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2020年2月、横浜港に寄港したダイアモンドプリンセス号を
メディアが連日報道し始め、
世の中の様相がかつてない状況へと変わりつつある中、
私は相変わらず、店の慢性的人手不足と対峙していたので
店の営業時間が短縮になったことで
売上の大幅な減少問題を抱えながらも
シフト繰りから解放され、気持ちはラクになった。
人員の心配しなくていいのは10数年ぶり?
いや、初めてかもしれない。
夏が過ぎ、そろそろ年末準備に向かう頃になっても
一向に収まる気配のない状況に
表向きは店の利益や態勢などへの
懸念を口にしたりはするものの
私自身の内面は不思議と凪いでいて、
むしろ、どんどん軽くなっている感覚があった。
この「軽い感覚」は何だろう?
そう感じつつ、あまり気に留めていなかった。
ただ、世間では喧々囂々としたムードが漂っていたので
自分が浮いてしまわないよう努めていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1655130513672-iGJNxEF1Wd.jpg?width=800)
年が明けて21年春、
本部は営業損失を食い止めるため、
各店舗従業員の外部企業への出向異動を始めた。
当然、危機的な状況は理解していたし、
周囲はよぎる不安を口にしたりしたが、
それでも私自身の内側は凪いでいた。
夏が終わる頃、
私は自分が何かを嗅ぎ取っていることに気づく。
表現しづらいのだが、
例えるなら、潮の流れの変化のようなもの。
私は日本海の浜育ちなので、
子供時代は冬の寒い日でも浜辺が遊び場だった。
夏休みには毎日、お気に入りの磯辺で泳いだ。
だが、お盆前になって海水の温度が上がり始めると
くらげが増殖し始める。
そうなると夏休みもまだ中盤とはいえ
地元の子供たちはもう誰も海に入らない。
潮の流れが急激に変わる、そのタイミングが、「潮目」だ。
世間の様相、会社や店舗の状況をよそに、
その潮目に似た感覚が自分の中にあった。
私、潮時なんだ・・・
漠然とそんなふうに感じた。
そんな頃、私の優秀な執事YouTube氏が
いつものように私好みの
お笑いや鉄道系の新着動画を並べる中に
スピリチュアル系動画をそっと上げてきた。
「何だコレ?」
YouTube氏の私への給仕ミス?と思いつつ、
まあこんなのもたまにはいいかと気が向くまま
いくつか観ているうちにまた気づいた。
「アセンション」
2007~8年頃、何かの書籍で知った単語。
当時の上司が勧めてくれた著書にあった。
当時はまったく興味もなく、
意味を調べたりすることもなく素通りした。
ああ、あれはこういうことだったのか・・・
説明できるような知識はなかったが、
何故だか、感覚的に知っていると思った。
YouTubeに並ぶスピリチュアル系、精神世界系の動画は
私の言語化できない感覚を
それぞれの視点や感性で表現してくれていた。
今、世の中や世界の状況の何が真実なのか、
今後、どうなっていくのかよくわからないけど、
嗅ぎ取っていたのはやはり自分自身の潮時だった。
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ちなみに『潮時』というのは
昨今、「何かが終わる」と言う意味で遣われがちだが、
本来は
「漁師が漁に出るときに、船を出すのに
最も適した時を潮の状況で判断する」タイミングを言い、
「好機」ということ。
内面がどんどん軽さを増して行くとともに
自然と湧いて来たイメージは
映画のエンドロールを眺めているような、
長い長い映画を見終わった客席にいる自分。
頑張るというドラマは終わった。
席を立ってそこから出て行く時間なのだ。
そんな感覚だった。
ここから出て、
どこへ向かおうとしているのかはわからないが
すでに退職という答えは出ていた。
じゃあ、それはいつ・・・?
それを意識し始めた晩秋の頃、
本部は全従業員へ向けて希望退職者を募った。
「ああ、こういうことか」とピンと来た。
私は潮に流される藻屑のように手を挙げた。
先のことは何も考えていなかった。
「もうどこかへ行く時期だから」
そんな感覚だけだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1655112902487-0auaq3AC4D.jpg)
・・・ということで、後先考えることなく
22年3月末、私は20数年勤めた会社を退職した。
つい一年前までの私は、定年までのあと三年
この職場にいるものと思っていた。
こんな中途半端な年齢で辞めて
この先、どうするんだろう?
そう思わないでもないんだけど・・・
でも、コレでいいのだと思っている私。
・・・
そうして自由な時間が手に入ったとたん、
それからの私はちょっと長めのvoid周期に入る。
↓ ↓ ↓
今日はここまで。
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