています。」との返答があった。

信用情報機関…?
はっきり言って、全く身に覚えがなかった。

当時、イオンカードの他にも楽天カード、PiTaPaカード、Yahooカード、エクスプレスカードなど様々なクレジットカードを利用していたが、どれもすべて預金が十分にある同一口座から引き落とされていた。

ひょっとして不正利用でとんでもない額を請求されているのでは?と思い、各カードのサイトで利用明細を見てみるも、特に不正利用の形跡はなし。

何が起きているのか全くわからなかった。

信用情報を開示してみると…

考えていても埒が明かないので、イオンカードの件でコールセンターの人が言っていた信用情報機関CICで情報を開示してもらうことにした。開示は1000円の手数料がかかるが、インターネットからでもできる。

開示してみると、意外な会社から請求が来ていることが発覚した。

請求元は携帯電話会社のNTTドコモだった。2013年12月にauからドコモに乗り換えた際、通信料金の支払い用としてDCMXカードというクレジットカードも同時に契約していた。

ただ、2年契約更新月の2015年12月にドコモからUQモバイルに転出しており、その際にDCMXカードも解約したはず…なのである。

「したはず」とお茶を濁した書き方をしたのは、当時インターネット経由で解約してカードを切り刻んだ記憶はあったものの、金融事故当時から遡って3年も前のことであり、解約手続きに不備があった可能性も否定はできなかったからだ。後にドコモに問い合わせた際にも確信を持って解約処理を完了したとは主張できなかった。

実際、信用情報機関から開示した情報を見る限りはこのカードの解約はできていないわけで、2018年5月から12月に金融事故に気付くまで年会費と思われる請求を延滞し続けていたのだ(電話口で聞いた話によると実際には1月か2月あたりの請求の再請求が5月らしい)。

では、なぜわずかな額であるはずの年会費を延滞し続けることになったのか。

実は、このカードの引き落とし先の口座は2016年以降使っておらず、僅かな残高しか残っていなかったのだ。ちなみに2017年分の年会費は支払われているので、おそらくわずかに残った残高から引き落とされていたのだろう。

しかも、金融事故が起こるまでの間に引っ越しもしており、1年間の郵便物の転送期間も終了していた。もちろん解約した気でいるのでDCMXカードの住所変更手続きなどしているわけがなかった。催促状が送られているとすれば前の住所に行っていたのだろうか。

ただ一つ変わらなかったのは電話番号だけだったが、残念ながら延滞している間に電話で督促が来ることはなかった。

どこに聞けば良いのかわからないのでドコモショップへ

解約したものと思っている僕はカードなどとうの昔に破棄してしまっている。そのため、コールセンターへ電話しようとするがカード番号を要求する自動音声に阻まれ、そこから先へ進めない。

こういったカードのトラブルとは無縁の人生だったため、突然のトラブルに手も足も出ず、悩んだ末に近所のドコモショップに相談してみることにした。

ドコモショップのスタッフからは「カードの紛失扱いでも良いのでとりあえずコールセンターに繋いでしまえば、あとは別部署に取り次いで貰える」と言われ、カード紛失の際にかける電話番号にかけることにした。

そこからはカードの支払いに関する担当者に繋いでもらい、カードの残金の振込先を教えてもらい、カードの解約処理も行った。

信用情報への傷

解約したつもり・メイン口座の変更・住所の変更というトリプルコンボで、解約されていないことも請求が来ていることも支払いが遅延していることも知ることなく、のうのうと半年間を過ごしてきた。そんな間抜けの末路がこれだ。


支払い状況の欄

支払い状況の欄にずらりと並ぶA。支払いが行われていないことを示している。


返済状況の欄は「異動」

返済状況の欄に示された、知る人ぞ知る「異動」の文字。2ヶ月以上の支払いの遅延で表示される。これが事実上のブラックリスト入りを示している。

これらの表示は解約した月(2018年12月)から5年間掲げられ続ける。つまり、2023年12月までである。

そう、この5年間の僕の信用は「年会費程度のはした金の支払能力すらない人間」なのだ。

そりゃカード止められるわな。

クレジットカードに頼りすぎていた生活を見直す

「たまたまイオンカードが真っ先に止められただけで、この状況だと他のカードも危ういのでは!?」

金融事故直後の僕はかなり動揺していた。当時毎月の固定費はほぼ全て楽天カードで支払っており、これが止められるとなれば一大事だからだ。早速楽天銀行デビットカードを申し込んだ。もし止められるようなことがあったら直ちに切り替えないといけない。

続いてPiTaPaカード。会社へは大阪メトロで通勤しているが、僕は当時も今も定期券ではなくPiTaPaマイスタイルという定額サービスを使っている(定期区間外も日常的に使う人は定期券よりお得なため)。そのため、もし止められるようなことがあれば直ちに通常の定期券を買わないといけない。

他のカードでは月額の固定費は払っていないため、止められた場合はデビットカード、プリペイドカード、現金などに振り替えることにした。

その後

イオンカードが止められたことにより、モバイルWAONへのチャージ方法が現金以外になくなってしまい、その後WAONを使うことがなくなっただけでなく、イオンにもあまり行かないようになってしまった。

2019年にはYahooカードが止められた。個人的に凄くショックだったのは、Yahooカードで貯めていたTポイントもろとも消滅してしまったことだった。

期間限定ポイントならともかく、恒久的にあるものだと思っていたポイントが消滅するとは…。所詮ポイントとは幻なんだなと思い知らされた。

その後はどのカードも止められることなく現在(2023年2月)に至っている。この5年間の間に途上与信等の審査があるはずだが、なんとかギリギリクリアしてくれているのだろう。他のカードは更新月には無事新しいカードが送られてきた。

ただ、殆どのカードは更新後はキャッシング枠ゼロ、ショッピングも限度額10万円となっている。キャッシングは使わないので問題ないが、ショッピングの限度額10万は高額の買い物をしようと思うと辛い。

尾を引く金融事故

イオンカード・Yahooカード以外にカードが止められることはなく、日常生活を取り戻したかのように思うが、新規発行となれば話は別だ。

2021年7月(金融事故から2年半後)に恐る恐る申し込んだクレジットカードの審査結果がこれだ。

審査結果

JR西日本のクレジットカードを申し込んでみたのだが、申し込んで即アウトのメールが来た。いや、審査なんだから少しぐらい考えてくれよと言いたかったが、手動で大量の申込みを捌いているとも思えないので、機械審査で異動の文字を見つけた瞬間に有無を言わさず弾くようにしているのだろう。

そう考えると、金融事故の履歴が消える2023年12月まではこの調子なんだろうと予想できる。
期待薄ながら色んなカードを申し込みたいという気持ちもあったが、審査に落ちたという情報も信用情報機関に載るので気が進まず、その後はカードの新規申込みはしばらく自粛していた。

(2023年3月追記)
ところが2023年2月にセゾンパールアメックスをダメ元で申し込んだところ、なんと審査に通ってしまった。セゾンのおかげなのかアメックスのおかげなのかは不明だが、金融事故から4年、他のクレジットカードでの延滞は一切なし、中小企業正社員という条件では審査に通るカードもあることが判明した。異動の文字で弾くのではなくきちんと本質を見極めてくれたようで嬉しい。

久々に増えたマイクレジットカード

(2023年5月追記)
もしかして他のクレジットカードもいけるのではないか?と考え、2年前に即審査落ちしたJ-WESTカード(JCB)の申し込みに再チャレンジしてみた。
だが結果は2年前と同じく即アウトであった。
モバイルICOCA開始記念のキャンペーンで僕の場合J-WESTカードに入会すると最大4000ポイント貰える見込みだったので、単純計算で4000円分の機会損失だ。ただただ残念。

教訓

同じようなことが閲覧者の皆様にも起こらないためにも、以下のことを確認しておくことをおすすめしたい。

・クレカを解約したつもりになっていないか?
アプリやサイトにログインする、カード会社に問い合わせる、信用情報を開示する、解約した番号で使ってみてエラーが出るか確認する等、確実に解約できていることを確認してからカードや契約書類を破棄する。

・使わなくなった口座を放置していないか?
使わない口座でも1万円くらいは入れておく。また、しっかり残高管理をして、何か引き落とされた場合にすぐ確認できるようにしておく。また、使わなくなったあとすぐ解約するのではなく、しばらく様子を見ておいたほうが良い。

・カードをよく考えず契約していないか?
ドコモを契約するとき、正直DCMXカードを作る必要性はなかったのだが、熟考することなく成り行きで契約した。年会費のあるカードを何も考えずに契約したのかと突っ込みたくもなるが、支払いがあるうちは年会費が無料だったので使わなくなったら解約すればいいやと深く考えていなかったのだ。カードを作る際は必要性をよくよく考えるべきである。

・住所変更した人は特に注意
僕のように住所変更した人は特に注意すべきであろう。前の住所に督促状が行っているのかどうかは分からないが、住所変更すると異変があったときに気付きにくくなる可能性は高い。借金取りみたいな請求は来なくても電話ぐらいかかってくるものだと思っていたが、事は思いのほか静かに進み、気付いた時には手遅れになっている場合もあるということに注意して欲しい。

・ポイントは幻
先述のように、Yahooカードを止められた際、Tポイントもろとも消え去ってしまった。ポイントを貯め込んでいる人は、ポイントが消滅する可能性があることを考慮しておいて欲しい。

最後になるが、この失敗を記事にすることで一人でも多くの人の金融リテラシーの向上に役立てば幸いである。

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