お西さん道中膝栗毛(後編)
慣れない後部座席でクルマ酔い、高所に酔ってフラフラの初日。
そしてお西さん参りの二日目。
寝心地のよいベッドのおかげでよく眠れまして、軽やかに和・洋ビュッフェで朝ごはん。
しかし、またしても撮影し忘れ。
和食の食器が素晴らしかったので撮りたかったのにぃぃ・・・
見た目は普通っぽいですが、一つひとつグレード高し。
ピオーネ、ピンクグレープフルーツ、キウィにメロン、どうやったらこんな糖度の高い物が揃えられるの⁉と思わずうなっちゃうレベル。
ヨーグルトもホイップバターも濃厚。
ミックスジュースもフレッシュで砂糖を使っていない果物のみの甘さです。
コーヒーも「あらっ良い豆♡」ってわかります。
ちなみにトースターはバルミューダでしたわよ、奥さん!
和食のお味噌汁のお出汁は煮干しと思われますが、しっかり風味があるのに臭みが全くなく、深い味わいです。
弟はかなり気に入った様子で、おかわりしてました。
めったに「美味しい」と言わないシビアな母も含め、5人全員一致の「星三つ!」な朝食に大満足で西本願寺へ向かいます。
まあ、とにかく撮影日和な朝。
スマホで撮ってもこんなカンジで「映え」ます。
空間のエネルギーはピーンと張りつめた水面のような東本願寺に比べると、西本願寺は丸みがあって柔らかいです。
東本願寺を男性性とすると、西本願寺は女性性って感じです。
同じ本願寺なのに不思議です。
そして、西本願寺から大谷本廟へはタクシーで移動。
10分ちょいだったと思います。たぶん。
紀行記事とは思えないテキトーさ(笑)
父の遺骨はここの『無量寿堂納骨所』に安置されています。
ロビーの窓口で登録者カードから場所を照合して貰って入ります。
奥は縦方向にかなり長く、エレベーターで六階まで上がって、さらにそこの階にある違うエレベーターで分かれて行きます。
地下も2階までありました。
よーく番号を見て歩かないと迷子になりそうなくらい広いです。
※中の画像は撮っていません。
ようやくたどり着いた場所は上下左右に小さな扉がずらっと並ぶ「ミニ祭壇アパート」って光景です。
窓もなく照明も薄暗く、ひっそりとした空間です。
「お父さん、来たよ~」
母が呟いて手を合わせました。
いつものことですが、芝居がかってんなあって思ってしまいます。
仏壇や遺影に話しかける母の声は生前の父へ向けては聞いたことがない声です。
失ってからわかることもあるのでしょう。
父はもうここにはいないのになんて白けたことを思いながら、カタチだけ手を合わせる薄情な私。
と、言いつつ私も未だに父の時計が捨てられないでいますが。
図書館の書庫を思わせるような数えきれないほどの小さな扉。
もう覚えている人さえこの世にいないかもしれない遠い記憶の人々の「生きた証」が遺されている場所。
人はどうしてカタチを遺したがったり、物に魂や存在を感じたがるのでしょう。
もともと私たちはカタチのない存在だったはずなのに、こうしてカタチで残したいと思うのはそれが全てと信じているからでしょうか。
私は自分の脱いだ肉体は小麦粉ほどの粒子にしてもらって川に流すなり、土に撒くなりしてくれたらいいと思います。
というか、どうでもいいというのが正直なところです。
業者さんに頼もうが、誰かの都合で好きなように。
誰の記憶の隅にも残らなくてもそれでもいいと思っています。
こういうのを「刹那主義」とかいうのでしょうか。
・・・
なーんて、儚いことを思ったり思わなかったりしてるうちに京都駅に戻りました。
さて、本廟での塩らしさもどこへやら。
すっかりお腹が空きましてランチへまっしぐら。
生きているとはこういうことですの。
京都駅に隣接する伊勢丹内のお店へ。
和倉温泉(石川県)加賀屋がやっている和食店のようです。
ああ、加賀屋!
いつか行ってみたい!って言ったのを義妹が覚えてくれてこの店をチョイスしてくれたのかも。
左側は胡麻豆腐。
奥の小鉢はあわびと山葵菜の和え物。
「たこわさ」を上品にしたような味付け。
金の泡が躍らずにいられますかしら。
そしてまたここで失敗。。
初めて食べた治部煮が美味し過ぎて夢中で食べてしまいました。
ということで画像はこちらから。。
郷土料理なんですね。
鴨肉を醤油や出汁で煮てとろみがついています。
わさびが小粋なアクセントになっていて、も~!小憎らしいほど美味しゅうございまして。
とろみのあるスープなので、これからの時期にぴったり。
私も作ってみようと思います。
鴨肉はムリ案件なので、鶏肉特売日要チェックです。
暑くも寒くもない心地よいお天気の中、お西さん参りを無事に終え、東京へ戻る姪っ子と伊丹空港で別れて帰途につきます。
帰路の車内ではまたしても弟がナビをミスったらしく、夫婦ゲンカ再燃。
弟をなじる言葉を次々繰り出す義妹にもの言いたげなカオの母。
私たち兄弟は一度もケンカをしたことがありません。
そして母や祖父母に対してタテをついたことも。
義妹は感情を伸び伸びと出せる環境で育ったんだろうなと思います。
思い切り弟に文句を言ったり歯向かったりしますが、どこか愛嬌があって憎めない雰囲気があります。
そんな義妹が私には好ましく、そしてちょっと羨ましかったり。
「面白そうなサービスエリアがあれば寄ってみたいなんて私が言ったから」
やいのやいのとまくしたてる義妹に、後部座席から首を突っ込んで謝る私。
「違うんですよ~!ナビを無視して走るから、このヒトが!」
興奮して弟の腕を思い切りこづく義妹。
「で、えーと、、今、どこへ向かってるのかな?」
「京都ですー!」
叫びながら弟にさらにもう一発。
「振り出しに戻るって感じ?」
ヘラヘラと力なく答える弟。
元のルートへ戻る間(約30分のロス)、二人の口ゲンカは続きました。
でも「せっかくだから」と今回の宿と食事は全部、義妹があれこれ調べて選んでくれてたようで、そんな二人の気持ちが嬉しいじゃない。
夫婦喧嘩を聞かされるくらいは「ランニングコスト」ってとこでしょうか。
本願寺関連情報はこちらの記事を推奨します。
場違いで低レベルな質問をコメントしても、ちゃんと教えてくれます。
親鸞聖人の「他力本願」を履き違えている門徒、
書きのたねでした~。
では また。