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人物紹介:アタナシウス・キルヒャーというオカルト×科学の申し子(*‘ω‘ *)の話。

 ※このnoteはアフィリエイトを含みます~。

 今回は魔術的な内容を研究していた人物についてです。
 アタナシウス・キルヒャー(Athanasius Kircher)というイエズス会の司祭で、学者でもあります。



 魔術師というわけではないですが、この方の本の中にその後現れる魔術師たちに多大な影響力を与える本を書いた方なので今回説明していきます。
 ルネッサンス期最後の人物とまで言われた方です。
(遅れてきたルネッサンス人とも)
 かのレオナルド・ダ・ヴィンチと比較されることもある人物で「百芸術の巨匠」なんて呼ばれていたりします(*‘ω‘ *)。

 著書は44ぐらいですが、その他2000冊以上の原稿が残っているそうです(こういった方たちって、すげー大量の本を書いてますよね(; ・`д・´)。仕事以外はずっと書き物してたんじゃね?みたいに思えますよね)。

 一番?有名なのはエジプト研究の本であるOedipus Aegyptiacus(オプディプス・エジプティアクス)という本です。
 1652年にローマで出版された本です。
 全三巻で、美麗な絵と図表がすばらしい本になります。

 と、色々書きたいことはありますが、とりあえず簡単に生涯や研究などについて書いていこうと思います。


1 生涯

 1601年ごろドイツで生まれ、9人兄弟の末っ子。
 1614年からイエズス大学に通い、その後イエズス会の修道院に入ります。
 その頃は火山研究をする傍ら、ヘブライ語や、神学、哲学を学ぶも、1622年のプロテスタントの兵につかまり、○刑になりかけた(たぶん三十年戦争の話)ため、ケルンに逃げています。
 (ついでに凍った川渡りに失敗して○にかけたりもしてます)。

 その後はフランスで様々な学術を習得したあと、1634年にローマに定住します。

 地理、天文、数学、言語、医学、音楽と幅広く知識を収め、神秘的な物事を当時の考え方による科学的な分析などを試みた方です。
 この方の面白い実験の中に「ホタルの抽出物で照明を作ることは可能か?」みたいな話があります。
 著書Ars Magna Lucis et Umbraeの中でその内容が書かれています。

 現在、世界中に「博物館」なるものがありますが、その前衛ともいえるものを作った人物でもあります。

 興味がある方は「キルヒャー博物館」で検索してみてください。

 彼はとにかく観察そして実験を重視し、方法論はかの「アリストテレス」を参考にしていました。
 
 そのため「神秘と科学を繋いだ人物」という表現がわかりやすいかと思います。

 ということで、晩年は合理主義の人たちからバリバリ非難されますが、20世紀に入り、再評価されます。

 まあ、オカルト的な要素も含める自由な発想をする人でありながら科学よりの学者でしたから時代によって評価はバラバラな感じです。

 でもですね、その自由さが後の世にさまざまな恩恵をもたらしています。
 
 ただ、勘違いしてはいけないのは、あくまで当時の「科学」ですので、その研究内容はあまり良いとは言えませんが、とにかく、研究したものへの解釈などの正確さは当時の人々の中ではトップクラスであったのは間違いないわけで。

 オカルト的な考え方と科学が混じっているので、現代でも批判する人がいますが「おめぇら、当時の情報レベルで考えてみろや」と思いますけどね~♪
 
 批判してる奴らが当時の世界に生まれて、キルヒャーほど資料や業績を残せるとは思えませんけどね(*‘ω‘ *)。

 なお、1680年に没しています。

2 彼の研究と著書

 次は、彼の研究と著書などについて軽く触れていきます。

 彼の研究は幅が広いわけです。
 音楽理論や磁性、地質学、宇宙論、言語などあります。
 伝染病の研究などもしていますが、すこし癖があるんです。
 たとえば、磁性においては、重力や人と人のつながり(愛)とかにも触れているわけです。
 こういったところが「オカルト的」なわけですね。
 言い方を変えれば「なににもとらわれない自由な発想」なわけですが、合理主義者からすればとんでもなわけです。

 そんな彼はその後の世の中の人々に大きな影響を与える本をいくつか出版しています。

 その項目がこちら↓(なお全部ではなく書籍の一部だけ紹介します)。

・1631年 Ars Magnesia(アルス マグネシア)
 
磁力に関する研究などの本です(面白いのはニンニクをこすりつけたり、ダイヤモンドの近くに磁石を置くと、磁力が弱まり、イノシシの血をかければ磁力が復活するとか・・・(; ・`д・´))。

・1636年 Prodromus coptus sive aegyptiacus(プロドロムス コプタス エジプティアクス)
 
キルヒャーが最初に出版したエジプト研究の本です。キルヒャーは中国にもこだわっていて、古代文明とのつながりなども調べており、その過程でエジプトのコプト語に目をつけたわけです。要はコプト語とその他の言語のつながりを追求した本です。
 なお、問題なのはキルヒャーがアラビア語を間違って認識してたり、中国語が読めないのに手を出したり、その他、色々な間違いがあるため、後世では批判されますが、当時は人気があった書物だったそうです。

・1652~1654年 Oedipus Aegyptiacus(オプディウス エジプティアクス)
 
エジプト研究の本。これが一番有名な本です(たぶん(; ・`д・´))。
 占星術、カバラ、ギリシャ神話、ピタゴラス数学、錬金術などを情報源とし、エジプト研究を書いています。
 一応、キルヒャーの最高傑作と言われています。
 当時は謎(まあ今でもか)だった神秘的な古代エジプトの秘術(魔術的な)を解明するための手がかりになる資料の本って感じにとらえてください。

・1663年 Polygraphia Nova(ポリグラフィア・ノヴァ)
 高く評価されている書籍の一つ。暗号学に関する本です。
 ローマ帝国フェルディナント3世からの依頼だった「共通言語」の開発あ起源とされています。
 この本の目的は「お互いの言語を話さなくても手紙のやり取りが可能になる」・・・というようなことを可能にするという感じです。
 かの有名な「ポリグラフィア(Johannes Trithemius著書)」から名前がもってきてあるのが印象的ではないでしょうか?
※ポリグラフィアは魔女のアルファベットに関する書物です。
 正式名称は「Polygraphia, seu artificium linguarium quo cum omnibus mundi populis poterit quis respondere」(なげえ)。

・1679年 Turris Babel sive archontologia(ターリス・バベル シヴェ アルコントロギア)
 
キルヒャーの晩年の書籍です。
 
大洪水の神話後の古代人の生活とそのマナー、功績の話から、バベルの塔の建設の話、国家建設後の言語における混乱などが記載されています。
 
 とまあ簡単に説明してみました。
 まだまだ面白そうなものがあるのですが、資料が少ないので、何とも言えません。

 興味がある方はキルヒャーのwikiから調べてみてください。

3 逸話

 この方は多方面に有名であったため、いくつもの逸話を残しています。
 一番、面白いのは当時のローマ皇帝の主治医である人から「ヴィオニッチ写本」の解読を頼まれたという話です。
 定期的に都市伝説界隈で姿を現す「ヴィオニッチ写本」の解読を依頼されていたんですね~。

 ただ、結局、解読はできなかったそうです。

 また、ペストの原因を突き止めようと研究したことも有名で公の場で初めて「これらは血液中の微生物によって引き起こされる」と提唱した人です。
 まあ、研究で発見したのは「赤血球か白血球」だったと言われています。
 でも考え方の方向性は間違っていなかったのと、今日における伝染病予防の基礎である「隔離、検疫、患者の衣類の焼却、マスク」を提唱した人です。


4 Oedipus Aegyptiacus(オプディウス エジプティアクス)の7角形の護符

 ここまでは、キルヒャー自体の話を簡単にまとめておきました・・・。

 が!しかぁし!(; ・`д・´)
 このnoteは「魔術特化」ブログです。
 したがって、このままでは単なる人物紹介でおわってしまうので、これはいかん!ということで、Oedipus Aegyptiacusの中に収録されている「7角形の護符」に関するお話を少ししていきます。
※はじめに断っておきますが、この記事を書くにあたり、古い著書を調べて書いてますが、ラテン語が昔のもので、解釈がとても難しいので、一部間違っていることがあるかもしれませんので、ご了承ください。

7角形の護符(たまに見かける人もいるのでは?)

 

 この七角形の護符は、円で封じられ、金星にささげられています。これは算術のヒエログリフで示されています。
 周囲には、カバラから抽出された72の文字がマークされており、それぞれが72の天使を示しています。
 こうしたカバリスティックなばかげたことに、初めてこれを見た人は、邪悪な者たちの愚かさを嗤うことでしょう。
 なぜなら、これらの愚かなカバリスティックな冗談が最悪の形でラテン文字に変換されているにもかかわらず、それらに信じる者たちが、これを使って山をも移すことができると確信しているほどです。
 しかし、悪魔は人類の敵であり、キリストの侮辱と人々の害悪だけを狙って行動します。
 したがって、サタニックな悪事を秘匿するために、努力してキリストの属性を七角形の角に配置しました。
 つまり、暗闇の天使が光の形で自分自身を示しています。
 次に示すのは、これらの属性です。
 ABの角には、各十字の角には四つの文字が挿入され、それは a.g.l.a. というヘブライ語です。

 ※aglaは時々、魔術書や様々な護符に使用される言葉です。魔術用のナイフの腹にこの文字を彫ったりしています。一応、これは清めの力があったり、火を消す言葉(つまり火事防止など)だとか言われていますが、正確な意味は実はわかっていません。ただ、記述的にa.g.l.aだったり7角形の護符に見られるように四角の枠で1文字づつ区切られる傾向が多いことから、なにかしらの「ノタリコン」だった可能性が高いです。
 
 (あ~次は「ノタリコン」の説明しないといけませんよね・・・ノタリコンはタルムードやカバラの方法で、単語の頭文字や最後の文字を抜粋して新しい単語または文、時にはデザイン(アイデア)を新しく作るというか構成する方法です。
 な~んか聞いたことありませんか?そうです「シジルマジック」です。シジルマジックの考え方はここから来ている可能性が高いわけです(; ・`д・´)。
 なお、ノタリコンは基本的に聖書の解釈の一般的な方法だとし、聖書のテキスト内の個々の単語の文字は、独立した単語の最初の文字を示しているのだ!と考えられていました)。
 

 その名前は、カバラで有名な אגלא(アグラ) であり、これは広く、同様に解釈される言葉である אתה גבור לעולם אדני(Tu fortis in æternum Domine、主よ、あなたは永遠に強い) と同じくらいです。
 なぜなら、それぞれの単語の大文字の文字を一つに組み合わせると、アグラ(Agla)という名前が現れるからです。
 これは、正方形が示すように見えます。BCの角には אלי(Eli)、つまり、私の神が配置されています。

 CDの角には אלהי(Eloi)が配置されています。
 これが先に述べたものと全く同じ意味であっても、彼らは異なるものとして置いています。
 これから、これらの詐欺師たちの無知と愚かさが明らかになります。
 DEの中にはキリスト、その後にソーテル(Sother、ギリシャ語で「救世主」の意味)があります。次にアドナイ(Adonay、主)とサダイ(Sadai、全能者)が続きます。
 これは主を指し、これは全能者を示します。
 これらはキリストの七つの属性であり、それに続いて七つのヴィーナスの知性が付随します。
 それらはカフジエル、サトキエル、サマエル、ラファエル、マヘル、ミカエル、ガブリエルで、これらのヘブライ語の名前は広く翻訳されています。
 これにより、これらが神と善の天使から発せられるものであるということが全くできないことが明らかになります。
 これらの言葉は、むしろキッチンから取り出されたものであり、カバラから翻訳されたものではなく、あまりにも悪しき悪魔から変容されたものです。
 最後に、この七角形には五角形が書かれ、その中心には「T」という文字があり、救済のシンボルです。これを「υγεια」(健康の意味)と書くべきだったにもかかわらず、彼らはこれを e e e e y としました。

 しかしながら、アラビアの呪文の工房の中で、yl、al、le、al、umなどが三角形の中に配置され、他のすべてのものと同様に非常に歪んでいます。 彼らはアラビア語で la alla ella alla、すなわち「神はただひとつ、神以外に神はない」と表現したかったが、それを発音することができなかったため、それらの代わりに非常に不適切な言葉 yl、al、le、al、um を使いました。しかし、um という二つの言葉がどういう意味かは説明します。
 アラビアの言葉が発音されると、常にこれらの言葉が続き、Mahumet rassul alla(ムハンマドは神の使徒である)となり、これらの大文字の文字が um に対応しています。
 これからわかるように、悪魔は不注意な人々をどれほどだますか、キリスト教徒であるふりをしながら、ひそかにムハンマド教を信じているかのように振る舞い、この唯一の護符でそれを持つ者たちによって、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、異教の四宗教が同時に告白され、それは悪魔との秘密の契約により、キリスト教の冒涜のためになされました。
 そして、なぜ五角形があるかについて説明します。
 古代人たちは、五角形をアリスメティカで示したように、火星に捧げ、同様に七角形を金星に捧げました。

アリスメティカ(Arithmetica)は、古代ギリシャの数学者、ディオファントスという人の本です。3世紀頃に書かれたもので、世界最古の代数学書とされています。

 これは、誰もが金星を持っている者は、まず最初に火星を引き寄せなければならないということを示しています。
 これについてはエジプトの占星術で詳しく説明されています。
 なぜなら、これにより彼らはすべての面で勝利を約束されたからです。さらに、この護符の目的は、すべての人々への愛と好意、そしてそれに続く肉体的な欲望の充足と、この護符を持ってすべての逆境に対する勝利を得ることでした。
 これは、通常、神への呼びかけの一環として、金星または火星の召喚とともに、冒涜的で不道徳な儀式で行われることがあります。
 これによって、キリスト教徒の耳が傷つけられないように配慮して、述べることを避けます。
 ですから、このような護符を所有する者は、それが自然なものでも、神聖でないものでも、天使のものでもなく、直接悪魔の陰謀の産物であると確信するべきであり、それを使うことは永遠の魂の破滅となるでしょう。


 ・・・・・と、キルヒャーは解説しています。
(途中から難しすぎてよくわかりませんよね(; ・`д・´))。

 まあ、簡単に要約すると「この魔法陣は悪しきものから身を守るものではなく、神を信じる宗教家たちにしれっと悪魔信仰させるために巧妙に作られた魔法陣だ」と言っているのだと思います(たぶん・・・)。

 まあ、実際、魔法陣内の構成をよく見てみると、悪魔信仰家たちの間で流行っていた(当時ね)呪文の構成が織り込まれています。

 私としての意見は「当時の歪曲した魔術を信仰しているものが悪魔封じのお守りとして作った」ものであると思いますが(*‘ω‘ *)。
 ※つまり、悪魔を召喚した際に自分の身を守るための護符として作った・・・という感じです。


最後に


 という感じでアタナシウス・キルヒャーのお話を終わりたいと思います。

 なお、余談ですが、アタナシウス・キルヒャーは本名ではなかったのかも?という部分があります。
 この名前、別の意味を持つんですよ。
 (ギリシャ語で)アタナシウス=不滅の、(ドイツ語で)キルヒャー=教会。
 つまり「不滅の教会」って意味になります。

 この手の名前になっているということは当時からあった「魔術からの防御」の考え方を持っていた人物だということになります。
 だいたい3つの名前を持つことが多いんですね。
 少なくても二つ。
 一つは本名。
 次に通り名。
 そして本名と思わせる名前(契約などに使う名前)です。
 本名は父親しか知らないという形で名づけられ、通常は通り名で過ごします。
 そして仮の本名みたいな感じで名前を持っているという流れです。
 本当の本名は誰にも教えることは無いんですね。
 (本当の本名を知られてしまうと、魔術による悪しき影響を受けやすいなんて考えてた時代なんですよ)。
 
 研究の考え方から色々見ていくに、科学より?ではあるものの、やっぱり裏で魔術師やってたんじゃないですかね~キルヒャーは(*‘ω‘ *)。
 ただ、それまでの魔術の概念に疑問を持っていて、追及していただけで(*‘ω‘ *)。
 (実際、それまでの魔術に疑問を持って、追及していく人は多いんですよ。シジルマジックのオースティン・オスマン・スペアとか)。

 と、長々となりましたが、今回はこの辺で(*‘ω‘ *)。

 なお、キルヒャーの事をも詳しく書いているサイトいくつかありますので、興味がある方はそちらもお読みください↓

https://www.wordtrade.com/philosophy/renaissance/athanasiuskircher.htm

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0039368107000179


※キルヒャー関連の本です(; ・`д・´)高いのよ・・・。

※以下、魔術の雰囲気作りなどに(*‘ω‘ *)


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