口惜しいほど苦い
地元の野菜直営店で安かったので
珍しくゴーヤを一つ買った。
今どきで言えば
ゴーヤは沖縄産『しか勝たん』
そう思ってはいるけれど
昨今の物価高は物流にも影響してか
沖縄産ゴーヤの高いこと。
今年はまだ一度も買えずにいる。
でも、地元産のそれらも見た目いい感じ。
突起もぷっくり大きめで緑もキレイ。
もしかしたら美味しいかも。
とにかく安いのがありがたし。
それだけでもある意味ウマし。
薄くスライスして塩ゆでして
夏の恒例サラダを作る。
かつお節と塩昆布を加えて
たっぷりのごま油であえるだけの
時短クッキング。
長年苦手だったゴーヤが
食べられるようになって以来、
何とかのひとつ覚えってヤツで
調理法はこれオンリー。
かつお節と塩昆布の何とかって成分が
ゴーヤの苦みを緩和するらしい。
しかし、スポーツに負けられない戦いが
あるように
ゴーヤは沖縄県産に限るという
譲れないこだわりが私にはある。
『特産』といわれるだけの理由がある。
スイカ、ブドウ、梨、とうもろこし
特産と言われるものはやっぱり質が違う。
総菜売り場のお好み焼きでさえ、
本場広島で買ったそれは
私の地元スーパーとはやっぱり段違いだった。
だから、ゴーヤは沖縄産がいい。
地元の水、地元の調味料
郷土料理とは風土の芸術なのだ。
だから、せめてゴーヤは沖縄産を選びたい。
だがしかし、
今年の私にも沖縄には縁がなかった。
そういえばかつて元職場で
上司が沖縄産だったこともあったが
「一度行ってみたいんですよねえ」
「そのときは案内しよーねー」
有休まともに使えないんだから
ウチナーグチはいつも上滑り。
全国あちこち出張で行ったのに
なぜか沖縄だけには縁がなかった。
ソーキそば、
ラフテーにオリオンビール
同じ海といっても沖縄の海は
日本海とは違うんだろうなあ
青いんだろうなあ
母の一つ上の姉が沖縄に移住して以来
母はたまに沖縄へ遊びに行くし、
弟夫婦も沖縄はお気に入りらしく
休暇で何度か行っている。
「日本海とは違う?」
「ぜっんぜん違う」
「青いんだろうなあ」
「グレーは混じってない青」
「本場のチャンプルー美味い?」
「いやーウマい」
無意味な会話のリピート。
縁のない私には上滑り。
沖縄旅行をかけた抽選も
毎回挑んでみるけどかすりもせず。
スーパーの特産品コーナーで聞く
三線の沖縄民謡は
こんなに間近で鳴っているのに
遠くに聞こえる。
ジーマーミ豆腐、
海ブドウにオリオンビール
ゴーヤのチャンプルーで
オリオンビール
食べたいんだか、飲みたいんだか
わからないけど
まあ、でもあれですねえ
地元産ゴーヤのサラダを食べながら
浮かんで来るフレーズは福岡産。
地元産のゴーヤは
下処理スルーしてはいけない。
そんなに食べられるのがイヤですかと
箸でつまんだゴーヤを
問い詰めたいくらい苦かった。