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ナンを食べる時の難儀な話

無性にナンを食べたくなる時がある。

数ヶ月に一度、いや、下手をすると1年に一度あるかないかくらいのレベルで、熱々のナンをなんとしてでも食べたい!何がナンでも食べるまで今夜は帰らないぞ!と思う時がある。


これが、ナン単体で食べたい訳ではなく、カレー屋さんのカレーセットで出てくる、あのインド人かバングラデッシュ人だか定かでないが恐らくインド人だと思われる店員さんが、パンパンとクラッシュ音を出しながら作ってくれるお代わり自由のあのデカすぎるナンが食べたいのだ。

デカすぎてお代わりさせる気が全くない、あのナンだ。

僕は、意を決してお昼のランチタイムに、そそくさとカレー屋さんの店内に侵入した。

本当にここは日本なのか、と思わせるエスニックな雰囲気。異国に迷い込んだようなこの心細さ。ナンを食べたいだけなんです。命だけは勘弁してくださいと、謎の部族のお祭りに強制的に参加させられたような気持ちになっていた僕。

「イラサイマセー」

恐らくトルクメニスタン🇹🇲出身であろうシェフが、ナンをパシンパシンさせながら挨拶をしてくれた。もう「ゴメンネマチガエテタヨー」と片言の日本語で返す訳にもいかず、ランチ時でなかなかに騒々しい店内のカウンター席へと足を運んだ。

カレー屋のカウンターに座るのは初めてだった。その新鮮さよりも、カウンター上にあると信じていたはずのものが見受けられないという衝撃の事実に僕は震え上がった。

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