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「時空を超えて出逢う魂の旅」特別編 ~琉球⑰~

ノロ(神女)の「光」と、隣国からの仏僧「僧侶」。二人は心を通わせる。
肉体から解放された僧侶と光は、光に還ることを辞退し、転生を選ぶ。
時節、光の魂の妹「白花」のもとに、光は飛翔する。

この肉体は
いつか地に、還す時がくる
しかし魂は
あらゆる体を借り、永遠に生きていく


「光」はしばらく、自分が生まれた地の空を舞っていた。
大好きな海、山、風の神と過ごした。「白花」の近くにも出かけた。
その後、時が来た。
光は、ある地の海岸でいることを経験した後、
この地球上で、色々な人間の人生を経験した。

男性・女性・トランスジェンダー、胎児、幼児、青年、老人。
性格、体格・肌の色・社会的立場・信条する宗教。
家族、所属するコミュニティ。
あらゆる属性・特徴を持つ人間として生きた。

この世の富、権力全てを手に入れたかのような人間の後に、
極貧で、社会や家族に抑圧されて、病んだ人間を。
自分の容姿に強いコンプレックスを持って生きた人間の後に、
周囲の人間をうっとりさせる容姿と、話術を持つ人間を。
自由人として、野に生き、野で亡くなった人間であった後に、
しきたりで心を縛られ、身体の自由も無く生きた人間を。
たくさんの人間を経験していくうち、
海に囲まれた緑多き島でのことを、どこかに封印してしまった。

決して、あの島での日々を、自分の中に埋もれさせたのではない。
その地での人生を、否定したわけでもない。
そう。ただ必然の取り計らいのまま。自分の心の奥に、仕舞い込んだのだ。

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「光」は、あの島から遥か遠くの地に、今は暮らしている。
ある日。光は、SNS上のメッセージに、目を留めた。
「あなたは、私と深い縁があったと思います。お姉さんではないかと。」
それは、魂の妹、「白花」との再会だった。

白花は、残念ながらその島でのことを、わずかにしか思い出せない。
しかし、光姉様と愛した男性を慕ったことだけは、覚えているという。
残念ながら、光は思い出すことが出来ないが、
あの島とは別の地でも、白花とは再会していたという。

光は、白花との再会を、心から喜んだ。
自分が知っている白花のことを、本人の魂に語れることは奇跡。
「そう、白花は非常に美しい女性に成長。
ノロ(神女)の中では一番、神に近い存在だった。
いつも勾玉を二つ、簪も二つ身につけていて。」

ちなみに、その簪の一つ、金の簪は隣国からのもの。
元ノロの愛した人は、隣国人だったのかもしれない。

そうそう、二人で分けっこしていたお菓子、「クンペン」言うんやて。
私らが食べた頃は、もっと大きかったようにも思うんやけどなあ。
「懐かしい響きの名前ですね。姉ちゃんと一緒に食べてみたいです。」
うん、ぜひそうしよう。
ちゃんと姉ちゃんが、食べやすい大きさに、分けるからね。

「・・・白花が、光が亡くなった歳と、同じ年頃になった時。
王国内の有力者との愛人にと、話が出たんよ

大主は、人望があり神からの信頼の厚い白花に深く、嫉妬していて。
自分の代わりに祭祀をする人間が必要だから、無下にしないけど、
自分の地位を脅かされると、絶えず強迫観念にとらわれていて。
その有力者は、かなり年上のお爺さん。
本人は、そこまで愛人を欲しているわけではなかったけど、
大主が強引に輿入れの支度金をせびった上、白花を押し付けたんよ。
ところが、王国内の勢力争いに、このお爺さんは負けて。
戦利品のような形で、白花は、他所に奪われていってしまう。」

私がわかることは、ここまで。

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自分が知らなかった、その後の白花のことを知れたら。
光は、とても嬉しく思うことだろう。
でも、知っても知らなくても。
それは、どちらでもいいことなのだ。
今が、あるから。

人生で経験する事は、全て必然。
人生での出会い全ても、全て必然。

今を、唯、生きる。

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