綺世界探訪|Magic Tourism

Wandering Tale of Pluriverse |越境研究 | Specul…

綺世界探訪|Magic Tourism

Wandering Tale of Pluriverse |越境研究 | Speculative Future|Dynamics of Transboundary|Materials & Environmental Systems|非現実的でありきたりな日常| Narrative

マガジン

  • 魔法の法螺貝|Speculative Future

    今視ている未来の光景を一口に言い表すのは難しい。けれど過去から今に至る系譜や今想うことを集めれば、ピースはいずれ絡み合い未来絵図になるだろう。法螺貝の音は合図だ。それは集合を誘いか、出航の意気込みか、それとも魔除けの警鐘だろうか。時の流れの中で離散しがちなアイデアをエッセイの形で置いておく。

  • 遊歩|Sense of Wonder Trail

    地球上に形成されたもの、そのダイナミクスを見聞するため各地を旅しています。自然物とジオグラフィー、湧水、ヒトが生み遺したもの、カルチャー、そして刻まれた歴史について。

  • アルケーの方舟|Independent R&D

    人間社会と自然環境の物質循環について研究する中で、科学や制度だけでは解決しないこともあると感じて旅に出た。異分野を越境するうちに時は過ぎ、未来を思い描くヒトという唯一の種族は、個の時代のビッグウェーブによってバラバラになった。個々の視点を取り戻したヒトビトは、共創によって未来を形作ることを願ってアルケーの方舟というアトリエに集い、可変的な結び目ARK; Adaptable Researchers Knotを構築することにした。誰もが各々のフィロソフィーを持つ時代においてこそカオスは自己組織化を始め、世界は自ずと変容するだろう。私にできることは、その個々の要素とアルケーの方舟におけるダイナミクスについて記述し、語ることである。 - Project ARKs

  • Future Archive|刺激された好奇心の記憶

    好奇心を刺激された中でも、特に「建設的な未来」への意欲を掻き立てる記事を収集しています。今終末にでもタイムマシーンで行ってみたい旅先をお探しの方は、どうぞご覧ください

  • Across the Pluriverse|越境する

    興味を唆られる研究や書籍についての記事を分野横断的に蒐集。単純に面白かった内容も含め、考えさせられることや応援したい研究の貯水池。

記事一覧

009 乾いた海、山に棲む象 〜前編〜

山に吹く風が、一悶着も二悶着もありそうな気配を醸し出す。 この冒頭に遭遇した時、私はいつか此処へゆくだろうという予感がした。 Montserratへゆく、そして出会う私は…

008 X'mas in Barcelona

バルセロナ近郊の山中にあるモンセラート修道院は、黒いマリア像で名が知れている。どちらかと言うと併設の図書館の方に興味があるのだけど、そちらは一般には公開されてい…

007 Beyond Robotic Biology - あらゆるものが循環する世界 -

これは今から10年、20年ほどの間に、世の中はこのようになるだろうという至極勝手な個人的見通しの一端である。「書く」ことが実現に至る重要なファクターとなる時代、ある…

006 流水花葬 - Future Textbook -

この夏、梅花藻を見に行った。 とんだ思いつきで福島県の猪苗代湖を自転車で一周して、その道中に梅花藻を眺める時間を設けた。 星の数ほどあるやりたいことが一つ、それ…

005 ハルシネーションの源泉

ハルシネーションという言葉に遭遇してその意味を知った時、AIに表出する人間らしさに感動した。まさしく『人工知能』、この上ない完成度。 けれど人間社会にとっては都合…

004 不思議の村のアルカナウィア

arcanum villaを知っているかね? 何を以ってして神秘や奇妙と言うか、その決まりは在って無いようなものだけれど、貴方が驚異や畏怖を感じたならば、それはきっとarcana…

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003 暑中見舞い - 夏の風物十景

002 世界で一番、着陸が難しい空港|Buthan

スワンナプーム空港で待ち受けていたのは白い雷竜だった。 手に玉を握りしめ、硬い鱗に覆われた肢体をうねらせて、飛び立つその時を今か今かと待っている。幸せの国へと誘…

001 あの世に最も近い場所|青森・恐山

夏。遠路はるばる、北へ。 JR大湊線・下北駅で乗り換えたバスに揺られ、ひとり恐るる山を目指した。 恐山という山はないまさかり型の下北半島、そのど真ん中。一帯の活火…

綺世界へのいざない

ヒトは想像の枠を超えた展開を期待する。旅の舞台は貴方が知るこの世界の何処か。その光景は時に非現実的に映るものだ。 誰かにとっては平凡な日常のワンシーンでも、旅の…

009 乾いた海、山に棲む象 〜前編〜

山に吹く風が、一悶着も二悶着もありそうな気配を醸し出す。 この冒頭に遭遇した時、私はいつか此処へゆくだろうという予感がした。 Montserratへゆく、そして出会う私は細かく旅の計画を立てる方だけれど、それは計画を練ること自体を楽しんでいるのであって、実際には予定通りに行動しないことの方が多い。一通りの計画はシミュレーションのようなもので、何事もなくその通りに進めばスムーズに事が運ぶ。一方で新しい道筋が見つかったなら辿ってみればいいだけのことで、ここへ来たからこそ見つけ

008 X'mas in Barcelona

バルセロナ近郊の山中にあるモンセラート修道院は、黒いマリア像で名が知れている。どちらかと言うと併設の図書館の方に興味があるのだけど、そちらは一般には公開されていないだろうか。 クリスマスの連休中はバルセロナ市内のスポットがこぞってcloseとなるため、この機会に山でも歩きに行こうかと思い立った。そのついでに修道院にも立ち寄ればいい、と。 観光案内所にて「モンセラート周辺のハイキングルートマップはありますか?」 「ここには無いよ。いつ行くつもりなの?」 「明日(クリスマス)」

固定された記事

007 Beyond Robotic Biology - あらゆるものが循環する世界 -

これは今から10年、20年ほどの間に、世の中はこのようになるだろうという至極勝手な個人的見通しの一端である。「書く」ことが実現に至る重要なファクターとなる時代、ある程度言語化できるくらいに輪郭を持ち始めた未来予想図をここに置いておく。様々な情報や技術により世界の複雑さが可視化され、VUCAな時代と称される現代において、これをニーズと取るか、シーズとするか、企業戦略や研究課題創出の一助となれば嬉しく思う。 Introductionこれまでの20年ほどの間、世の中の移り変わりや

006 流水花葬 - Future Textbook -

この夏、梅花藻を見に行った。 とんだ思いつきで福島県の猪苗代湖を自転車で一周して、その道中に梅花藻を眺める時間を設けた。 星の数ほどあるやりたいことが一つ、それをきっかけに言語化以上・具象化未満となったので此処に書き出しておく。 そうすれば実現への道が生ずることもあるかも知れない。 猪苗代湖とその界隈日本で4番目に大きな湖(面積:約103平方 km、深さ:約93 m) 水質:弱酸性の貧栄養湖(透明度が高い) 生態系:国指定天然記念物ミズスギゴケの群落、白鳥の飛来地

005 ハルシネーションの源泉

ハルシネーションという言葉に遭遇してその意味を知った時、AIに表出する人間らしさに感動した。まさしく『人工知能』、この上ない完成度。 けれど人間社会にとっては都合が悪く、到底受け入れられるものではないらしい。そんな人類もまた、実に人間臭くて愛おしい。 エンジニア的リスク観リスクを想定し、回避したり軽減したりする対策は大事だ。 例えば2024年1月2日に羽田空港で起きた衝突事故は、まだ記憶に新しい。海上保安庁の航空機の乗組員6人の内5人が死亡し、残る1人も重症を負った。前

004 不思議の村のアルカナウィア

arcanum villaを知っているかね? 何を以ってして神秘や奇妙と言うか、その決まりは在って無いようなものだけれど、貴方が驚異や畏怖を感じたならば、それはきっとarcanaだろう。 そしてそのarcanaを構成する諸技術の一つひとつをarcanumという。 arcanum villaはじめにやってきたソイツは、此処を自分のVillaにしようと言った。 別荘だと言うからには、ほんとうの棲み処もどこかに在るのだろう。それはもしかすると城のようなものかもしれないし、ただ

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003 暑中見舞い - 夏の風物十景

002 世界で一番、着陸が難しい空港|Buthan

スワンナプーム空港で待ち受けていたのは白い雷竜だった。 手に玉を握りしめ、硬い鱗に覆われた肢体をうねらせて、飛び立つその時を今か今かと待っている。幸せの国へと誘うこの白い雷竜は、一体どんな空を魅せてくれるのだろう。 Druk Yul雷竜の国日本人が|Japanを『日本(日出ずる国)』と呼ぶように、ブータン王国の人々も自国Bhutanを『ドゥック・ユル(雷竜の国)』と呼ぶ。 ブータン唯一の国営航空会社Druk Air(ロイヤルブータン航空)の尾翼には迫力のある雷竜をあしらっ

001 あの世に最も近い場所|青森・恐山

夏。遠路はるばる、北へ。 JR大湊線・下北駅で乗り換えたバスに揺られ、ひとり恐るる山を目指した。 恐山という山はないまさかり型の下北半島、そのど真ん中。一帯の活火山を総称して "恐山" と呼ぶ。 その中央に広がる宇曽利山湖は『蓮華八葉』なる八つの山(剣山、地蔵山、円山、鶏頭山、北国山、屏風山、大尽山、小尽山)に囲まれており、これらは外輪山を形成する。つまり恐山の正体は "カルデラの縁" だ。 少し外側に位置する朝比奈山と釜伏山も恐山の一部である。 カルデラ 火山噴火によっ

綺世界へのいざない

ヒトは想像の枠を超えた展開を期待する。旅の舞台は貴方が知るこの世界の何処か。その光景は時に非現実的に映るものだ。 誰かにとっては平凡な日常のワンシーンでも、旅の中に身を置く者にとっては変わった光景に視えることがある。いつもと違った風に濾過されて些末な差異が浮き彫りになると、そこに在るリアルが虚構めいた非日常のように思えてしまう。 それが旅の効能である。 SF と Magic RealismSF : Speculative Future, 時々Science un-Fic